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第一章
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智則に会うために文化祭の打ち合わせはほぼ秋葉の家で行った。
行くたびに智則に『由希兄』と教え込んだ。まだ『う~にい』しか言えないけれど。
由希でもいいんだけど、兄ってなってる間は手出ししないでいられそうだし、それに、由希兄から由希に変わる時って萌える。
智則も俺を気に入ったようで、遊びに行くと、玄関までとトタトタと手を広げながら走ってくる姿がとても愛らしかった。
軽く抱き締めると幼児特有の甘い甘い香りがして、幸せってこういう事を言うのだとしった。
智則を膝の上に乗せて一馬とスケジュールを話し合う。
ハウスキーパーがおやつを持ってくる智則の分と一馬たちの分だ。
智則のゼリーをスプーンにすくって口元まで運んであげる。
「ほら、智則。あ~ん」
「あ~」
ぐっ。かわいいぞっ。
雛鳥のようにパクパクとついばんで行く。
あああああ!
悶絶。
修練したから、智則の頬にスプーンが刺さることも無くなったから、智則も上機嫌だ。
智則は満腹になったみたいでそのままうとうとし始めた。
眠りやすい位置に抱えなおし、いつも通りそのつむじにキスを送った。
秋葉が何か言いたげな顔でこちらを見てくるが無視をした。
智則を抱えたまま自分に出されたメロンを食べる。前まではアイスなども提供されていたが、智則に給餌させてからともなるとアイスはドロドロに溶けてしまい、それを見たハウスキーパーが以降溶けないものにしてくれた。
美味しいな。
智則を膝の上に乗せていると食事が美味しく感じる。食べ物に味を感じるようになったのだ
智則が眠っている間にクレープ屋のシフトについて話し合う。誰と誰が仲がいいとかそういったことだ。秋葉はその辺の人間関係を良く把握していた。コイツはそういうのでのし上がっていくタイプだろう。
智則が目を覚ました。今日の打ち合わせはここまでにして智則と遊ぶことにする。
膝の上に乗せたまま絵本を読んであげる。
気に入ったフレーズはもう1度読んで欲しいようで俺の腕の中で顔を上げてこちらをじっと見つめてくる。
…………
ポタ
鼻血が出た。
一馬が無言でティッシュを渡してきた。
ティッシュを鼻に詰めたまま絵本を読み上げる。
智則は俺の胡座の上でキャッキャキャッキャと笑っている。
鈴の音のような声にうっとりと聴き入った。
智則が手を叩いて喜んでいる。その振動が内腿に響いてくる。
ヤバい。
精通はまだだけど、ヤバい。
副担の三段腹を思い出して、必死に散らした。
秋葉は気が付かなったようだ。というか、秋葉にはまだその知識がないようだ。
この辺りの早熟度合いも上位種かそうでないかで変わる。………下位でありがとう。
教室の飾り付けや買い出し、秋葉の習い事などが重なって智則に会えない日々が続いた。
それだけで、心臓がバクバクとした。所謂不整脈というやつなのだろうか。
堪えきれなくなって秋葉の家に向かった。
けれど、用事がない。
門の前でウロウロしていると、島野と秋葉がやってきた。
「あれ?唐澤君?秋葉んチの前でどうしたの?」
「あ~。えっと……」
しまった。何も考えてなかった。ただただ智則の事しか頭に無くて……
「ああ、ノート。ノートが唐澤君のと逆になっちゃってたから。明日持って行こうと思ってたんだけど、今日使う予定だった?ゴメン」
秋葉が適当な事をいう。嘘がスラスラ出るあたり、やっぱりコイツもαなんだな。
「ああ、うん。今、もらえると助かるかな」
「じゃ、中どうぞ」
秋葉に玄関を開けられ中に入る。何故か島野もついてきた。
「「おじゃまします」」
智則が駆け寄ってきた。
「おかえり?」
「「ぐっ」」
智則の愛らしさに島野と俺で声が漏れた。そして、先に靴を脱いでた島野が智則を抱きあげて高い高いをしてあげた。
…………クソっ出遅れた。こういう事がないように、αは兎に角成長が早いのにっ
「にいたん」
智則が楽しそうに笑った。
「か、唐澤君、その威圧、しまってくれないかな~」
咄嗟に出ししまったらしい。肝心の島野は少し離れた所にいるから効いてないし。
ため息という名の深呼吸をした。少し、少しだけ落ち着いた。
ただ……現実にかえる。
由希が秋葉家にこれていたのは、文化祭のためだ。それももう終わる。
一週間ちょっと会えなかっただけで、焦燥感に囚われたのだ。
今後、どうすれば……
文化祭は大いに盛り上がった。由希がかなり綿密に工程を組んだのが大きい。
マドンナ的なΩには『私のためにありがとう』と言われた。ついでに『お礼に、付き合ってあげてもいいわよ』と訳が分からん上から目線のことを言われた。
お前なんて智則の半分も可愛くない。
行くたびに智則に『由希兄』と教え込んだ。まだ『う~にい』しか言えないけれど。
由希でもいいんだけど、兄ってなってる間は手出ししないでいられそうだし、それに、由希兄から由希に変わる時って萌える。
智則も俺を気に入ったようで、遊びに行くと、玄関までとトタトタと手を広げながら走ってくる姿がとても愛らしかった。
軽く抱き締めると幼児特有の甘い甘い香りがして、幸せってこういう事を言うのだとしった。
智則を膝の上に乗せて一馬とスケジュールを話し合う。
ハウスキーパーがおやつを持ってくる智則の分と一馬たちの分だ。
智則のゼリーをスプーンにすくって口元まで運んであげる。
「ほら、智則。あ~ん」
「あ~」
ぐっ。かわいいぞっ。
雛鳥のようにパクパクとついばんで行く。
あああああ!
