好きだから傍に居たい

麻沙綺

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雅斗と待ち合わせ…遥

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 俺は一旦家に戻った(主に車を駐車する為だが)。
 出掛ける準備をして、家を出た。

 雅斗が言っていた居酒屋は、元々亜耶が住んで居た場所の最寄り駅に在り、隠れ家的な雰囲気な店だ。
 お義父さんの行き付けの店で、俺らも高校生の時(当時は、食だけだったが)に連れてきてもらって、それ以来何かあるとこの店で飲んで(成人してから)居た。
 常連と言えば常連なんだろうなぁ。俺たちが行く度に何も言わなくても個室に通される位の待遇の良さ(お義父さんのお陰でもあると思う)。

 俺は久し振りに行くが、雅斗はどうなんだろう?
 何て思いながら駅へ向かう。

 土曜日の十九時を少し過ぎた頃合いだが、以外にも駅構内は空いていた。
 雅斗と飲むのも久し振りだ。
 何て思いながら、電車に乗り込む。
 周囲を見渡せば、出掛けた後だろうか親子連れやカップルが疲れた顔をしてたり、楽しかったことを話している声が聞こえてくる。
 本来なら、俺も今頃あんな風になっていたんだろう。
 何て今更ながら、残念に思ってしまう。
 まぁ、仕方ないよな。
 俺のお姫様は、不意の事故で入院中だからな。
 退院後に日帰りだが、真由たちと出掛ける(遊ぶ)予定を立てている。
 あ~、楽しみだ。うちの姫様の驚いた顔と嬉しそうな顔が今からでも浮かぶ。
 その顔を見たら、俺も満足するんだろうな。

 知らずに笑みが浮かんでいた。闇の中の窓ガラスに自分の姿が、うっすらと写していたのだ。
 
 ハァ~、俺は亜耶の為なら、何でもしてやりたいと思ってしまうからなぁ……。
 少しは自重した方がいいとは思うのだが、無理だろうなぁ。
 結局は、同じ問答を繰り返してるに過ぎない。
 俺は、亜耶をとことん甘やかすと決めてるからな。


 最寄り駅に降り立ち、改札を出ると店に向かって歩き出す。
 駅から差程離れていない場所に在る店は、相変わらず賑わっている。
 店の入り口横で雅斗が待っていた。
「悪い。遅れたか?」
 俺が問いかければ。
「俺も今来たとこ。」
 雅斗がぶっきらぼうに答える。
 俺はそれに苦笑を浮かべつつ。
「中に入ろうぜ。」
 と口にした。




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