好きだから傍に居たい

麻沙綺

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亜耶の第二の親友?…遥

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 龍哉たちを一階の出入り口まで見送る。
「雨の中来てくれて、ありがとうな。」
 二人にそう声をかけた。
「親友のお見舞いですから、気にしないで下さい。それに、学校では見られ無い面を見せて貰いましたし。高橋先生が亜耶を溺愛しtるのもわかりました。」
 相沢が苦笑混じりで言う。
「確かに、あんな顔の亜耶ちゃんは学校では見られ無いだろうな。」
 龍哉が何かを感じ取ったのか、そう口にした。
「相沢。お前が亜耶の友達になってくれて善かったよ。俺からもお礼を言わせてくれ、ありがとう。」
 俺がそう口にしたら、相沢は慌てて両手を横に振りだして。
「先生、やめてくださいよ。私は、初めて会った時から亜耶の事気になってただけなので……。」
 意味深な言葉を吐く相沢。
 何が気になったんだ?
 普通の女の子だと思うんだよ、亜耶は。
 俺が不思議に思ってると。
「亜耶って、堂々としているのに少し頼り無さ気な感じがあって、それなのに他人を信用して無いって言うか、何かそんな感じがしたから、亜耶に信頼されて尚且つ頼られる存在に馴れたらって思ったんです。」
 相沢が、亜耶の第一印象について告げてきた。
 その言葉が、的を得ていて俺は驚きを隠せなかった。
「それでいて、誰に対しても分け隔てもなく平等に接する所とか、違和感しかなくて、成績も優秀なのにそれを鼻にもかけない。今時、居ないタイプだと思ったんです。」
 あぁ、それで納得がいった。
 相沢が亜耶に対して不思議に思うことはわかった。
 それは、亜耶が育った環境のせいなのは致し方がない。
「相沢の目には、そう見えたのか……。まぁ、その印象で間違いないだろうなぁ。」
 俺の口から言葉が漏れる、
「あっ、私だけじゃないですよ。ユキも愛美も……加藤と木村もそう感じたみたいです。」
 相沢が付け足すように言う。
「後、田中と和田もですね。」 
 今まで黙っていた龍哉が、付け足す。
 二人が告げた四人は、確実に亜耶の本心に気付いている。
「まぁ、他のクラスメートは、その事には気付いていませんが……。」
 仮面を被るのは、亜耶の十八番だったのだが、それを見破られるときが来るとはな。
「そっか……。龍哉は詳しくは知らないんだよな?」
 確認するように聞けば。
「はい、そこまでは知らないです。」
 と返事が返ってくる。
「相沢は、知りたいか?」
 知りたければ、教えるつもりでいたのだが。
「知りたいですよ。でも、先生の口から聞くのは違うと思うので、亜耶が話してくれるまで気長に待ちますよ。」
 堂々と口にする相沢に亜耶が信頼に値する人だと改めて思った。
「だって、亜耶なら話してくれると思うので……。」
 笑顔でそう口にする相沢が、眩しかった。 
 亜耶をそこまで信じてくれる友達が出来たことを嬉しく思った。
「ありがとう。もう少しだけ待ってやって欲しい。亜耶も、心の整理が付けば、お前たちに話すと思うから。」
 俺は、それしか言えなかった。
「はい。じゃあ、先生。月曜日に。」
「おう。気を付けて帰れよ。」
 俺は、二人の背中を見送った後、亜耶の病室の階まで上がってナースステーションに立ち寄り、都さんを呼び出した。
 
 彼女は笑顔で。
「どうかなさいましたか、高橋様。」
 と俺の顔を伺いながら聞いてくる。
「先程、ここで妻の友人が来て面会手続きを行ったんですが、その時に対応に当たった看護師の態度があからさま過ぎて不快感を感じたのです。」
 と俺が告げると。
「どういった感じでしょうか?」
 都さんが綺麗な眉を吊り上げて聞いてきた。
「私の教え子でもあるんですがね、身分証を提示した時に二人を信じられないと顔をしてまじまじと見ていたので、教え子たちも嫌悪感を出していたのですよ。」
 学校名を見たとたん本当なのかって疑った目をして何度も見ていた。
「それは、申し訳ありません。その者だけではなく他の者ももう一度教育し直させて頂きます。」
 そう言って、都さんは丁寧に頭を下げた。
「亜耶さんの友達なら、同じ学校の生徒であるのに、それをそんな態度をとるなんて、本当にすみません。」
「今後の事を考えて対応して貰えたら、それで良いので……。」
 亜耶だけが特別というわけではない。他にも居ると思うんだよ。その度にそんな態度を取っていたら、信頼も失いかねないからな。
「高橋様、ありがとうございます。」
 都さんが、改めてお礼を口にする。
「大した事では無いですよ。自分の経験からの事ですから。」
「それでも、そう言って頂けるのって、ありがたいことなのですよ。私達からでは、わからないところですからね。」
 って微笑む都さん。
「それでは、俺はこれで……。」
 俺は、そう告げて亜耶の病室に向かった。





    
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