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第2章 地獄の底を這いまわれ
♯11 地獄からの使者③
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スナフと名乗った若者は、腰のベルトに差していたナイフで私のいましめを解くと、
「ハーレーはあの林の中だ。どうだ、ひとりでそこまで歩けるか? なんなら肩を貸してやってもいいが」
と、顔に似合わぬやさしい言葉をかけてきた。
「大丈夫。触らないで。これくらい、なんてことないから」
差し出された手を無視して、ルビイはよろめく足取りでオアシスのほうへと歩き出した。
「はっ、相変らず気の強いお嬢様だ」
肩をすくめるスナフ。
その後について木陰に入ると、見たことのない物体がそこに鎮座していた。
黒と銀の光沢を放つ、巨大な機械である。
さながら、鋼鉄でできた馬といったところだろうか。
機械の中核を成すのは2輪の太いゴム製のタイヤだ。
それを複雑なスポークが取り巻いている。
「どうだ、すごいだろう」
スナフが得意げに笑った。
「本物のハーレー・ダビットソンだぜ。時速200キロは軽い」
これが、乗り物?
闇にうずくまる獰猛そうな鉄の塊に目を奪われながら、ルビイは思った。
スナフといい、目の前のこの機械といい、ひどく異質な気がした。
こんなものがこのネオ・ガイアに存在するなんて。
「おっと、乗る前に、そこの湖で身体を洗えよ。愛車のシートを汚されちゃ、かなわないからな」
吸い寄せられるように機械のほうに手を伸ばしたルビイに向かって、スナフが言った。
「おまえの身体がきれいになり次第、出発だ」
「ハーレーはあの林の中だ。どうだ、ひとりでそこまで歩けるか? なんなら肩を貸してやってもいいが」
と、顔に似合わぬやさしい言葉をかけてきた。
「大丈夫。触らないで。これくらい、なんてことないから」
差し出された手を無視して、ルビイはよろめく足取りでオアシスのほうへと歩き出した。
「はっ、相変らず気の強いお嬢様だ」
肩をすくめるスナフ。
その後について木陰に入ると、見たことのない物体がそこに鎮座していた。
黒と銀の光沢を放つ、巨大な機械である。
さながら、鋼鉄でできた馬といったところだろうか。
機械の中核を成すのは2輪の太いゴム製のタイヤだ。
それを複雑なスポークが取り巻いている。
「どうだ、すごいだろう」
スナフが得意げに笑った。
「本物のハーレー・ダビットソンだぜ。時速200キロは軽い」
これが、乗り物?
闇にうずくまる獰猛そうな鉄の塊に目を奪われながら、ルビイは思った。
スナフといい、目の前のこの機械といい、ひどく異質な気がした。
こんなものがこのネオ・ガイアに存在するなんて。
「おっと、乗る前に、そこの湖で身体を洗えよ。愛車のシートを汚されちゃ、かなわないからな」
吸い寄せられるように機械のほうに手を伸ばしたルビイに向かって、スナフが言った。
「おまえの身体がきれいになり次第、出発だ」
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