37 / 83
2章
27.脱出開始
しおりを挟む
外からの大きな声が聞こえた。・・・アン?
そのあとにわぁーーー!!って歓声が聞こえる。きっと武神円舞とか言うのが始まったんだ。
「始まりました。行きましょう」
イルガがリューを背負って歩き出した。僕はイルガについていく。暗い地下の牢にずっといたから目が慣れたみたい。すいすいと歩ける。
イルガは時々僕の方を振り返りながら歩いていく。
段差のところとか、滑りやすいところとかを教えてくれるから僕としては物凄く助かった。
しばらく行くと光が見えてきた。
「こちらです。・・・ここから出て右手の通路に進んでください。突きあたりにレイサ様がお待ちです」
「ありがと」
「御武運を――」
イルガからリューを受け持つ。うっ、以外と重い?
でも背負えない重さじゃない。まぁさすがに気を失ってる人と意識がある人じゃ随分違うんだけど。
イルガに言われた通りに出てから右側の通路に進む。
暗いところから一気に明るいとこに出たせいかすごく眩しい。光が目に染みる。
進んでいくと突き当たりにレイサ君が壁に持たれかけていた。あれ?指をなんか動かしてる?
「あれ?マチルダ様では無いですか!」
「あぁ、レイサ様。本日は皇太子殿下の祝にお招きいただきありがとうございます」
「いえ、私は何もしておりませんので――。只今、兄様がイシュミナ様と共に武神円舞を行っておりますが、観に行かれないのですか?」
「ははっ、私は文はともかく武の方面はからっきしだめでしてね。酒にも人にも酔ってしまったので遠慮させて頂いております。それでは」
うそ・・・?こっち来る!?
僕はきょろきょろと隠れるところを探すが、生憎そこは長い廊下。逃げるにも隠れるにも間に合わない。
「あ」
嘘・・・・・・目、合っちゃった・・・。
マチルダさんはふとレイサ君を振り向いて何やら考え込んでいた。また目が合う。
マチルダさんはくすっと笑うと僕に会釈をして通りすぎた。
通りすぎる直前――。
「大丈夫です。誰にも言いませんから」
そう言われた気がした。僕はリューを背負ってるし、言い逃れようがないのに――。
僕は急いでレイサ君の元へ行った。
「リュー!?」
「ごめん、牢の中で具合い悪くなったみたいで寝てる」
「僕が背負う。お前はついてこい」
ここでリューをバトンタッチ。レイサ君は僕を気にすることもなく歩き出す。リューを気にすることはあっても僕を振り向いたりはしない。
まるで迷路みたいな廊下を歩いていく。
マチルダさんとすれ違った以外は誰とも会うことはなかった。裏口だと言う場所でリューを渡される。
「・・・・・・不快だ」
「え、、?」
「お前にリューを任せるなど・・・。しかし、頼んだ。再び会うときまでリューを――」
そこへ人の声が近づいてきた。
どうやら武神円舞は終わったようだった。
「これをやる!早く行け!!」
「うん!ありがと」
レイサ君から皮袋を受け取った。
僕は急いで裏口の扉を出た。
そこは森の中だった。
日の出に近いとは言え、まだ4時前だ。辺りは暗い。
「リュー・・・・・・行こうか」
心細くないって言ったら嘘になる。でも、まずはここから出なくちゃいけない。僕は森の中を歩いていった。
まっすぐ歩いていく。
塀にぶつかったとこに出口があるはずだ・・・。あと少し、もうちょっと・・・。
「よいしょっ」
リューを背負い直してまた歩く。・・・裸足だから痛い。牢に入れられるときに靴だけ取り上げられてしまった。あのときお願いしてみれば良かったなぁ・・・。
しばらく行くと塀に当たった。
「どっかに・・・穴が・・・・・・どこ?」
あ、塀に一角に切り込みのある場所があった。軽く押してみると、動くようで強く押した。すると、そこに僕ならぎりぎり通れそうな穴が現れた。
たぶん普通の人はこんな穴から通るなんて出来ないから直してなかったんじゃないかな?