悶絶。
修練したから、智則の頬にスプーンが刺さることも無くなったから、智則も上機嫌だ。
智則は満腹になったみたいでそのままうとうとし始めた。
眠りやすい位置に抱えなおし、いつも通りそのつむじにキスを送った。
秋葉が何か言いたげな顔でこちらを見てくるが無視をした。
智則を抱えたまま自分に出されたメロンを食べる。前まではアイスなども提供されていたが、智則に給餌させてからともなるとアイスはドロドロに溶けてしまい、それを見たハウスキーパーが以降溶けないものにしてくれた。
美味しいな。
智則を膝の上に乗せていると食事が美味しく感じる。食べ物に味を感じるようになったのだ
智則が眠っている間にクレープ屋のシフトについて話し合う。誰と誰が仲がいいとかそういったことだ。秋葉はその辺の人間関係を良く把握していた。コイツはそういうのでのし上がっていくタイプだろう。
智則が目を覚ました。今日の打ち合わせはここまでにして智則と遊ぶことにする。
膝の上に乗せたまま絵本を読んであげる。
気に入ったフレーズはもう1度読んで欲しいようで俺の腕の中で顔を上げてこちらをじっと見つめてくる。
…………
ポタ
鼻血が出た。
一馬が無言でティッシュを渡してきた。
ティッシュを鼻に詰めたまま絵本を読み上げる。
智則は俺の胡座の上でキャッキャキャッキャと笑っている。
鈴の音のような声にうっとりと聴き入った。
智則が手を叩いて喜んでいる。その振動が内腿に響いてくる。
ヤバい。
精通はまだだけど、ヤバい。
副担の三段腹を思い出して、必死に散らした。
秋葉は気が付かなったようだ。というか、秋葉にはまだその知識がないようだ。
この辺りの早熟度合いも上位種かそうでないかで変わる。………下位でありがとう。
教室の飾り付けや買い出し、秋葉の習い事などが重なって智則に会えない日々が続いた。
それだけで、心臓がバクバクとした。所謂不整脈というやつなのだろうか。
堪えきれなくなって秋葉の家に向かった。
けれど、用事がない。
門の前でウロウロしていると、島野と秋葉がやってきた。
「あれ?唐澤君?秋葉んチの前でどうしたの?」
「あ~。えっと……」
しまった。何も考えてなかった。ただただ智則の事しか頭に無くて……
「ああ、ノート。ノートが唐澤君のと逆になっちゃってたから。明日持って行こうと思ってたんだけど、今日使う予定だった?ゴメン」
秋葉が適当な事をいう。嘘がスラスラ出るあたり、やっぱりコイツもαなんだな。
「ああ、うん。今、もらえると助かるかな」
「じゃ、中どうぞ」
秋葉に玄関を開けられ中に入る。何故か島野もついてきた。
「「おじゃまします」」
智則が駆け寄ってきた。
「おかえり?」
「「ぐっ」」
智則の愛らしさに島野と俺で声が漏れた。そして、先に靴を脱いでた島野が智則を抱きあげて高い高いをしてあげた。
…………クソっ出遅れた。こういう事がないように、αは兎に角成長が早いのにっ
「にいたん」
智則が楽しそうに笑った。
「か、唐澤君、その威圧、しまってくれないかな~」
咄嗟に出ししまったらしい。肝心の島野は少し離れた所にいるから効いてないし。
ため息という名の深呼吸をした。少し、少しだけ落ち着いた。
ただ……現実にかえる。
由希が秋葉家にこれていたのは、文化祭のためだ。それももう終わる。
一週間ちょっと会えなかっただけで、焦燥感に囚われたのだ。
今後、どうすれば……
文化祭は大いに盛り上がった。由希がかなり綿密に工程を組んだのが大きい。
マドンナ的なΩには『私のためにありがとう』と言われた。ついでに『お礼に、付き合ってあげてもいいわよ』と訳が分からん上から目線のことを言われた。
お前なんて智則の半分も可愛くない。
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