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7章 エルフの里
71.久しぶりの地上
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まぶたを開けると、目を焼き尽くさんばかりの太陽の光が見えた。
息を吸うと、埃臭い曇った空気ではなく、自然の澄んでいる空気が肺を潤す。
それがあまりにも気持ち良くて何度も深呼吸していると、隣のハクリも同じ動作をしていて笑えた。
なんだろう。これが牢屋を出た囚人の気持ちなのか。念願のシャバだー!とか言った方がいいのか。
「やっとだ.....!」
「やっとじゃのぅ....!」
「「地上だ!!」」
ーー
遡ること1時間前、失われた魔法と誓約の指輪を手にした俺とハクリは早速力を使ってみることにした。
ハクリの指輪の能力は「瞬間治癒」。
指輪に溜め込んでおいた魔力の分だけ発動時に体を治癒するという物らしい。迷宮で好きな時に治癒することが出来なかった俺たちにとって優れものなのは言わずもがなわかるだろう。
そして俺の失われた魔法、「破壊の魔法」はとんでもないものだった。
破壊の魔法、と聞いて思い浮かべるは200層の守護者が使っていた魔法だ。あのなんでも破壊する膜、そう、あれこそが破壊の魔法だったのだ。
あのチートが俺にも使える日が来るとはな..。
これで俺の二つ名が「破壊の帝王」とかになる日も近い.....!ウヒヒヒヒ!
なんて思っていたら、破壊の魔法は思ったよりチートじゃなかった。いや、チートだけどもその弊害が恐ろしかったのだ。
まずに、破壊の魔法について本から伝わってきた情報から、基本情報はなんとなく理解できていた。
基本的、というか破壊の魔法の全てであり初歩である3つの技がある。
「接触破壊」「破壊の絶対領域」「破壊の装甲」の3つだ。
要は、触ったら壊れる、膜に当たったら壊れる、鎧に当たったら壊れる。そんな感じだ。
とにかく壊すことしか考えてない脳筋魔法。
それが破壊の魔法だった。
そして触れば勝てるチート魔法な破壊の魔法には、当然見返りが存在する。
それは、"莫大な魔力"。そして、"破壊した分の痛み"だ。
まあ破壊した分の痛みはどうにかなる。岩でガンガン殴られても大した痛みは無いようになってきたからな。
しかし問題は"莫大な魔力"の方だ。
破壊の魔法は、「接触破壊」「破壊の絶対領域」「破壊の装甲」の順に、威力が高く、魔力消費も多くなっている。
そして、問題の魔力消費なのだが.....一番魔力消費の低い「接触魔法」で魔力が尽きる。
・・・ん?って感じだが本当なのだ。
実際、興味本位に「接触魔法」をちょいとやってみたらぶっ倒れた。うん、初めての魔力枯渇だ。
今まで、魔力が足りない!少ない!と散々言いながら魔力が本当に枯渇することは無かったが、今回初めて枯渇したのだ。
結果、半日立つことすら出来なかった。
魔力枯渇って怖い。
っとそんなことはどうでもいい。
とにかく破壊の魔法は魔力消費が半端では無かった。それだけの話。使い所がないので多分あまり使わないだろう。
そして、褒美を授かってからおよそ12時間後、多分仕組まれていたのであろう帰還の魔法陣が突如現れ、地上の、それも大森林の中に転移されたのはもっとも最近の出来事だ。
それで今、スーハースーハー深呼吸しているわけである。
「うーん、今って朝だったんだな」
東方向にある太陽から光が差されているからな。
・・・そういえばこの世界の天体関係はどうなってるんだ?
もしかしたら某天才ならぬ天災バ○ボンの歌詞の通り、西から昇って東へ沈むかもしれない。
なんて疑問は「そうじゃのう...」と返したハクリの一言で解決した。
地球とあまり変わらないらしい。夜を照らす月はこの世界には無いが。
「うむ....気持ちのいい朝じゃ。肌を刺す微妙な痛みがまた....」
「ああ、そうだ.....な...?」
あれ?今更だがハクリは日光に当たっていいのか?一応吸血鬼なはずだが.....。
それに少し危ない発言が聞こえた気が。
「そ、そういえば日光は大丈夫なのか?」
「ん?ああ、妾級にもなると無害なのじゃよ」
「へえー」
ファンタジーの情緒もへったくれもないな。
「じゃがやはり日光は肌を焼くようでな。その痛みがマッサージのようで気持ちいいのじゃよ」
「へぇ、気持ち悪いな」
「きもっ...!?」
そんな会話をしながら周囲を観察していく。転移された先は神殿のような建物で、こじんまりとした神殿のど真ん中に魔法陣はあった。
今はもう光っておらず、もう機能することは無い。ハクリによると、迷宮攻略されたラグナロクの迷宮は消滅するらしい。
そんな神殿の周りには、ジャングルのような大森林が広がっていた。
今にでもターザンが「アーアアー!」とか言ってきそうだ。
・・・うん、てかここどこだ?周りを見ても、木!木!木!!!だし、目印となるものは一つも無い。
「ハクリ、ここがどこだかわかるか?」
そんな時に便利なハクリペディア。きっと知っていることだろーーー
「知らん」
詰んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
破壊の魔法の三つの技の名称は変更するかもしれません。
息を吸うと、埃臭い曇った空気ではなく、自然の澄んでいる空気が肺を潤す。
それがあまりにも気持ち良くて何度も深呼吸していると、隣のハクリも同じ動作をしていて笑えた。
なんだろう。これが牢屋を出た囚人の気持ちなのか。念願のシャバだー!とか言った方がいいのか。
「やっとだ.....!」
「やっとじゃのぅ....!」
「「地上だ!!」」
ーー
遡ること1時間前、失われた魔法と誓約の指輪を手にした俺とハクリは早速力を使ってみることにした。
ハクリの指輪の能力は「瞬間治癒」。
指輪に溜め込んでおいた魔力の分だけ発動時に体を治癒するという物らしい。迷宮で好きな時に治癒することが出来なかった俺たちにとって優れものなのは言わずもがなわかるだろう。
そして俺の失われた魔法、「破壊の魔法」はとんでもないものだった。
破壊の魔法、と聞いて思い浮かべるは200層の守護者が使っていた魔法だ。あのなんでも破壊する膜、そう、あれこそが破壊の魔法だったのだ。
あのチートが俺にも使える日が来るとはな..。
これで俺の二つ名が「破壊の帝王」とかになる日も近い.....!ウヒヒヒヒ!
