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拘束と調教2

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「………。」


朝から怠い。

腰が痛いし関節が痛いし喉が痛いし。最悪。


もう何日ここにいるんだろう。

抱きつぶされて。


食事はこの部屋に運ばれるし、風呂とか全部あのケダモノ王子がかいがいしく世話をする。


そういえば、抱いているとき、『愛してる。』とか散々言ってた気がするけど、本気なんだろうか。

本気なんだろうな。


だって、今もすっげぇニコニコしながら俺に手ずからご飯を食べさせてるんだもん。


あっ。このハムうまっ。
蜂蜜入りのレモンジュース喉にいいわ、これ。



閉じられた空間の中で、給仕が部屋に入る瞬間はあるけど、ここまで抱きつぶされたらどうにもならねぇ。

逆に俺から誘惑して、油断した隙に逃げようかとも思ったけど、この数日でなんかそんな気も失せた。

体も慣れて、今ではこいつにぴったりだ。




自分では分からないけど、俺は本当にこいつの番なんだろうな。


俺はヒト族だし、側室か性奴隷として飼うつもりなのかと思ってたけど、そうでもないらしい。

本人にそう聞いたら、真っ青な顔で慌てて、正妃にするつもりだと。

ヒトを正妃になんかして大丈夫かと思ったら、ビースト王国では番であることが全てなので、国王も王妃も賛成しているのだとか。

賛成しているからこそ、俺(番)を探す一人旅に出ることを許可してもらえたらしい…。


多少の反発はあるかもしれないが、これを機に、ヒト族の地位向上を図るつもりだと言われれば、まあ目からウロコが落ちるようで。



……こいつ、いいやつなんじゃね。



今まで、ヒト族だからって侮られたり差別されたことはあっても、母さんとギルマス家族以外で、こんなふうに大事にされたことがない。

愛してる、とか綺麗だ、とか。

俺がワイバーンを倒しているのを見ていたようで、めちゃくちゃ称賛された。

なんだかこそばゆい。けど、嬉しい。






昼。

俺の様子を見て安心したのか、レオが俺にプレゼントをくれた。


黒地の上質な服。

金糸で縁取られて、どこぞの貴族の服みたい。

それに、指に。



大きなトパーズが施された、装飾の立派な指輪。



「色々ごめんなさい…。でも、絶対に幸せにするから!俺の妃になってください!」



今思えば、俺は好意を向けられることに慣れていなかったのだ。

だからこんなふうに無理やり奪われたのに、結局なんだか絆されて、なってやってもいいかな。と、この時はそんな気持ちになった。
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