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第二章
21.甘やか ★
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それからひと月あまりが経った。秋の気配が深まり、街路樹の葉は美しい赤や黄に染まり始めた。
リアは相変わらず屋敷と工場を往復し、ファティアナの装身具を作る生活を送った。
変わったことは、大通りからエルフたちがいなくなったことと、共に暮らすゼルドリックとの生活だった。
二人はお互いの感情を露わにしてからというもの、仲直りをするように、あるいは今までの埋め合わせをするように、毎日頻繁に会話を交わした。素直に感情を表すゼルドリックと、彼に対する恐怖心が無くなったリア。二人はゆっくりではあるが、確実に打ち解けていった。
リアにつられてゼルドリックも早朝に起きるようになり、二人で朝食を食べた後は、薔薇の咲き誇る庭園を散歩した。リアが工場に向かう際は、ゼルドリックが屋敷の前まで見送りに来てくれた。
そして、リアがいつも先に屋敷に戻るので、野菜や肉を買って帰り夕食を作っておくのがここ最近のリアの習慣だった。
二人はいつも食事を共にした。
ゼルドリックの作る料理は美味しい。彼の黒く長い指から、芸術のような作品が作り出される。優美なものを好むエルフらしく、彼が作る料理は味だけではなく見た目もとても良かった。本人は中々の腕だと言っていたが、リアはまるで料理人の様だと思った。
ゼルドリックもまた、リアの作った料理を褒めた。皮肉の色を帯びない真っ直ぐな賛辞は、リアの心に沁み入った。はずれの村で君の料理を食べた時、美味しくてとても嬉しかったのだとゼルドリックは言い、リアを照れさせた。
ゼルドリックはリアに対し随分と甘くなった。リアが笑みを見せると、彼も嬉しそうに笑う。毎日、お気に入りの菓子屋で買ったクッキーを手ずからリアに与え、リアの赤い髪を撫でた。リアが顔を真っ赤にすると、彼は微笑んだ。
穏やかなゼルドリックとの生活が続く中、リアは様々なことに目を向けるようになった。
彼のばら屋敷は美しいが、よく見るとところどころ年季が入っているところがあった。庭や大広間の噴水は崩れかけているし、壁も薄く、剥がれかけている部分がある。リアは自分の手先の器用さを、部屋を貸してくれるゼルドリックのために役立てたいと考えた。仕事終わりに毎日少しずつ、彼の屋敷を直していく。ゼルドリックはそんなことはしなくて良いと止めていたが、真剣な顔で無心に取り組むリアを見て、やがて何も言わなくなった。
彼の屋敷を彩る、無数の咲き誇る薔薇。広大な庭に咲く薔薇は手入れが追いついていないようで、植物が好きなリアは薔薇の剪定も買って出た。
リアの手で、屋敷本来の美しさが取り戻されていく。ゼルドリックの広くも空虚だった屋敷は、リアの存在で少しずつ活き活きとし始めた。この大きな屋敷の中で百年以上ひとりで暮らしてきたゼルドリックは、好きな女と暮らすことがこれほどまでに自分に充足感を与えるのかと日々驚いていた。
一緒に料理を作り、食事しながら会話をし、薔薇の庭を巡り、リアを送り届ける。
そして、自分が家に帰ればリアがいる。
あの、満面の笑みを自分に向けてくれる。
ゼルドリックは幸せだった。リアと暮らすこの幸せを、決して手放したくなかった。
――――――――――
「ふっ……い、やあっ……、ゼルドリック様……ああっ! あ、ああっ……ふ、うう……」
「はあっ……んむっ……リア、リア……! すっかり尖って硬くなっているな……こんなに、赤く腫れきって……」
リアはゼルドリックが屋敷に戻ってきてからというもの、再び淫らな夢を見る様になった。
今、リアは自室の大きなベッドの上で、黒の王子様に胸を嬲られ続けている。
「ああ……おね、がい……弾かないでえ……じくじくするのっ……」
(こんなの、こんなのいけないのに……! どうして、私こんな夢ばかり見てしまうの?)
