16 / 34
16
しおりを挟む
今日は見習い期間が終わったルーカス君を正式雇用すべくあのリンカーンさんにお願いに行かないといけません。
正直交渉に勝てる気がしません。私が物を売りに行ったのに逆に私が買わされる手腕は、あれからも遺憾無く発揮されていました。
私がルーカス君の手を借りたがっているとお見通しでしょうし。私はどれだけふっかけられるでしょうか。
ルーカス君と毎日地下3階を探検して、レベルが上がっただけでなく懐も随分と豊かになりました。
不要な物はリンカーンさんに買い取ってもらいながら、だいたい一日平均金貨にして10枚は稼げたので、二割をルーカス君に渡しても50枚近い金貨を得ることができました。
まず家賃をきちんとお支払いしました。ステラさんは最初は私が無理をしていると思って眉をひそめていましたが、私がお金の入った袋を見せると驚きながらも納得してくれました。
あとは日々の生活費に充てたり、リンカーンさんの店で装備を新調したりしました。
迷宮でも武具を拾えたのですが、足りない部位の装備が都合良く落ちたりはしなかったのです。
【武 器】沈黙の杖(魔法力+12、沈黙付与)、フレイル(攻撃力+15)
【 頭 】三角帽子(2)
【 手 】バックラー(3)
【 体 】絹のローブ(2)
【 腕 】布の手袋(1)
【 足 】赤い靴(2)
【装飾品】青銅の首飾り(1)
【A C】11
私は刃物の扱いには慣れていないので、近距離武器は振り回すだけで良いフレイルに替えました。また、小手は重すぎたため、装飾品は良いものがなかったため、どちらもそのままになりました。
AC+1より上の装飾品は貴重らしいです。迷宮で見つけたら是非売って欲しいとリンカーンさんに言われています。
それから、地下3階の部屋で貨幣ではないコインを拾ったのですが、装備効果も使用効果もありませんでした。
迷宮固有のアイテムということで、どこかで先に進むためにそれを使う仕掛けがあるかもしれないとリンカーンさんは言っていました。
地下3階はマッピングを終えているので、地下4階以降で使うことになるのでしょうか。
それはさておき、私はリンカーン商店に着くと、早速ルーカス君を正式に連れて歩きたいとリンカーンさんに伝えました。
「盗賊職の有用性はご理解いただけたようですね。クロエ様のおかげでルーカスも成長したようですし、そうですね、クロエ様が探索で得た貨幣の3割でいかがでしょうか。アイテムは今まで通りクロエ様の物ということで結構でございます」
「え?貨幣3割でいいんですか?」
「はい、正直なところ、ここまでルーカスを伸ばしてくださると思っておりませんでしたので。報酬も1週間で金貨にして10枚以上と破格の金額をいただいております」
まあ確かに2人だったから経験値も多かったし、リセットで楽にお金も稼げた気はします。ルーカス君にはいくらか装備を渡しましたけど、アイテムまで私が総取りなら美味しすぎる話です。
「今後、クロエ様がパーティーメンバーを増やされる可能性もございますので、先行投資の意味でもそのくらいで充分かと考えております」
あ、なるほど、メンバーが4人とか5人になってもルーカス君への報酬は固定ってことですか。トラブルが面倒なので今は増やす予定はありませんけど。
3人目まではいいけど、4人目以降は相談が必要ですね。
「ルーカス君がそれで良いなら、私は是非引き続きお世話になりたいです」
「僕はそれで構いません。クロエ様、今後ともよろしくお願いします」
ルーカス君が接客用の顔でそう言ってくれました。もう普段の顔に慣れていたので、思わず吹き出してしまいました。
「今後ともリンカーン商店をご贔屓に」
少し眉を顰めてそう言うリンカーンさんに見送られながら私達は迷宮に向かいました。
「さっき笑ってたの、師匠が変な目で俺を見てたぞ。気をつけてくれよな」
「じゃあ言われた通りに言葉使いに気をつけたら良いじゃない」
ルーカス君に文句を言われたのでそう返すと、ルーカス君はちょっと拗ねたような顔をしましたが、その後も口調は変わりませんでした。いまさら他人行儀に話されても私が寂しいだけですけどね。
今回から地下4階に再び挑戦することになっています。ちょっとドキドキしながらショートカットの部屋に入りました。
地下4階でフロアに出る時、あの時のゾウが現れましたが、心の準備ができていましたし、こちらの敏捷性が上がっていることもあって簡単に倒すことができました。
ルーカス君は見るのが初めてだったので、真っ赤な目で雄叫びをあげる巨大なゾウに冷静に対応している私を見て驚いていましたけど。
その後も、前に倒したおじいさんの悪魔や、熊のように大きくて元になっている生物がわからない不気味なゾンビ、二枚貝のような形状の葉に沢山のトゲが生えた巨大なハエ取り草などが現れましたが、たまにリセットしながらも安定してマッピングできました。
不死者召喚で囮になるモンスターを呼び出せたのも、大きかったです。一撃を受けたら消えてしまうようなゾンビ程度のものしか出てきませんが、呼ぶ度にいろんな見た目の不死者が出てきました。
ルーカス君は強力な不死者が呼べると言っていましたが、まだスキルレベルが低いのでこんなものなのかもしれません。
不死者は戦闘が終わっても生き残っていれば黙って私達の後をついてきました。死んでいるので生き残るというのも変な表現ですけど。
