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新しい時代の幕開け
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陛下は断罪を続ける。
まあ、これも俺と打ち合わせたとおりだが。
「それから、オディールは廃妃とし、実家へ戻す。そしてラム伯爵家は、国家簒奪の罪で取り潰しとする。イスリスは王位継承権を永久剥奪の上、これより監禁。」
「なっ!」
「そんなっ!監禁だなんて!それじゃあ私はどうなるの!お兄様は⁉」
「ばかっ!マリエッタ!イスリスにくっついていても身の破滅だ!ここは…っ。」
「カリス!マリエッタ!!お前たち俺を捨てるのか⁉」
愚鈍だなぁ。周りを貴族に囲まれていて陛下の眼前でもあるのに、そういう会話をしちゃうんだ。
「イスリスを見捨てようが見捨てまいが、お前たちアムール伯爵家も断罪だ。忘れたのか、本当にアルファか?お前たちはローゼとセーラ嬢にやらかしているだろうが。」
アムール伯爵ははっとなり、青ざめる。
夫人は狼狽えて綺麗に整えた爪を噛んでいるようだ。
もう手入れしてくれる人もいなくなるのに。
彼女は一生歪な爪で暮らすのだろう。
「アムール伯爵家はシュヴァイツァー王国に引き渡し、ワイズマン家の配下となること。『運命の番』であったとしても、娘の素性は調べ、適切な手順をとるべきであった。そのために、新薬の開発が大幅に遅れ、損害を被っている。セーラ殿が自らついていってしまったという事情を差し引いても、そういう不手際やローゼとその母セーラへの不当な扱いには罰を与えなくてはならない。本来なら、取り潰したいところではあったが…。」
かつかつ、とワイズマンのおじい様と叔父様が歩み出る。
2人とも銀髪でラズベリー色の瞳をしている。
そして、顔立ちはどことなくお母様や俺にそっくりだ。
つまり、彼らが現れたことで、誰もが俺たちがワイズマン家のものだと納得したようだ。
「シュヴァイツァー王国陛下の名代で参加しております。当主のドルモア=ワイズマン。こちらは息子のベル=ワイズマン。私の娘が『運命の番』であるのであれば、正式に申し込みいただければよろしかったものを。しかし、私の娘と孫を長年虐げていたようで…。本来なれば、あまり言いたくはないが貴族的な物言いをすれば、同じ伯爵家でもうちの方が家格が上なのだから、そもそも『妾』などという立場はもっての外だったのですがね。」
おじいさまの目がきらりと光る。
「そこの悪女は火かき棒で美しいお姉さまの顔を焼いたそうですね。顔だけじゃない、体にも…。医師の診断書と、当時の暴行の様子を傷痕から再現魔法で記録しましたよ。時間も経っていますが、シュヴァイツァー王国の宮廷魔術師なら傷さえ残っていれば可能なんですよ。お姉さまには国内にファンがたくさんいます。彼もお姉さまのファンですからね。普通は宮廷魔術師長が自らそういったことはしないのですが。」
「だから、アムール伯爵家への要求する賠償金は、家財産爵位を売ったって足りないだろうね。強制労働送りにしたところで一生をかけても稼げるお金はたかが知れているし。」
アムール伯爵の顔が青から紫になっていく。
夫人は爪から血が出てるんだが。
マリエッタやカリスは首を傾げている。
「よかったなぁ、アムール伯爵。伯爵家はそのままだぞ。ワイズマン家の奴隷のようなものだがな。貴族のままで、ワイズマン家の利益になる様にこれからは動くことだ。そのほうが賠償金を回収できる、ということだ。これから頑張り給え。」
「ちょっと……!どうして私が離縁でラム伯爵家が取り潰しなの!国家簒奪なんて考えておりませんわ!」
阿鼻叫喚の中、王妃が叫んだが。
