妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん

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第九話 過去 暴走する貴公子の想い

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俺はそれから注意深くロゼを見張る事にした。

確かに令嬢達の言う通り、ロゼは古い物を何時も身に着けていた。

それに対して、マリアは何時も新しい、王都で売られている最新の物を身につけている。

明かに二人には差があった。

見ていて痛々しい。

更に二人を見ていると挨拶すらしない、そこまで確執があるのか?

本当にそう思えた。

確かに、マリアは長女でロゼは次女だ。

貴族に産まれたからには差があるのは当たり前だ。

だが、此処まであからさまなのは、見たことが無い。


何故、此処まで酷い事をするのだろうか?

しかも残酷な事に産みの親までもが、ロゼではなくマリアの味方になっていた。

良く様子を見ていると「貴方って子は」とか「マリアに謝りなさい」という声が聞こえてきた。


可哀想だ。


ロゼにとって、味方は恐らく殆ど居ないのだろう。

多分、友人だけが彼女の唯一の味方だ。



俺は...そんな彼女を見ない振りして結婚をして良い物だろうか?


そんな妹を虐める様な女性を生涯の伴侶に選んで良いのだろうか?


目を瞑る訳にいかないな。


俺は皆に【貴公子】と呼ばれている。


その俺が、ロゼを見捨てて、この状況を見ない振りしてマリアと結婚など出来ない。

俺は...どうしたらよいのだろうか?


取り敢えず、俺は、ロゼを気にする様にした。

最初のうちはマリアに会うついでに、気をつけて様子を見る事にした。


俺が声を掛けると彼女は俯きながら挨拶を返してくれた。


「こんにちは」

「こんにちは、フリード様」

どことなく元気が無い。

俺は彼女の元気な顔が見たくなった。


それからは、マリアに会いに通うついでに、ロゼにも時間を使うようにした。

マリアと会った後に帰るまでの僅かな時間。

その時間が、2人の共有できる時間の全てだった。


どう見ても、使用人の様子からして可笑しい。

明かにマリアに対する様な優しい笑顔をロゼに向ける者は居ない。

【そこまでロゼは嫌われているのか】

本当にそう思える程、使用人の目つきが違う。


「いつも、こうなのかい?」


こんな状態に何時もいるなら、ロゼにとっては、この屋敷は針のむしろだろう。

「私は、次女ですし、お姉さまはドレーク家の長女だから仕方ない事です、それに私のお母様は後添いで、此処にいる使用人の多くの方はその前からの方ばかりですから...」


見ていて心が痛んだ。

やはり此処には彼女の味方は誰もいない。


俺だけ、俺だけは彼女の味方になりたい。

本当に...本当に心からそう思うようになった。


こんな俺に何が出来るだろうか?

真剣に悩んだ。


最初はもしかしたら同情だったかも知れない。

だが、このいたいけで可憐な少女を守ってあげたい。

その想いが...いつの間にか恋に変わっていった。


何時見ても、何処で会っても、周りの目は優しくない。

これがロゼの世界。

誰1人、屋敷の中に味方は居ない世界。


ロゼの味方は僅かな友人だけだ。


「ロゼ、辛くは無いのか?」

「仕方ありません...お父様もお母さまも、皆はお姉さまの事ばかり、きっと私なんて要らない子なんでしょう...次女や三女は良く長女のスペアと言われますが、私はきっとそれにさえにすらなれないのでしょう」


俺だって長男じゃない、長男とそれ以下の扱いの差は身に染みて知っている。

長男、長女は別格、それは貴族社会では当たり前だ。

だが、ドリアーク家では此処まで露骨では無い。

少なくとも、扱いの差はあるが、愛情においてはそんなに差が無く俺は育てられた。

それすら無かったとは不憫で仕方ない。


「そうか」


俺は何も言えなくなった。

誰からも愛されない...その辛さは想像を絶するに違いない。



ロゼの現状を知るにつれ、俺の心はマリアから離れていった。


マリアが命じてしているかどうかは解らない。

だが、姉妹なのだからこの現状を知らない訳が無い。

俺はマリアにカマを掛けてみた。


「妹のロゼですか? 余り接点が無いのですが、ロゼがどうかしたのですか?」


義理とはいえ、接点が無いだと。

マリアが今一瞬目を伏せたのを俺は見逃さなかった。

やはり、後ろめたい事があるのだな。


「いや、何でもない」

...この女狐。




此処まできて、ようやくマリアの性根が解った。

妹を苦しめ、迫害する様な女とは結婚などしたく無い。


俺はどうすれば良いのだろうか?

何とかマリアと婚約破棄をしてロゼを幸せにする方法は無いだろうか?

不幸な生活を送るロゼを救うこそが...貴公子たる俺の使命だ。

その為に俺は何でもするつもりだ。



更にフリードの勘違いは進んでいく。










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