リアは快楽の涙を流しつつ、自分を責めた。月のものが訪れた時以外は、常に夢の中で彼と逢瀬を重ねている。示し合わせたように現れるゼルドリックの幻。自分の浅ましさが情けなくて。でも、幻とはいえ好きな彼から触れてもらえるのが嬉しくて。リアの心は歓喜で震えた。
ゼルドリックはわざと舌を伸ばしてリアの顔を見た。これから自分の舌が胸を犯すのだと宣言するように。リアの怯えと期待に潤む瞳を愉しげに覗き込んだ後、リアの乳首を口に含み、熱い舌でじっくりと舐め回した。そして、わざわざ音を立てて吸い上げた。羞恥を煽るような彼の行動に、リアは感じ入った声を上げる。
「ふ、あ、ああああああああぁぁ……はあっ……」
「リア……あむっ……れろ……ちゅ、……んっ……」
「あっ……あ、あ……! 舌でぐりぐりするの、だめ………はあんっ……」
「はは……とっても、気持ちよさそうだな? リア……もっと、気持ち良くしてやるからなっ……」
(気持ちいい……ゼルドリック様、もっと……もっとして……)
リアは黒く艶のある髪に指を差し込んで、胸を吸う彼を甘えさせるように撫でた。ゼルドリックは口の端を上げて、求めに応じるようにリアの胸を尚更責め立てた。
ゼルドリックのことが好きだとはっきり自覚してから、リアは黒の王子様と、現実のゼルドリックを分離させて考えることが出来なくなってしまった。目の前の彼が、現実のゼルドリックだったら良いのにと、切なさをごまかすように彼に呼びかける。
「ゼルドリックさま……ゼルドリックさま……!」
高慢で、嫌味たらしくて。
でも実は素直で。優しくて、甘く笑う顔がとても素敵で。低い声も、黒い髪も、料理が上手なところも、毎朝私を見送ってくれるところも、全部好き。
黒い肌に光が当たって、きらきら金色に輝くのを見るのが好き。
青い瞳に見つめられると、心が擽ったくなる。
好き、好き、好き……。
リアの中で、ゼルドリックに対する恋情が募っていく。恋い焦がれる現実のゼルドリックに向かって呼びかけるように、リアは彼の尖った耳に口を寄せた。
「ゼルドリック様……ずっと、身体が熱いの。……ねえ、熱を取って? お願い……」
彼の劣情を煽るように、リアが自分の豊満な胸を彼に寄せてねだった。ごくり、とゼルドリックが唾を飲み込む音がした。
「あっ……!? あああ、あ、ゼルドリック様! 何をして…………」
ゼルドリックは身を捩るリアを簡単に押さえつけ、リアの下着を取り払った。そして両の脚の間に素早く膝を置き、リアが脚を閉じられないようにした。
リアは下着に手を入れられ、秘所に触れられたことは何度もあるが、こうして直接見られるのは初めてのことだった。濡れそぼった秘所を晒され、じっと見られている。リアはそれを認識した途端、顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。
「や! やだっ……やだあ! 恥ずかしいの、そんなに見ないで! お願い、ゼルドリック様………あ、ああ……」
「煽ったのは君だ。それにしても……ずっと触っていて思っていたが。君のここはとても滑らかだな? 処理をしているのか?」
羞恥に泣き始めたリアを落ち着かせるように額にキスを落とし、ゼルドリックは黒く長い指で、毛の無いリアの秘所をゆっくりなぞりあげた。ゼルドリックは、その柔らかさと滑らかさに、感嘆するように息を漏らした。
「う、っ……うぅ……うっ……月、のものが……来た時に、手入れが楽だから……」
「そうか、それは……俺としては、いつか君の赤い下生えも見てみたいものだな」
「う、ああ……へんたいっ……へんたいいぃ……」
くつくつと笑うゼルドリックに、リアは涙に濡れた瞳を向けた。
「変態とは傷付くな。だが、その変態に嬲られて、ここまで濡らしているのは誰だ?」