その後延々と証拠を並べられ、余計に全貴族に呆れられ、イスリスの立場を余計に悪くするだけになった。
まあ、これも俺と打ち合わせたとおりだが。
「それから、オディールは廃妃とし、実家へ戻す。そしてラム伯爵家は、国家簒奪の罪で取り潰しとする。イスリスは王位継承権を永久剥奪の上、これより監禁。」
「なっ!」
「そんなっ!監禁だなんて!それじゃあ私はどうなるの!お兄様は⁉」
「ばかっ!マリエッタ!イスリスにくっついていても身の破滅だ!ここは…っ。」
「カリス!マリエッタ!!お前たち俺を捨てるのか⁉」
愚鈍だなぁ。周りを貴族に囲まれていて陛下の眼前でもあるのに、そういう会話をしちゃうんだ。
「イスリスを見捨てようが見捨てまいが、お前たちアムール伯爵家も断罪だ。忘れたのか、本当にアルファか?お前たちはローゼとセーラ嬢にやらかしているだろうが。」
アムール伯爵ははっとなり、青ざめる。
夫人は狼狽えて綺麗に整えた爪を噛んでいるようだ。
もう手入れしてくれる人もいなくなるのに。
彼女は一生歪な爪で暮らすのだろう。
「アムール伯爵家はシュヴァイツァー王国に引き渡し、ワイズマン家の配下となること。『運命の番』であったとしても、娘の素性は調べ、適切な手順をとるべきであった。そのために、新薬の開発が大幅に遅れ、損害を被っている。セーラ殿が自らついていってしまったという事情を差し引いても、そういう不手際やローゼとその母セーラへの不当な扱いには罰を与えなくてはならない。本来なら、取り潰したいところではあったが…。」
かつかつ、とワイズマンのおじい様と叔父様が歩み出る。
2人とも銀髪でラズベリー色の瞳をしている。
そして、顔立ちはどことなくお母様や俺にそっくりだ。
つまり、彼らが現れたことで、誰もが俺たちがワイズマン家のものだと納得したようだ。
「シュヴァイツァー王国陛下の名代で参加しております。当主のドルモア=ワイズマン。こちらは息子のベル=ワイズマン。私の娘が『運命の番』であるのであれば、正式に申し込みいただければよろしかったものを。しかし、私の娘と孫を長年虐げていたようで…。本来なれば、あまり言いたくはないが貴族的な物言いをすれば、同じ伯爵家でもうちの方が家格が上なのだから、そもそも『妾』などという立場はもっての外だったのですがね。」
おじいさまの目がきらりと光る。
「そこの悪女は火かき棒で美しいお姉さまの顔を焼いたそうですね。顔だけじゃない、体にも…。医師の診断書と、当時の暴行の様子を傷痕から再現魔法で記録しましたよ。時間も経っていますが、シュヴァイツァー王国の宮廷魔術師なら傷さえ残っていれば可能なんですよ。お姉さまには国内にファンがたくさんいます。彼もお姉さまのファンですからね。普通は宮廷魔術師長が自らそういったことはしないのですが。」
「だから、アムール伯爵家への要求する賠償金は、家財産爵位を売ったって足りないだろうね。強制労働送りにしたところで一生をかけても稼げるお金はたかが知れているし。」
アムール伯爵の顔が青から紫になっていく。
夫人は爪から血が出てるんだが。
マリエッタやカリスは首を傾げている。
「よかったなぁ、アムール伯爵。伯爵家はそのままだぞ。ワイズマン家の奴隷のようなものだがな。貴族のままで、ワイズマン家の利益になる様にこれからは動くことだ。そのほうが賠償金を回収できる、ということだ。これから頑張り給え。」
「ちょっと……!どうして私が離縁でラム伯爵家が取り潰しなの!国家簒奪なんて考えておりませんわ!」
阿鼻叫喚の中、王妃が叫んだが。
その後延々と証拠を並べられ、余計に全貴族に呆れられ、イスリスの立場を余計に悪くするだけになった。
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