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告白 3
しおりを挟む両耳を手の平で塞いだティアーナを不思議そうに見ていたライハルト。
その唇の端が、どこか意地悪げに歪められる。
それを見たティアーナは、なぜか背筋が粟立つのを感じた。
「……なあ、なぜ耳を隠すんだ?」
「な、何でも!!」
「顔も赤いようだ……。どれ、少し見せてみろ」
言葉とは裏腹に、その態度はどこか余裕がない。
抵抗するまもなく、どかされてしまった両手。
そのまま左の耳にライハルトが顔を近づけてのぞき込む。
「特に変わりはないようだが……?」
「や! そこでしゃべらないでぇ……」
「そうか? その割には、嬉しそうだが……」
「きゃんっ!?」
ぐちゅぐちゅと耳元で響く水音と、あっという間に力が抜けてしまう両足。
抵抗するなんてまったく出来ないまま、ガクガクと震えてしまうティアーナの体を両腕で閉じ込めるように、ライハルトが抱きしめる。
「ん……うぅ……やめ!」
「未来視の中で、俺にこんなことをされた? まさか、その先まで……」
「さ、されてない!!」
「本当に?」
「み、耳だけだからぁ……」
「へぇ……」
なぜか低くなってしまった声と、ますます強くなる水音と快感。
立っていられなくなったティアーナは、抱き上げられてベッドに逆戻りする羽目になった。
「まさか、未来の俺に嫉妬する羽目になるとは……」
「な! 何言って!」
「その先を、ティアーナが見てしまった場合、これは未来の俺に先を越されたことになるのではないかな?」
「なに、おかしなこと言って……。やっ、ああ!」
敏感な双丘の先端を触れるか触れないかの力でこすり上げながら、ライハルトの声には余裕がない。
実際、未来視というものは、ティアーナの意思に関わらず、急に未来を映し出す。
もしも、ライハルトとの情事を見てしまったら、ティアーナはまっすぐに顔を見ることも出来なくなりそうではある。
「……ら、ライハルト、様」
「…………だが、この後すぐに王宮に行かなければならない」
「え……?」
唇がそっとかすめるように落ちてきて、離れていく。
少しだけ情欲の炎がともったままの瞳をティアーナに向けて、ライハルトは微笑んだ。
「このまま、ティアを俺のものにしてしまうのも悪くないが……。時間がなくて、ようやく手に入れた直後、愛しい人のそばにいられないのはあんまりだ。今晩に取っておこうか……」
「あ、あわわ……」
「ふふ。可愛いな、俺のティアは……。姿形が変わっても、どうして君はこんなにも変わることなく愛らしいのだろうか」
幼馴染みからの言葉に、なぜかうずいてしまった下腹部。
そのことを気づかれたくなくて、慌てたようにティアーナはそっぽを向く。
「…………行ってくる」
「…………行ってらっしゃいませ」
「準備しておいて?」
「な、なにを!?」
最後までからかってくるような態度。
子ども扱いされているのかと頬を膨らませて顔を見れば、その目は許しを請うようでもある。
ティアーナは、布団を頭からかぶって、どうか未来視でその先を見たりしませんように! と祈りを捧げたのだった。
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