「あああああっ……ふぅっ……あ、あ、あ、あああっ……ごめ、んなさい……!」
つぷり、とリアのぬかるみに指を差し込み、そのまま上になぞりあげれば、リアは悦びを表すように太腿を震わせた。
柔らかく白い肌は桃色に染まり、顔は涙で濡れている。ぞくりとゼルドリックの胸が跳ねる。彼女に快楽を与え、こんな顔にしているのが自分だと思うと、リアに対する強い執着と征服感が満たされた。ゼルドリックはリアの首筋に舌を這わせた。このまま、彼女を食べてしまいたい気持ちだった。
(吸って跡を付けてしまいたいが、リアに夢ではないことをまだ見抜かれる訳にはいかない)
ゼルドリックはもどかしさから逃れるように、リアの肉の芽をごく優しく捏ねた。
「ああっ……うああああっ……」
「ああ、君は……ここに触れると、本当に良い反応をする。分かるか? 俺が触り続けたから、君のここはぷっくりと腫れ上がって……以前より大きくなっている」
「ああ……うそっ……そんなことないっ………ふやあああっ!……ああ、あ、ああああ……」
「本当だ。俺の指を弾き返すようにぷりぷりとして……」
ゼルドリックはリアの肉芽の皮を優しく剥き、隠れていたところに指を這わせた。リアは強い快楽に目を剥き、はらはらと涙を流した。
「あ、あ……! ゼルドリック様、お願いっ……駄目なの! そこ、そこはあっ……きの、うも言ったでしょう? 刺激が強すぎるからっ……剥かないで……! あ、ああああああああ! あああ、ああっ……」
「なあ……リア」
ゼルドリックはリアの頬に手を添え、彼女の赤い瞳を覗き込んだ。
「あ、あ……?」
リアは濡れそぼった瞳をゼルドリックに向けた。彼の情欲を宿した青い双眸は、昏い海の様にゆらゆらと揺れていた。
「君のここを、俺の舌が犯したらどうなるかな」
ゼルドリックは胸を苛んだ時と同じく、長く赤い舌を伸ばしてリアに見せつけた。
「君は俺の舌で胸を虐められるのが好きだろう? いやだと言いながらも俺が乳首をしつこく舐めてやると必ず達くからな……」
「あ、あ、や……」
「いやらしいリア……なあ、ここも舐めてほしくはないか? この温かくたっぷりと唾液を纏った舌で、充血して張り詰めて尖りきったこの気持ちいいところを胸と同じく舐めしゃぶって、口の中でこね回されたら、君は相当大きな快感を得られるのだろうな……」
「うっ……あ、ああっ……」
リアは秘部を舐められる快楽を想像してしまった。ぶわりと目から涙が溢れ、いや、いやとリアは身体を捩ってゼルドリックから逃げようとした。だがゼルドリックは、リアの目に期待の色が宿ったのを見逃さず、彼女の腰を掴んだ。
「素直になれ、リア……君も気持ち良いのは好きだろう?」
「っ……! うう……だめ、だめなのっ……絶対気持ちよすぎるからっ……何度もいっちゃう、からっ……」
「楽しみだなあっ……? リア……」
「ああ、広げないでっ! 見ないで……! お願い……いやああああああっ!」
ゼルドリックはリアの脚を押し広げ、リアの秘所をじっくりと見た。薄い紅茶色のそこは、ぬらぬらと粘液で光りゼルドリックを誘惑する。
「はっ……こんなに濡れて……女のここは初めて見たが、こんなにもいやらしいのか……」
「は……はなして……ああっ……」
見ないで、見ないでと繰り返す彼女を黙らせるように、ゼルドリックは赤く充血し、主張するそこに舌を這わせた。
「は、あっ……んっ……変わった味だが……悪く、ないな……」
ゼルドリックが、自分の大事な部分を見て、舐めている。目でも舌でも犯されているという事実に、リアは頭が焼き切れるような感覚を覚えた。
「あああああああああっ……ああっ、やああっ……あ、あああ! あっ……もう、もうだめ……んんんんんっ……!!」
