永劫の彼岸

連日30度を超える夏休みのお盆期間。山々に囲まれた小さな村に住む女子中学生達の間で、とある都市伝説が囁かれていた。
その都市伝説は、毎年8月15日に行われる儀式めいた死者を招いて見送るお盆時期のお祭り『彼岸祭』についてのことだった。
『彼岸祭』とは、お盆期間の期間中に行われる毎年恒例の村行事のようなものである。その最大の特色はお盆期間中にある夜6時以降、山の頂にある神社より盆提灯の光を携えて霊達が村に降りて来ることにある。
生贄役の少女が祭壇の中で一晩を明かすと言うもので、閂をさされて祭壇に閉じ込められ一晩を過ごすというだけの行事である。
勿論毎年恒例であり、少女の身に何かが起きると言うわけではない。
しかし、これに伴って別の都市伝説が噂として広まっていた。それは『祭壇の傍にある橋の下で丑三つ時に蝋燭を立てて盆踊りをすると異空間に閉じ込められる』と言うものである。
いつから広まったのか、誰が広めたのか分からないが、閉鎖された村で退屈な毎日を過ごしている女子中学生達にとっては興味惹かれるものではあった。
もっとも、丑三つ時に浴衣を着て盆踊りを踊る事を許す親など居ないのだが、一人、一人暮らしをしている女の子が深夜に試そうとしていた。
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