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マッドゴーレムを倒して行ける様になったばかりの地下5階を数日かけてコツコツ探索しています。
地下4階をなんとか抜けれるようになったばかりだったので、流石にモンスターが強すぎて最初はかなり苦労しました。
一番厄介なのはコカトリスという鳥やゴーゴンという牛などの、石化ブレスを吐いてくる敵です。
軽度の石化はちょっと体が重くなるくらいで放っておけば時間経過で戻るのですが、正面からブレスを浴びた場合に全身が石化して呼吸が出来なくなり、かなり苦しい目に遭って死ぬことになります。おかげで何度リセットしたかわかりません。
あと、ガーゴイルという悪魔族が厄介で、単体では地下4階のオールドデーモン程強くはないものの、最大で9匹まで現れるため大量の魔法を浴びてリセットされることもしばしばでした。
他にも魔法を使う不死者なんかもいて、だんだん敵が意地悪になってきた気がします。
それでもリセットしながらもコツコツとマッピングを続けていると、またもや何処にも扉が無くて侵入できない怪しげな区画がありました。
ルーカス君が隠し扉を感知したので敵を倒して入ってみると、その隠し部屋の先に、壁に押しボタンが付いている部屋を見つけました。
「これ、昇降装置だと思う。5、6、7、8ってボタンがあるだろ。ここは地下5階だから5の所が凹んでるんだ。押したら他の階に行けるんじゃないかな」
私はポチっと8の数字が書かれているボタンを押しました。地鳴りがして入口が自動で扉に塞がれて床が下に降りていきます。いろいろ観察していたルーカス君が慌てて飛んできました。
「おい!?なにやってんだよ!地下5階でも結構やばいのに、地下8階でいきなりエンカウントしたらどうすんだよっ!」
つい、いつもの癖でボタンがあるとポチっと押してしまうのです。そうでなくてもボタンがあると押したくなりませんか?
ルーカス君に言われて私は5のボタンを押し直しましたが一度降りきるまでキャンセルできないようです。
「どうしよう!ボタンがあると押しちゃう癖があって」
「どんな癖だよ。まあここに入る時戦闘にならなかったから出る時も大丈夫だと思うけど」
慌てる私をよそに、昇降装置はゆっくりと下に降りていきます。暫くするとガチャンと音がして扉が勝手に開きました。
「奥に行ってみようか?」
いざとなればリセットすればいいので私が気軽に言うと、ルーカス君はジト目でこちらを見てきました。
「別にいいけど、地下4階の時にクロエは泣いて嫌がったじゃないか」
「うっ」
そんな事はさっさと忘れて欲しいです。でも、別に構わないらしいので私は昇降装置から外に出ました。ルーカス君の予想通り敵は出ません。
出た先は広めの部屋になっています。扉がひとつありましたが、ルーカス君はその扉を訝しそうに眺めていました。
「流石のルーカス君も開ける勇気はないんだね」
私がからかう風に言うと、ルーカス君は首を横に振りました。
「開けるのも躊躇われるけどさ、鍵が必要みたいで開きそうにないんだよな」
鍵は地下8階のどこかにあるんでしょうか。そう思って別の扉を探しましたがどこにも見当たりません。
「隠し扉も感知スキルに引っかからないから、恐らく鍵は地下5階から7階のどこかにあるんだと思う。つまり、ここは行き止まりだな。ランダムエンカウントする前に早く上に戻ろうぜ」
残念ながら昇降装置で一気に地下8階とはいかないようでしたが、せっかくなので各階を見て回ることにしました。
私達は再び昇降装置に乗り込み、7のボタンをポチっとしました。地鳴りがして扉が閉まると今度は床が上に昇り始め、何事も無く地下7階で扉が開きました。
「あれ?なんにも無い……」
地下7階はひたすら広い砂場になっていて、ルーカス君はそれを砂漠とか言っていました。街の外の世界には水が無くて植物が枯れ果て、砂だけになってしまった場所があるんだとか。
天井も他の階より少し高くなっています。
少し歩いてみると天井の穴から砂の滝が降っている場所が何箇所かありますが、本当に外壁以外何も無いようです。