正直交渉に勝てる気がしません。私が物を売りに行ったのに逆に私が買わされる手腕は、あれからも遺憾無く発揮されていました。
私がルーカス君の手を借りたがっているとお見通しでしょうし。私はどれだけふっかけられるでしょうか。
ルーカス君と毎日地下3階を探検して、レベルが上がっただけでなく懐も随分と豊かになりました。
不要な物はリンカーンさんに買い取ってもらいながら、だいたい一日平均金貨にして10枚は稼げたので、二割をルーカス君に渡しても50枚近い金貨を得ることができました。
まず家賃をきちんとお支払いしました。ステラさんは最初は私が無理をしていると思って眉をひそめていましたが、私がお金の入った袋を見せると驚きながらも納得してくれました。
あとは日々の生活費に充てたり、リンカーンさんの店で装備を新調したりしました。
迷宮でも武具を拾えたのですが、足りない部位の装備が都合良く落ちたりはしなかったのです。
【武 器】沈黙の杖(魔法力+12、沈黙付与)、フレイル(攻撃力+15)
【 頭 】三角帽子(2)
【 手 】バックラー(3)
【 体 】絹のローブ(2)
【 腕 】布の手袋(1)
【 足 】赤い靴(2)
【装飾品】青銅の首飾り(1)
【A C】11
私は刃物の扱いには慣れていないので、近距離武器は振り回すだけで良いフレイルに替えました。また、小手は重すぎたため、装飾品は良いものがなかったため、どちらもそのままになりました。
AC+1より上の装飾品は貴重らしいです。迷宮で見つけたら是非売って欲しいとリンカーンさんに言われています。
それから、地下3階の部屋で貨幣ではないコインを拾ったのですが、装備効果も使用効果もありませんでした。
迷宮固有のアイテムということで、どこかで先に進むためにそれを使う仕掛けがあるかもしれないとリンカーンさんは言っていました。
地下3階はマッピングを終えているので、地下4階以降で使うことになるのでしょうか。
それはさておき、私はリンカーン商店に着くと、早速ルーカス君を正式に連れて歩きたいとリンカーンさんに伝えました。
「盗賊職の有用性はご理解いただけたようですね。クロエ様のおかげでルーカスも成長したようですし、そうですね、クロエ様が探索で得た貨幣の3割でいかがでしょうか。アイテムは今まで通りクロエ様の物ということで結構でございます」
「え?貨幣3割でいいんですか?」
「はい、正直なところ、ここまでルーカスを伸ばしてくださると思っておりませんでしたので。報酬も1週間で金貨にして10枚以上と破格の金額をいただいております」
まあ確かに2人だったから経験値も多かったし、リセットで楽にお金も稼げた気はします。ルーカス君にはいくらか装備を渡しましたけど、アイテムまで私が総取りなら美味しすぎる話です。
「今後、クロエ様がパーティーメンバーを増やされる可能性もございますので、先行投資の意味でもそのくらいで充分かと考えております」
あ、なるほど、メンバーが4人とか5人になってもルーカス君への報酬は固定ってことですか。トラブルが面倒なので今は増やす予定はありませんけど。
3人目まではいいけど、4人目以降は相談が必要ですね。
「ルーカス君がそれで良いなら、私は是非引き続きお世話になりたいです」
「僕はそれで構いません。クロエ様、今後ともよろしくお願いします」
ルーカス君が接客用の顔でそう言ってくれました。もう普段の顔に慣れていたので、思わず吹き出してしまいました。
「今後ともリンカーン商店をご贔屓に」
少し眉を顰めてそう言うリンカーンさんに見送られながら私達は迷宮に向かいました。
「さっき笑ってたの、師匠が変な目で俺を見てたぞ。気をつけてくれよな」
「じゃあ言われた通りに言葉使いに気をつけたら良いじゃない」
ルーカス君に文句を言われたのでそう返すと、ルーカス君はちょっと拗ねたような顔をしましたが、その後も口調は変わりませんでした。いまさら他人行儀に話されても私が寂しいだけですけどね。
今回から地下4階に再び挑戦することになっています。ちょっとドキドキしながらショートカットの部屋に入りました。
地下4階でフロアに出る時、あの時のゾウが現れましたが、心の準備ができていましたし、こちらの敏捷性が上がっていることもあって簡単に倒すことができました。
ルーカス君は見るのが初めてだったので、真っ赤な目で雄叫びをあげる巨大なゾウに冷静に対応している私を見て驚いていましたけど。
その後も、前に倒したおじいさんの悪魔や、熊のように大きくて元になっている生物がわからない不気味なゾンビ、二枚貝のような形状の葉に沢山のトゲが生えた巨大なハエ取り草などが現れましたが、たまにリセットしながらも安定してマッピングできました。
不死者召喚で囮になるモンスターを呼び出せたのも、大きかったです。一撃を受けたら消えてしまうようなゾンビ程度のものしか出てきませんが、呼ぶ度にいろんな見た目の不死者が出てきました。
ルーカス君は強力な不死者が呼べると言っていましたが、まだスキルレベルが低いのでこんなものなのかもしれません。
不死者は戦闘が終わっても生き残っていれば黙って私達の後をついてきました。死んでいるので生き残るというのも変な表現ですけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,577
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる