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第69話 綺麗な冒険者たち
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今日もいつの様に採取に出掛けた。
ララアさんとイシュタルさんが一緒だ。
もう既に採取じゃなく、採るのは薬草だけど、実質俺にとっては山菜採りに近い。
最初の頃は、周りを警戒していたララアさんも最近は気にしないで一緒に普通に採取するようになった。
慣れた物で簡単に大量の薬草を採取できるようになった。
「あっゴブリンだ」
「うがぁぁぁっ」
「よし、よし…うんうん」
「うがぁぁぁ? ぐがぁぁ」
最近、ゴブリンやオークが結構可愛く思えるようになってきた。
遠巻きにつぶらな瞳で見つめてくるのが、多ブサイクだが可愛く思える。
犬で言うならパグみたいな感じだ。
ブサイクだけど可愛い…そう思えてしまう。
恐る恐る、初めて頭を撫でたら、なんとなくだが喜んでくれたみたいだ。
だが…凄く臭い。
まぁ野良犬や野良猫も臭いから同じようなものかな。
ララアから「理人さんは懐かれやすいから大丈夫ですが、それでも野生の生物だから注意してください」と言われた。
確かにそれは正しく、偶に嫌がり殴る子もいる。
だが、余り痛く無いから…犬でいう甘噛みみたいな物かもしれないな。
「しかし、理人さんは良くゴブリンの頭撫でられるよな…私は安全でも無理かな」
「慈愛に満ちた理人様、素敵です、魔物にも愛は伝わるんですね」
「(小声で)あれ凄いよな、魔族の私でも出来ない…もうこの辺りの魔物で理人さん、襲う存在はいない…ナニカ様への恐怖じゃなく…理人さん自身が魔物に好かれているんだよ、凄いな」
「ええっ、本当に理人様は慈愛に満ちていますね…女神の私から見ても…素晴らしいです」
「あっ、彼奴は追い払わないと…」
「なぜですか?」
「いや、彼奴は凄く理人さんに懐いているんだが…苗床に行こうって誘っているんだ…ゴブリンが女を他の種族に貸すなんて考えられない…理人さん、いい加減帰りましょう」
「あっ、すいません…」
「もう夕方だし、水浴びして帰らないとまた臭いって月子さんに怒られますよ」
俺は名残惜しいけどゴブリンの頭を撫でるのを止めた。
「こんにちは」
「…こんにちは…りふと…さん」
最近、良く綺麗な冒険者を良く見かける。
何時も顔を青くして血の気も無いように見える。
良く見ると体は血だらけだ…偶に人間の死体を持っているから、前にギルドで聞いた『盗賊相手の冒険者』なのかも知れない。
幾らベテランでも人を殺した後だ気も滅入るのかな…
「あの…これ良かったら、煎じて飲んで下さい」
「くれるの…ありあとう」
凄く疲れているんだな…可哀そうに。
◆◆◆
私たちは少し理人さんと離れて歩いています。
「あれは死にたての死霊だよな?」
「一旦、死霊になったから解りますが…あれは死にたての死霊…しかも死霊に殺されてゾンビに近い存在だと思います」
「だけど、肉があるだけ少し前のお前やミランダよりましなのかな」
「いいえ、私は違いますが、体が腐り果てて、骨になって、そこから魂が抜けだしてミランダさんみたいになるそうです…そこ迄が体が腐る恐怖や骨で生きる恐怖で大変だそうですよ…メアリーさんの話ではそこから受肉は更に大変だそうです」
「随分詳しいのですね」
「まぁ自分の事ですし、メアリーさんやコーネリアちゃんが教えてくれました」
「ちゃん?….まぁ良いよ、だけど、随分死霊が増えていないか?」
「もしかしてコーネリアちゃんが、聖教国を滅ぼしたって聞きましたが…そこから溢れだしているのかも知れませんね」
「それ不味くないのか?」
「さぁ、魔族の貴方達には関係ないし、理人様は安全…もうどうでも良いですよ…私は理人様だけの女神ですから」
「人類はどうでも良いのか?」
「ええっ」
変われば人(神)も変わるもんだな。
「聖教国から、此処結構距離あるよ…かなり数が増えているんじゃないのかな」
「それは、コーネリアちゃんに聞かないと解らないですね」
死霊がこんな所に居る…これはかなり不味いんじゃないかな…
コーネリア様に聞いてみないと…
そろそろ魔王様とも話に行かないと色々不味いかもしれませんね。
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