「砂は地下6階から落ちてきてるのかもしれないな。どうなっているのやら」
ルーカス君は上を見ながら呟いています。
とりあえず何も無さそうなので昇降装置に戻ろうとしたらランダム魔法陣を踏んでしまったようで、大人の女性くらいの大きさのトカゲが3匹現れました。
【名 前】レッサードラゴン
【種 族】ドラゴン
【スキル】ブレス(2)
出会いざまに炎のブレスを吐いてきたので慌てて避けました。私達も成長しているのか、割と咄嗟に対応できるようになっています。
「ドラゴンなんて御伽噺でしか聞いたことないよ」
「武器や防具の材料になるくらいドラゴンは皮膚が凄く硬いんだ。まだ子供みたいだけど油断はできないぞ」
私はせっかくなので覚えたての即死魔法を使ってみました。すると、1匹が黒い霧に包まれて息絶えました。
怒った2匹が私の方に向かってきたので不死者を召喚します。地下4階で出てきた大きなゾンビが現れました。今更ですけど、死者を燃やした灰が堆積して不死者となった、アッシャーというゾンビだそうです。
レッサードラゴンがゾンビに気を取られている間に、続け様に即死魔法を放ちます。またやってやりました。運のパラメーターの影響でしょうか、悪魔払いもですが結構な確率で成功します。
残りの1匹はルーカス君が地下5階で拾った真紅の短剣という武器で首を刎ねました。名前の通りに刃が赤くて綺麗な武器です。
「意外となんとかなるな。地下5階とたいして変わらないような気がする」
「私達も強くなってるってことだよね?」
宝箱には金貨5枚と、罠が掛かっている方には神父の絵が刻まれた石版が入っていました。
「また俺じゃあ鑑定できないやつだ」
地下5階に来てから、そういうアイテムも増えてきました。さっきの真紅の短剣もそういったアイテムで、帰ってからリンカーンさんに鑑定してもらいました。
リンカーンさんからは、たまに呪われているアイテムがあるから、知らない装備品は装備しないことは当たり前として、素手では絶対触らないようにと言われています。
一度だけ怪しい仮面を拾いましたが呪われていたらしく、装備すると正気を失う効果があったようです。
他にもスリップダメージを受けたり、動きが遅くなってACが下がったりする装備品があるそうです。
間違えて装備してしまうと、教会に行って呪いを解いてもらうしかありません。
そんな物でもリンカーンさんは買い取ってくれますが、いったい何に使うのでしょうか。
地下4階をなんとか抜けれるようになったばかりだったので、流石にモンスターが強すぎて最初はかなり苦労しました。
一番厄介なのはコカトリスという鳥やゴーゴンという牛などの、石化ブレスを吐いてくる敵です。
軽度の石化はちょっと体が重くなるくらいで放っておけば時間経過で戻るのですが、正面からブレスを浴びた場合に全身が石化して呼吸が出来なくなり、かなり苦しい目に遭って死ぬことになります。おかげで何度リセットしたかわかりません。
あと、ガーゴイルという悪魔族が厄介で、単体では地下4階のオールドデーモン程強くはないものの、最大で9匹まで現れるため大量の魔法を浴びてリセットされることもしばしばでした。
他にも魔法を使う不死者なんかもいて、だんだん敵が意地悪になってきた気がします。
それでもリセットしながらもコツコツとマッピングを続けていると、またもや何処にも扉が無くて侵入できない怪しげな区画がありました。
ルーカス君が隠し扉を感知したので敵を倒して入ってみると、その隠し部屋の先に、壁に押しボタンが付いている部屋を見つけました。
「これ、昇降装置だと思う。5、6、7、8ってボタンがあるだろ。ここは地下5階だから5の所が凹んでるんだ。押したら他の階に行けるんじゃないかな」
私はポチっと8の数字が書かれているボタンを押しました。地鳴りがして入口が自動で扉に塞がれて床が下に降りていきます。いろいろ観察していたルーカス君が慌てて飛んできました。
「おい!?なにやってんだよ!地下5階でも結構やばいのに、地下8階でいきなりエンカウントしたらどうすんだよっ!」
つい、いつもの癖でボタンがあるとポチっと押してしまうのです。そうでなくてもボタンがあると押したくなりませんか?