さすがに背負って通れるほどこの穴は大きくなかった。
リューを穴のところに横たえる。
僕は先に出て、リューを外からの引っ張った。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・出れた・・・・・・」
そのあとにわぁーーー!!って歓声が聞こえる。きっと武神円舞とか言うのが始まったんだ。
「始まりました。行きましょう」
イルガがリューを背負って歩き出した。僕はイルガについていく。暗い地下の牢にずっといたから目が慣れたみたい。すいすいと歩ける。
イルガは時々僕の方を振り返りながら歩いていく。
段差のところとか、滑りやすいところとかを教えてくれるから僕としては物凄く助かった。
しばらく行くと光が見えてきた。
「こちらです。・・・ここから出て右手の通路に進んでください。突きあたりにレイサ様がお待ちです」
「ありがと」
「御武運を――」
イルガからリューを受け持つ。うっ、以外と重い?
でも背負えない重さじゃない。まぁさすがに気を失ってる人と意識がある人じゃ随分違うんだけど。
イルガに言われた通りに出てから右側の通路に進む。
暗いところから一気に明るいとこに出たせいかすごく眩しい。光が目に染みる。
進んでいくと突き当たりにレイサ君が壁に持たれかけていた。あれ?指をなんか動かしてる?
「あれ?マチルダ様では無いですか!」
「あぁ、レイサ様。本日は皇太子殿下の祝にお招きいただきありがとうございます」
「いえ、私は何もしておりませんので――。只今、兄様がイシュミナ様と共に武神円舞を行っておりますが、観に行かれないのですか?」
「ははっ、私は文はともかく武の方面はからっきしだめでしてね。酒にも人にも酔ってしまったので遠慮させて頂いております。それでは」
うそ・・・?こっち来る!?
僕はきょろきょろと隠れるところを探すが、生憎そこは長い廊下。逃げるにも隠れるにも間に合わない。
「あ」
嘘・・・・・・目、合っちゃった・・・。
マチルダさんはふとレイサ君を振り向いて何やら考え込んでいた。また目が合う。
マチルダさんはくすっと笑うと僕に会釈をして通りすぎた。
通りすぎる直前――。
「大丈夫です。誰にも言いませんから」
そう言われた気がした。僕はリューを背負ってるし、言い逃れようがないのに――。
僕は急いでレイサ君の元へ行った。
「リュー!?」
「ごめん、牢の中で具合い悪くなったみたいで寝てる」
「僕が背負う。お前はついてこい」
ここでリューをバトンタッチ。レイサ君は僕を気にすることもなく歩き出す。リューを気にすることはあっても僕を振り向いたりはしない。
まるで迷路みたいな廊下を歩いていく。
マチルダさんとすれ違った以外は誰とも会うことはなかった。裏口だと言う場所でリューを渡される。
「・・・・・・不快だ」
「え、、?」
「お前にリューを任せるなど・・・。しかし、頼んだ。再び会うときまでリューを――」
そこへ人の声が近づいてきた。
どうやら武神円舞は終わったようだった。
「これをやる!早く行け!!」
「うん!ありがと」
レイサ君から皮袋を受け取った。
僕は急いで裏口の扉を出た。
そこは森の中だった。
日の出に近いとは言え、まだ4時前だ。辺りは暗い。
「リュー・・・・・・行こうか」
心細くないって言ったら嘘になる。でも、まずはここから出なくちゃいけない。僕は森の中を歩いていった。
まっすぐ歩いていく。
塀にぶつかったとこに出口があるはずだ・・・。あと少し、もうちょっと・・・。
「よいしょっ」
リューを背負い直してまた歩く。・・・裸足だから痛い。牢に入れられるときに靴だけ取り上げられてしまった。あのときお願いしてみれば良かったなぁ・・・。
しばらく行くと塀に当たった。
「どっかに・・・穴が・・・・・・どこ?」
あ、塀に一角に切り込みのある場所があった。軽く押してみると、動くようで強く押した。すると、そこに僕ならぎりぎり通れそうな穴が現れた。
たぶん普通の人はこんな穴から通るなんて出来ないから直してなかったんじゃないかな?
さすがに背負って通れるほどこの穴は大きくなかった。
リューを穴のところに横たえる。
僕は先に出て、リューを外からの引っ張った。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・出れた・・・・・・」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
216
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる