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第43話 メサリアからの指示

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王立学院に通い、数ヶ月が立つある日、メサリアに呼び出される
「失礼します。メサリア様、御用でしょうか?」
部屋に入ると、メサリアが微笑みながら待っている
「イールス座りなさい」
「失礼いたします。本日もお元気そうで嬉しく思います。メサリア様、本日はどのような御用でしょうか?」
ソファーに座りメサリアに聞く

何かクレームでも来たのか? どうしたら良いのだろうか?

「イールス、この一年で本当に成長嬉しく思いますわ。もう少しで王立学院の長期休暇になりますが、1度領地に戻り、領地の見聞をしてきなさい」
メサリアが微笑みながら言う
「え! 領地ですか? 見聞と申されても…大変申し訳ありませんが、卒業したら家を出るので必要無いと思いますが…」
少し困惑した様子で言う

領地に行きたくない…折角迷宮に毎日潜れると思ったのに…

「イールス、愚かなお義母様達に見せ付けて来なさいですわ!」
「下賤な身ですので、見せ付けるなんて滅相も有りません、フレール様とザイラネ様の御機嫌を損ねて、険悪な空気になりかねません」

考え直して欲しい…見せ付けるなんて、暗殺して欲しいと言っている状態になりそう

「アーセリオドールとアーメリアも行きます。 ロイホールも同行です。イールスには、ゆっくり休む事も必要ですわ」
メサリアが笑顔で言う
「アーメリア様も御一緒するのですか?」
「フレールお義母様とザイラネお義母様は、アーメリアが押さえてくれますわ、領地を楽しんできなさい!アーメリアも寂しがりますわ」

仕方無いのか…行きたくない

「メサリア御姉様と呼んでくれるなら、行かなくても良いですわ」
メサリアが期待を込めてイールスを見ている
「え!…大変申し訳ありませんが、下賤な身、御姉様とお呼びするのは、御遠慮致したく思います…申し付け通り領地に同行します」
頭を下げながら言う
「寂しいですわ…御姉様と呼んで貰えないなんて…本当に悲しいですわ」
メサリアが落胆した様子で言う


王立学院に向かい、教室に入る
「イールス様、おはようございます」
アリシナがイールスを見付けて言う
「アリシナ様、おはようございます」
微笑みながら言い、アリシナの隣に座り、アリシナは嬉しそうにしている
「イールス様は、休み何をなさいますか?」
「実は、1度王都を離れる事になってしまいました」
「え! そうなのですか…いつお戻りに?」
アリシナが残念そうに言う
「1月は戻れないと思います。折角迷宮に沢山潜ろうと思っていたのですが…」
残念そうに言い、詳しく説明している

「帰ってきたら…会いたいです」
アリシナが少し不安そうに言う
「クーレセント子爵家のパーティーには参加するように申し付けられているので、それまでに帰ってきます」
「はい! 必ず参加します」
アリシナが嬉しそうに言うと、少し離れた所にいる生徒達がヒソヒソ話をしている

講師が入ってくる
「イールス、少し話が有るから、一緒に来て下さい」
講師が呼ぶ

え? 何かしたかな?

イールスが講師の元に向かい、一緒に応接室に向かう
「イールス君、家柄を教えて貰えないか?」
講師がイールスを睨みながら聞く
「え! 下賤な身なので、家柄を申し上げるのも大変申し訳ないと思っています。それに家柄で差別はしないのですよね?」
慌てて言う
「試験の結果を張り出すのが、通例だが…断トツの首席の成績だ! 爵位有る家柄で無いと問題になる」
「強制は出来ないはずです。 王立学院を卒業したら、冒険者になるつもりなので、養って貰っている家に迷惑は描けたく有りません」
「非常に困っている!! イールス君宛のパーティーの招待状だけで、この量だ!!」
講師が束になった招待状を机に置く
「全部参加する気は有りません」
「アールストリア公爵家からイールス君の家柄について、問い合わせが有ったから、教えて欲しい」
「何を言われても、お断りします」

かなり面倒になりそう…どうしよう

「成績が悪いなら、親を呼び出して話しも出来るが…首席だから呼ぶのは…不可能か…兎に角、このまま家柄が解らないと、色々不都合が有る」
講師が困ったように言う
「何を言われても、迷惑になりますので、平民と言う事にしておいて下さい」
「ダメか…強制は出来ないから…学院長に相談するか…一緒に来るように」
講師が言うと、学院長の部屋に向かい、講師が必死に学院長に説明している

「イールス君、家柄を言う気にはならないのか?」
学院長がイールスを見て言う
「学院長様、大変申し訳ないのですが、アーゼリアストリア王立学院は、学びの学院です。 王国から貴族特権を介入されないのを、王国から決められていたと記憶してます。身分に関わらず多くの優秀な人を輩出が、王立学院の意義ではないのでしょうか?」
イールスが学院長見て言うと、講師が学院長を見ている
「その通り、身分を問わない、貴族特権の介入もさせない、何か有っても生徒の保護が王立学院の学院長の責務になる」
学院長が言うと、講師がイールスを見ている
「今、講師様が家柄を言えと、強要するのは、どうして止めないのですか? 身分を問わないと言いつつ、身分が無いと色々不都合が有ると言うのは、何故ですか? 御説明を求めます」
「それは…講師が求める気も解るが、王立学院の意義から外れている事は、否めない…貴族特権の介入と受け止められるか…身分…イールス君の言う事が正しいな…」
学院長が考え込んで、溜め息をして講師を見ている
(言い返す、言葉が無い…覆せば、王家に逆らうことになりかねない…学院は生徒を守る義務も有る)

「イールス君に家柄を問うのは、王立学院の意義に反する、辞めるように」
学院長が講師を見て言う
「公爵家からの問い合わせになんて、答えれば…」
講師が呟く
「公爵家からの介入に屈するのですか?」
イールスが講師を見て言う
「王立学院の意義を伝え、断るように…それが学院長としての決定だ」
学院長が言うと、講師が落胆している
「学院長様、ありがとうございます。これで安心して、学べます」
頭を下げながら言うと、講師が泣きそうになっている

教室に戻ると、アリシナとフレシカが心配そうに見ている
「イールス様、何か有ったのですか?」
アリシナが心配そうに聞く
「家柄を教えろと、しつこく言われただけです。学院長様が、助けてくれました」
微笑みながら言うと、話の内容を説明している

「イールス様…学院長を説得するなんて…流石イールス様です」
アリシナが笑顔で言う
「イールス様の言葉は凄いですが、講師様がそこまで家柄を問うなんて、何故でしょうか? 」
フレシカが不思議そうに聞く
「貴族の家から問い合わせと言ってました。 それに、この束の所為です」
イールスが招待状を置くと、アリシナとフレシカが招待状を見て顔を見合せている
(招待状が多いから? それにこれは子爵家や男爵家からも有ります…エリーゼマリーナ様は直接渡せても、仲が良くないと手渡しは難しいから? イールス様を取られないようにしないと…)
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