ルーカス君に言われて私は5のボタンを押し直しましたが一度降りきるまでキャンセルできないようです。
「どうしよう!ボタンがあると押しちゃう癖があって」
「どんな癖だよ。まあここに入る時戦闘にならなかったから出る時も大丈夫だと思うけど」
慌てる私をよそに、昇降装置はゆっくりと下に降りていきます。暫くするとガチャンと音がして扉が勝手に開きました。
「奥に行ってみようか?」
いざとなればリセットすればいいので私が気軽に言うと、ルーカス君はジト目でこちらを見てきました。
「別にいいけど、地下4階の時にクロエは泣いて嫌がったじゃないか」
「うっ」
そんな事はさっさと忘れて欲しいです。でも、別に構わないらしいので私は昇降装置から外に出ました。ルーカス君の予想通り敵は出ません。
出た先は広めの部屋になっています。扉がひとつありましたが、ルーカス君はその扉を訝しそうに眺めていました。
「流石のルーカス君も開ける勇気はないんだね」
私がからかう風に言うと、ルーカス君は首を横に振りました。
「開けるのも躊躇われるけどさ、鍵が必要みたいで開きそうにないんだよな」
鍵は地下8階のどこかにあるんでしょうか。そう思って別の扉を探しましたがどこにも見当たりません。
「隠し扉も感知スキルに引っかからないから、恐らく鍵は地下5階から7階のどこかにあるんだと思う。つまり、ここは行き止まりだな。ランダムエンカウントする前に早く上に戻ろうぜ」
残念ながら昇降装置で一気に地下8階とはいかないようでしたが、せっかくなので各階を見て回ることにしました。
私達は再び昇降装置に乗り込み、7のボタンをポチっとしました。地鳴りがして扉が閉まると今度は床が上に昇り始め、何事も無く地下7階で扉が開きました。
「あれ?なんにも無い……」
地下7階はひたすら広い砂場になっていて、ルーカス君はそれを砂漠とか言っていました。街の外の世界には水が無くて植物が枯れ果て、砂だけになってしまった場所があるんだとか。
天井も他の階より少し高くなっています。
少し歩いてみると天井の穴から砂の滝が降っている場所が何箇所かありますが、本当に外壁以外何も無いようです。
「砂は地下6階から落ちてきてるのかもしれないな。どうなっているのやら」
ルーカス君は上を見ながら呟いています。
とりあえず何も無さそうなので昇降装置に戻ろうとしたらランダム魔法陣を踏んでしまったようで、大人の女性くらいの大きさのトカゲが3匹現れました。
【名 前】レッサードラゴン
【種 族】ドラゴン
【スキル】ブレス(2)
出会いざまに炎のブレスを吐いてきたので慌てて避けました。私達も成長しているのか、割と咄嗟に対応できるようになっています。
「ドラゴンなんて御伽噺でしか聞いたことないよ」
「武器や防具の材料になるくらいドラゴンは皮膚が凄く硬いんだ。まだ子供みたいだけど油断はできないぞ」
私はせっかくなので覚えたての即死魔法を使ってみました。すると、1匹が黒い霧に包まれて息絶えました。
怒った2匹が私の方に向かってきたので不死者を召喚します。地下4階で出てきた大きなゾンビが現れました。今更ですけど、死者を燃やした灰が堆積して不死者となった、アッシャーというゾンビだそうです。
レッサードラゴンがゾンビに気を取られている間に、続け様に即死魔法を放ちます。またやってやりました。運のパラメーターの影響でしょうか、悪魔払いもですが結構な確率で成功します。
残りの1匹はルーカス君が地下5階で拾った真紅の短剣という武器で首を刎ねました。名前の通りに刃が赤くて綺麗な武器です。
「意外となんとかなるな。地下5階とたいして変わらないような気がする」
「私達も強くなってるってことだよね?」
宝箱には金貨5枚と、罠が掛かっている方には神父の絵が刻まれた石版が入っていました。
「また俺じゃあ鑑定できないやつだ」
地下5階に来てから、そういうアイテムも増えてきました。さっきの真紅の短剣もそういったアイテムで、帰ってからリンカーンさんに鑑定してもらいました。
リンカーンさんからは、たまに呪われているアイテムがあるから、知らない装備品は装備しないことは当たり前として、素手では絶対触らないようにと言われています。
一度だけ怪しい仮面を拾いましたが呪われていたらしく、装備すると正気を失う効果があったようです。
他にもスリップダメージを受けたり、動きが遅くなってACが下がったりする装備品があるそうです。
間違えて装備してしまうと、教会に行って呪いを解いてもらうしかありません。
そんな物でもリンカーンさんは買い取ってくれますが、いったい何に使うのでしょうか。
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