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人質

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 縄でグルグル巻きに縛られて床に転がされたホレス。
 僕たちは、なぜに攻めて来たのか尋問を始める。

「お前はなんで攻めて来た? それと何者なんだ?」
「お前はバカか? 刺客が身元を明かすわけがないだろ」

 やはり口は割らないか。

「ならば、拷問に掛けるか?」

 リサさんは杖をホレスに突き付けながら、怖いことを言い始めた。
 ホムがホレスを煽り始める。

「そう、ホレスは身元を名乗れない程、卑しい者。名もない庶民だとホムは思う」
「わ、我を愚弄する気か?」
「名乗ることもできない。間違いなく庶民だとホムは結論付けた」
「我は庶民などではない! ヘクシアの大賢者メレスの弟子ホレスだ!」

 勝ち誇ったように語るホレス。
 床に転がりながらな。
 それ以上に勝ち誇る者が現れた。
 ホムだ。

「犯人ホレスは身元を明かした。この犯人は口が軽くて信用できないとホムは思う」
「ぐはっ!」

 まんまとホムの策略に乗ってしまった上にプライド迄ズタズタに切り裂かれるホレスであった。

 あれ?
 でも……なんかおかしくない?
 大賢者って4人だけだったんじゃないの?
 5人目の大賢者なんて聞いたことがない。
 ぶっちゃけ偽物なんでは?

「大賢者は4人だけだろ。5人目の大賢者なんて聞いたことないぞ」
「ぶははは! いつから大賢者がバーナリアだけのものと思った?」
「そうじゃ。他国にも大賢者はおるのう」

 僕は初めて聞いたんだけど、大賢者である師匠がそういうんだからそうなんだろう。
 リサさんは青く光った審判の宝珠を見ながら呆れた顔をして溜息を吐く。

「どうやら他国の貴族っていうのは本当みたいなんだけど扱いに困るわね。ここで切り捨てると外交問題になりそうだし、国に渡しても扱いに困りそうだよね。どうする?」

 バイオレットさんがとんでもない解決策を提案した。

「なんなら、海のど真ん中に重りを付けて捨ててきましょうか?」
「証拠が残らないし、その案がいいわね」

 リサさんも乗り気だ。
 それを聞いたホレスはガクガクを震え始める。

「え? 冗談だよな? やめろ!」

 ホレスはまるで死人のように顔面蒼白だ。
 そんなホレスの横っ面をリサさんが踏みつける。

「ここにアーキ君を殺しに来たんだから、負けたら殺されるの覚悟をして来たんだよね?」
「我が負けるわけが……」
「お前は負けたんだよ!」

 ホレスは何も言い返せず黙り込んだ。
 リサさんが現実的な処分の着地点を導き出す。

「とりあえず、王子に人質として渡して外交の切り札にでも使ってもらうしかないかな?」

 全員一致でリサさんの案に乗ることにした。
 移送は蒼天丸で行い、リサさんとマイカ姉ちゃんも見張りに付くことに。
 ホレスを積み込もうとしたら、まばゆい光が庭に現れた。
 ポータルだ。
 中からとても綺麗な女の魔導士が現れた。
 見ただけでかなりの実力者とわかる。
 女魔導士は落ち着き払った態度で僕らに話しかけてきた。

「私はヘクシアの予知の大賢者『メレス』。弟子のホレスを貰い受けに来たわ」
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