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第一章

所有欲②

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 ハインリヒ視点の続きです



 ◇ ◇ ◇



 あどけない寝顔に掛かっている黒髪を一筋指で除けると、彼女がむにゃむにゃ言いながら寝返りを打った。

 いい夢を見ているのか、薄っすらと微笑んでいるその寝顔を直視してしまい、脳天まで雷のような電流が突き抜ける。

 衝撃なんて生易しいものじゃない。

 何だこれは……!?
 
 動悸が止まらない。
 心臓が高鳴ってバクバクいっている。


 
 目覚めたら笑いかけて欲しい。笑い顔が見たい。

 彼女の青い瞳を初めて見た時の幸福感より、素晴らしいに違いない。

 何をすれば笑ってくれるのだろうか。

 彼女の愛が欲しい………



『…嫌われても知りませんからね。一から手順を踏んで、出会いから始めたほうが後悔が無くていいと思いますよ』

 エリアスの言葉が脳裏に浮かんだ。

 チリチリと、焼け付くような辛いものが胸を焦がした。
 生まれて初めての感情に、これが後悔なのかと我ながら驚く。思えば、嫌がっている女を抱いたことなど無かった。
 自分から股を開く女しか抱いてこなかった。
 
 そうした女たちと、サラディーヌ様は違う、ということに初めて気付いて驚愕する。今更だ。
 これでは戦場で敵村の生娘を犯す兵士たちと、やっていることは一緒じゃないか………
 

 …そうか。俺は、サラディーヌ様の身体だけで無く、心も欲しいのか……


 …だが、半ば強引に処女を奪って、貫き続けた時間を巻き戻すことは叶わない。
 
 エリアスの言っていた通りだ―――

 だとしたらもう、することは一つしか無い。
 身体を陥落させて、俺に溺れさせ、まず身体の関係から恋を始めよう―――
 どうせ俺は武人だ。不器用なやり方だろうがそれしか思いつかない。

 もう一度、開いた瞳を見たいと願う。
 俺のものになったという証をまた見たい。


 ふと、視線が彼女の身体のほうに移動してしまうと、白濁した精が白い裸体の内ももを汚しているのが目に入って、頭に血が上った。

 竿を抜いたことで、膣内なかに放った子種が流れ出ていた。
 真っ先に考えたのは、流れ出てしまうのは我慢ならない、ということだった。

 彼女のはらの中に子種を溢れさせたい。

 身体中の血という血が、逆巻いて己のものに逆流したかのような錯覚を覚える。
 滾って勃起し続けているそれが、腹まで反り返ってビクビクしていた。


 抱いて子種をもっともっと孕むまで注いで、その白い身体を突きまくって思うまま貪りたい。

 昏い欲情以外、何も考えられなくなり、彼女の身体をうつ伏せにして覆い被さった。

 吸い付くような匂い立つ肌の感触に、ぞくりとする。

 どうせ、普通の恋人同士になるのが今更手遅れなら、この身体を所有する―――


 震えながら、ずっと貫き続けていた蜜穴に亀頭を充てがって一気に貫いた。
 女を貫くのに、こんなにもたもたしたのは久しぶりだった。童貞から脱する時、女の蜜壺あながどこにあるのか分からず手間取った時以来だ……
  
 大きく身体が跳ねたが、すぐには起きなかったようだ。少しずつ腰を揺らして、膣壁をただひたすら擦り出す。
 思惑通り膣内なかがほぐれ愛液で潤み始めると、俺のものを気持ちよさそうに喰い締めてくる。

 もう快楽を貪ることに躊躇は無かった―――

 …ほら、堕ちてこい……
 俺のものでずっと栓をして注いでやる。

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