なんて思っていたら、破壊の魔法は思ったよりチートじゃなかった。いや、チートだけどもその弊害が恐ろしかったのだ。
まずに、破壊の魔法について本から伝わってきた情報から、基本情報はなんとなく理解できていた。
基本的、というか破壊の魔法の全てであり初歩である3つの技がある。
「接触破壊」「破壊の絶対領域」「破壊の装甲」の3つだ。
要は、触ったら壊れる、膜に当たったら壊れる、鎧に当たったら壊れる。そんな感じだ。
とにかく壊すことしか考えてない脳筋魔法。
それが破壊の魔法だった。
そして触れば勝てるチート魔法な破壊の魔法には、当然見返りが存在する。
それは、"莫大な魔力"。そして、"破壊した分の痛み"だ。
まあ破壊した分の痛みはどうにかなる。岩でガンガン殴られても大した痛みは無いようになってきたからな。
しかし問題は"莫大な魔力"の方だ。
破壊の魔法は、「接触破壊」「破壊の絶対領域」「破壊の装甲」の順に、威力が高く、魔力消費も多くなっている。
そして、問題の魔力消費なのだが.....一番魔力消費の低い「接触魔法」で魔力が尽きる。
・・・ん?って感じだが本当なのだ。
実際、興味本位に「接触魔法」をちょいとやってみたらぶっ倒れた。うん、初めての魔力枯渇だ。
今まで、魔力が足りない!少ない!と散々言いながら魔力が本当に枯渇することは無かったが、今回初めて枯渇したのだ。
結果、半日立つことすら出来なかった。
魔力枯渇って怖い。
っとそんなことはどうでもいい。
とにかく破壊の魔法は魔力消費が半端では無かった。それだけの話。使い所がないので多分あまり使わないだろう。
そして、褒美を授かってからおよそ12時間後、多分仕組まれていたのであろう帰還の魔法陣が突如現れ、地上の、それも大森林の中に転移されたのはもっとも最近の出来事だ。
それで今、スーハースーハー深呼吸しているわけである。
「うーん、今って朝だったんだな」
東方向にある太陽から光が差されているからな。
・・・そういえばこの世界の天体関係はどうなってるんだ?
もしかしたら某天才ならぬ天災バ○ボンの歌詞の通り、西から昇って東へ沈むかもしれない。
なんて疑問は「そうじゃのう...」と返したハクリの一言で解決した。
地球とあまり変わらないらしい。夜を照らす月はこの世界には無いが。
「うむ....気持ちのいい朝じゃ。肌を刺す微妙な痛みがまた....」
「ああ、そうだ.....な...?」
あれ?今更だがハクリは日光に当たっていいのか?一応吸血鬼なはずだが.....。
それに少し危ない発言が聞こえた気が。
「そ、そういえば日光は大丈夫なのか?」
「ん?ああ、妾級にもなると無害なのじゃよ」
「へえー」
ファンタジーの情緒もへったくれもないな。
「じゃがやはり日光は肌を焼くようでな。その痛みがマッサージのようで気持ちいいのじゃよ」
「へぇ、気持ち悪いな」
「きもっ...!?」
そんな会話をしながら周囲を観察していく。転移された先は神殿のような建物で、こじんまりとした神殿のど真ん中に魔法陣はあった。
今はもう光っておらず、もう機能することは無い。ハクリによると、迷宮攻略されたラグナロクの迷宮は消滅するらしい。
そんな神殿の周りには、ジャングルのような大森林が広がっていた。
今にでもターザンが「アーアアー!」とか言ってきそうだ。
・・・うん、てかここどこだ?周りを見ても、木!木!木!!!だし、目印となるものは一つも無い。
「ハクリ、ここがどこだかわかるか?」
そんな時に便利なハクリペディア。きっと知っていることだろーーー
「知らん」
詰んだ。
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破壊の魔法の三つの技の名称は変更するかもしれません。
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