少し舐められただけでリアは達してしまった。ゼルドリックはぴくぴくと震えるそこに舌を押し付けたまま、その痙攣を楽しむ。そして、またリアのそこを舐めしゃぶり始めた。ちゅく、ちゅくという粘り気のある水音が響き続ける。
「ああああっ……う、そ……うそっ! お願いゼルドリック様! やめてええ……!」
「ちゅ、っちゅ………れろっ……ふ、ははは……君にも見せてやりたいよ……こんな、こんなにいやらしく尖りきったここを……君にも見えるように、今度は姿見の前で犯してやろうな……?」
「やだあああっ……ああ、あああ、うううううっ……また、いく………」
「ほら、口の中で入れてたくさん舐めてやるから……存分に達け」
「っ!! っやああああああああああぁぁぁっ……」
ゼルドリックがリアの肉芽を口に含み、舌でその感触を楽しむように舐め回し吸い上げると、リアは太腿をがくがくと痙攣させて、強い絶頂に擦り切れた悲鳴を上げた。
ゼルドリックがそうして何回もリアに絶頂を与えると、リアは虚ろな目で、力なくその白い身体をだらけさせた。汗で貼り付いた髪を頬から取ってやれば、リアは荒い息で何度もゼルドリックの名を呼んだ。気を許し、自分に身体を委ねきったその様。ゼルドリックは濡れ、勃ち上がりきった性器を、リアのぬかるみに添えた。
「ふっ……ふ、あ、ああ……あつい……あついの、ゼルドリック様……」
「ああ、あっ……リア、リア、リア……気持ちいい……」
ゼルドリックの陰茎が、リアの肉芽を擦りあげる。お互いが快楽を感じるその行為。様々な感情を込め、指を絡み合わせながら目を合わせる。リアもゼルドリックも、大きな幸せを感じていた。
お互いの名前を必死に呼び合う。肌寒い夜が気にならなくなるくらい、ふたりの間には熱があった。
自分のうつろが疼く。それを隠すようにリアは脚を閉じ、ゼルドリックの陰茎に柔らかい肉を押し付けた。
「ゼルドリック様……もっと、もっとして……たくさん、気持ちよくなって、ね……」
「リア……ああっ……柔らかくて、温かくて……好きだ……君が、好きだ……!」
リアは涙を流しながら喜んだ。ああ、これが現実であれば良いのに。恋い焦がれるゼルドリックと、こうして触れ合えたら良いのに……。お互いの性器を擦り合わせ、じんわりと伝わる快楽に浸る。リアが目を閉じると、ゼルドリックはリアの耳にそっと指を差し入れ、目を開けるように促した。
「なあ、リア……?」
「んっ……う、どうした、の……?」
窺うように自分の顔を覗き込むゼルドリックに、リアは淫らな顔を向けた。目の前のゼルドリックはごくりと唾を飲み込んだ後、リアに恐る恐る懇願をした。
「……君も、……好きだと、言ってくれないか……」
「ふ、あっ……?」
「君から、好きだと聞きたいのだ……嘘でも、いい……。頼む、どうか……、どうか、この時間だけは……」
「んんっ……ふ、ううっ」
「お願いだ、リア……切なくて、堪らないんだ……俺のことが好きだと、そう言ってくれ……」
ゼルドリックの腰が、リアの敏感なところを擦り上げていく。リアは情けなく悲鳴を漏らしてしまわないように下唇を噛んでいたが、ゼルドリックの首に手を回し、恋情の溢れるままにゼルドリックに愛を囁いた。
「ゼルドリック様……。好き、大好き……」
彼の頭を自分に寄せ、敏感な、黒く長い耳に感情を注ぎ込むように愛を囁く。ゼルドリックは目を僅かに見開いた後、眉を下げもっと、と要求をした。
リアが快楽に滲む声でゼルドリックになお愛を囁くと、彼は上気した、呆けたような顔でリアに口付けをした。触れ合うだけのキスなのに、心も身体も満たされる。二人は愛の言葉を交わしながら、お互いの顔を見つめ合った。
「好き……好きだ、リア……」
色のある低い声が、リアの耳に入っていく。
「私も、好きよ……大好き、ゼルドリック様……」
