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9.一途に
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和泉が目覚めると、すぐ目の前に佐原の寝顔があった。
佐原の顔は綺麗だ。弧を描く長いまつ毛も、整った鼻梁のラインも美しい。本当に非の打ち所がない。
それにプレイのあと、こうして一緒に朝を迎えることができたことが嬉しい。今まではプレイが終われば佐原はどこかへ消えてしまっていた。和泉はいつもひとりぼっち残されていたから。
ずっと佐原とこんなふうに朝を迎えたいと思っていた。
和泉は目の前にいる最愛のDomの寝顔を眺めてみる。
ついに佐原とパートナーになった。
偽りでもなんでもない。本当の、気持ちを通い合わせたパートナーだ。
自分に新しいパートナーができるなんて想像すらしなかった。このままずっとひとりで生きていくんだと思っていたのに、今、和泉の目の前には最高のDomがいる。
佐原にそっと近づいて、形のいい唇にキスをする。すると佐原が腕を伸ばしてきて、和泉の身体を抱き寄せた。
「おはよう、和泉」
「うん……」
佐原の胸に頭を寄せる。こうして肌と肌を合わせているだけでとても心地よい。
昨日は最高の夜だった。目覚めた今もまだ、佐原の支配下にいる感覚だ。
今でも信じられない。でも、目の前にいて、身体を寄せ合ってる男は和泉のパートナーと呼べる男だ。
「信じられない。和泉とこうしていられるなんて」
佐原が和泉の髪を優しい手で撫でる。佐原も同じことを考えていたようだ。
「俺も、夢みたいだ……」
本当にそう思う。佐原の肌の温もりと、静かな心音を聞きながら、こんなふうに髪を撫でてもらう日が来るとは思わなかった。
「なぁ、和泉は俺のこと、いつから好きになったんだ?」
「うん?」
和泉が佐原を見上げると、世界一かっこいい男の顔がそこにあって、ああ、こんないい男が自分のパートナーになったのかと思うと思わず頬が緩んでしまう。
「俺は七年前からずっと。お前の存在を知ったときからずっと好きだった」
「俺は佐原のことなんて知らなかったのに」
「俺はよく知ってた。お前の好きな食べ物から、恋人にどんな態度をとるのかまで、全部」
「尚紘から聞いたのか」
佐原はしばしの沈黙のあと「そうだ」と頷いた。
「きっかけは、そうだった。でも、こんなに好きになったのは和泉と会ってからだ。毎日和泉を見てても本当に飽きないよ。可愛くて可愛くて大好きになった」
「どこが……」
「一生懸命なところだな。和泉は手を抜いたり投げ出すことを知らないんだな。頑張りすぎてて、心配になって、俺にできることは全部やってやろうと思った」
佐原はやっぱり優しい。人に手を差し伸べたいと思うタイプなのだろう。
「やっぱり同情じゃないか」
「違う。愛情だ。すごく惚れてる。頭おかしくなるくらいに和泉のことしか考えてない」
佐原は和泉を抱く手に力を込めてきた。
「和泉は? いつからだ? あんなに俺のこと見てなかったのに」
「うーん……」
佐原に言われて考えてみる。佐原を初めて見たとき、どきときと胸が高鳴り、妙な気持ちになった。あの感情は、恋、だったのだろうか。
「一目惚れ、だったのかな」
佐原の頬にそっと触れてみる。滑らかな肌に、どこをどう切り取っても完璧な顔。この顔を見た瞬間に恋に落ちたのかもしれない。実は自分はメンクイだったのかもしれないなと思う。
佐原の顔は綺麗だ。弧を描く長いまつ毛も、整った鼻梁のラインも美しい。本当に非の打ち所がない。
それにプレイのあと、こうして一緒に朝を迎えることができたことが嬉しい。今まではプレイが終われば佐原はどこかへ消えてしまっていた。和泉はいつもひとりぼっち残されていたから。
ずっと佐原とこんなふうに朝を迎えたいと思っていた。
和泉は目の前にいる最愛のDomの寝顔を眺めてみる。
ついに佐原とパートナーになった。
偽りでもなんでもない。本当の、気持ちを通い合わせたパートナーだ。
自分に新しいパートナーができるなんて想像すらしなかった。このままずっとひとりで生きていくんだと思っていたのに、今、和泉の目の前には最高のDomがいる。
佐原にそっと近づいて、形のいい唇にキスをする。すると佐原が腕を伸ばしてきて、和泉の身体を抱き寄せた。
「おはよう、和泉」
「うん……」
佐原の胸に頭を寄せる。こうして肌と肌を合わせているだけでとても心地よい。
昨日は最高の夜だった。目覚めた今もまだ、佐原の支配下にいる感覚だ。
今でも信じられない。でも、目の前にいて、身体を寄せ合ってる男は和泉のパートナーと呼べる男だ。
「信じられない。和泉とこうしていられるなんて」
佐原が和泉の髪を優しい手で撫でる。佐原も同じことを考えていたようだ。
「俺も、夢みたいだ……」
本当にそう思う。佐原の肌の温もりと、静かな心音を聞きながら、こんなふうに髪を撫でてもらう日が来るとは思わなかった。
「なぁ、和泉は俺のこと、いつから好きになったんだ?」
「うん?」
和泉が佐原を見上げると、世界一かっこいい男の顔がそこにあって、ああ、こんないい男が自分のパートナーになったのかと思うと思わず頬が緩んでしまう。
「俺は七年前からずっと。お前の存在を知ったときからずっと好きだった」
「俺は佐原のことなんて知らなかったのに」
「俺はよく知ってた。お前の好きな食べ物から、恋人にどんな態度をとるのかまで、全部」
「尚紘から聞いたのか」
佐原はしばしの沈黙のあと「そうだ」と頷いた。
「きっかけは、そうだった。でも、こんなに好きになったのは和泉と会ってからだ。毎日和泉を見てても本当に飽きないよ。可愛くて可愛くて大好きになった」
「どこが……」
「一生懸命なところだな。和泉は手を抜いたり投げ出すことを知らないんだな。頑張りすぎてて、心配になって、俺にできることは全部やってやろうと思った」
佐原はやっぱり優しい。人に手を差し伸べたいと思うタイプなのだろう。
「やっぱり同情じゃないか」
「違う。愛情だ。すごく惚れてる。頭おかしくなるくらいに和泉のことしか考えてない」
佐原は和泉を抱く手に力を込めてきた。
「和泉は? いつからだ? あんなに俺のこと見てなかったのに」
「うーん……」
佐原に言われて考えてみる。佐原を初めて見たとき、どきときと胸が高鳴り、妙な気持ちになった。あの感情は、恋、だったのだろうか。
「一目惚れ、だったのかな」
佐原の頬にそっと触れてみる。滑らかな肌に、どこをどう切り取っても完璧な顔。この顔を見た瞬間に恋に落ちたのかもしれない。実は自分はメンクイだったのかもしれないなと思う。
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