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14話

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「俺たちも動くか」

 そろそろ指定された時刻なのだろう。動き出したメイドたちを見て、ノワールはテーブルにあった野菜スティックに手を伸ばした。いくつかの種類がある中から、一本の小さなニンジンだけを手に取るとルージュの顔に近づけてきた。そのまま銜えても良かったのだが、前足を伸ばして両手でニンジンを掴んだ。
 ゆっくりとニンジンから手を離したノワールは、しっかりとニンジンを持っていることを確認すると「そのまま持ってろ」と言って歩き出した。言われた通り食べることをせずに、ルージュはニンジンを持ったまま何をするのかと様子を伺った。
 両手でニンジンを持っているため、ノワールはルージュを支えながら扉の近くへと歩いて行く。近くにいた人がうさぎのルージュに気がついて驚いた顔をしていたが、ノワールは気にしていないようだった。どうやら今は見られても構わないらしい。
 うさぎがいたと広まるより先に、パーティーが始まるだろうと考えたのかもしれない。メイドたちが参加者に話しかけ始めたことにより、広間がさらに騒がしくなっているのだから、広まらないかもしれない。話している内容は、飲み物についてだったが、好きなものを飲めると喜んで騒いでいる人が多かった。
 そんな騒がしさから背を向けて扉へと近づいたノワールは、扉の近くにいたメイドに話しかけた。
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