自分も愛を囁けば、尚更快楽が強くなっていく心地がした。ゼルドリックがリアの白い腹に射精すると、リアはその熱にうっとりと目を閉じた。強い快楽を与えられたにも拘らず、自分のうつろが切なく疼き続けている。彼が自分のうつろに入り、その白い熱を解き放ってくれたら。ゼルドリックが自分の髪を労るように撫でるのが嬉しいと思いながら。リアはいつか、とその先を願い眠気に身を任せた。
――――――――――
翌日。リアとゼルドリックはいつも通り朝食を共にした。早朝の寒い空気に晒された身体を、作りたてのスープが温める。優雅に食事をするゼルドリックを見ながら、リアは切なく息を吐いた。
「はあ……」
「どうした? 何かあったのか?」
チーズが乗せられたパンはリアの大好物であるというのに、それを持ちながら憂鬱に溜息を吐いたリアを、ゼルドリックが訝しげに見る。
(はあ、やっぱり格好いい……。王子様に、どこまでもそっくり……)
リアはゼルドリックをまじまじと見た。青い目、黒く尖った耳。高い鷲鼻。昨日も彼によく似た存在と夢の中で睦み合ってしまったのだ。リアは顔を赤くした。そして淫らな夢を思い出すと、また身体の奥底を何かが這い回る感覚を覚えた。
「どうしたんだ一体。顔を赤くしたり溜息を吐いたりして」
君は見ていて飽きないな、とゼルドリックは困った様に笑った。
「あ……すみません、その、少し熱があるようで」
リアはぞわぞわと自分の中で動き回る熱を逃すように、ほうと一息吐いた。
「体調が悪いのか?」
「いえ、いつも通りに過ごせているのですけど。何か……身体の中が、常に熱いような気がするのです」
漠然とした答えを返してしまったが、リアにはそうとしか言えなかった。
自分の身体の奥底で、何かが燻り続けている。その熱さは全身を巡り、自分の身体を疼かせる。自分の身体が作り変えられていくような感覚。違和感は、日毎に強くなっていった。
(よく見るあの夢と……関係があるのだろうか?)
何やら考え込むリアを、ゼルドリックがじっと見ていた。
「あ、でも……仕事は普段通りこなせますし、特に問題はないのですよ。ただ私は今まで滅多に体調を崩すことがなかったから不安で……はずれの村にいた時にブラッドスター様に治療していただいた時もそうですけど、何か悪いことがあってはいけないので、今度の休みは病院に行ってみようと思っているのです」
リアが安心させるように笑うと、ゼルドリックはフォークを置いた。かちゃりという音が、やけに響いた。
「必要ない」
ゼルドリックは短く言った。その唇は微かな笑みを浮かべている。リアは、ゼルドリックの瞳に昏さを見た気がした。この屋敷に引っ越してきた日に見た、あの瞳。リアの頭の中で、微かに警鐘が鳴った気がした。
「え、でも……」
「必要ない。エルフである俺がいる限りはな。君が体調を崩した時は、いつでも治癒の魔法で治療してやれる。エルフの使う魔法は医療の分野に於いても特に重視され、力の強いエルフのかける魔法は最高の治療だと言われている。だから病院に行く必要などない」
「あ……」
「リローラン。はずれの村にいた時の君は単純に働きすぎだった……そして今は、王都での慣れない暮らしに身体がついていっていないのだろう。なに、しばらくゆっくり休めば、また体調は良くなるさ。君が王都の暮らしにもっと馴染めるよう俺も努力しよう」
「でも、誰かに移してしまうような病気ですと大変ですから……」
「この話は終わりだ」
「……っ」
ゼルドリックは素っ気なく会話を打ち切った。優しい彼の、乱暴とも取れるような言動に、リアの中の警鐘が強くなった。
――何か、違和感がある。
リアがその違和感をどう言い表そうか悩んでいると、ゼルドリックは再びフォークを持ち元気にリアに言い放った。
「怪我をしようが熱を出そうが俺がいる限りは問題ない。だからいくら熱を出しても安心だぞ! たくさん食べて今日も一日頑張りたまえ。せっかく君の好物も用意したのだからな!」
手に持ったままのパンを食べるように促され、リアは頷いた。
(……ブラッドスター様、熱があるって言った時、どうして笑ったんだろう。そしてあの目……気のせいかもしれないけど。私は……)
リアは肌寒さを感じて、温かいココアが入ったカップに手を伸ばした。彼の青い瞳。その瞳に一瞬見た気がした、昏さと冷たさ、底知れなさ。
何か、大きな期待を向けるような……。
(私は、あの目が少し怖い)
リアは考えるのを止め、香りの良いココアを味わった。ココアの甘さをゆっくり味わえば、不穏な考えはやがて霧散した。
工場へ向かうリアを見送った後、ゼルドリックは書斎でひとり笑っていた。
「くくっ……くくくく……ははははっ! やった、やったぞ、ついに……!」
椅子に腰掛け、肩を震わせ、天を仰いで笑った。それは、長年待ち続けたものを手に入れた時のような、宿願が叶ったような強い歓喜だった。
「はっ……は、ははは……はあっ……。リア、リア……君の奥底に、俺の魔力が宿っている! 君の中に魔力の器が出来上がっている!」
エルフ以外の種族は、魔力を体内に溜めておくための器を持たない。だがエルフの様に魔力を操れぬ種族でも、常に他者からの魔力に晒され続けていることで、その器が形作られ段々と身体に魔力を溜め込んでいくようになる。
リアは、「身体の中が常に熱いような気がする」と言った。ゼルドリックがリアの魔力を流れを追うと、リアの身体の中に魔力の塊が在った。それを認めた時、歓喜に大きく唇を歪めてしまいそうだった。
その塊こそ、ゼルドリックが求め続けた魔力の器だった。
受け取った魔力を溜めておくための、新たな臓器の様なもの。魔力を持たぬ種族が通常持ち得ない、後天的に作成された器官。
ゼルドリックは笑い続けた。
自分の努力が実ったのだ! 自分の願いは、もうすぐ叶えられようとしている!
リアには常に微弱な幻惑魔法を掛け続けた。ふとした瞬間に自分の姿が頭の中に過るように。そして、手渡す品に、家具に、シーツに、服に、浴槽に張った湯に、育てている薔薇に。毎日食べるものにも、飲むものにも、彼女が使う櫛や紅にも、己の魔力を纏わせた。昼間は彼女の身体をわざと嬲るように、夜は淫らな「夢」を見せて、魔力を直接注ぎ込んだ。
魔力に浸されきったリアは、己と同じ魔力を宿した。
もっともっと彼女に触れて、魔力の器を拡げよう。
もっとたっぷりと魔力を蓄えられるようにしてやろう。
そして限界まで満たすのだ、その器を。
誰にも邪魔されない、己が精神世界へと彼女を連れ去るために……!
「ああ、だが………」
ひとしきり笑った後、ゼルドリックは長い息を吐いた。
「……苦しい。……リア……。俺は、君の笑顔がどうしようもなく欲しくなってしまったんだ……」
ゼルドリックは目を瞑った。
リアを屋敷に連れてきた日。畑や台所で己に見せた満面の笑みが、とても眩しかった。
共に馴染みの菓子店に行った日。青空の下で己に笑いかけるリアの笑顔が、とても綺麗だった。
リアが自分の前で生きていて、自分に打ち解けた笑顔を見せてくれたという奇跡。
あの時、自分は改めて恋に落ちたのだ。恋い焦がれ続けた赤い髪の姫君を、もう一度好きになった。あの笑顔は、かけがえのない自分の宝物になった。
ずっと考え続けていた。リアを屋敷に連れてきたあの夜、どうして全てを奪ってしまえなかったのかと。
あの時は自分で自分が分からなかったが、今ではその理由が分かる。
自分はあの、リアの綺麗な笑顔を失いたくなかった。
あのまま夢の中で無理やり純潔を奪い、いつか精神世界に連れ去ったとて、最後にはリアに厭われると思うと耐え難い苦痛が心を襲った。身体を堕とし逃げられないように縛り付けても、この先あの満面の笑みが手に入らないかもしれないと思うと、胸が強く軋んだ。
リアに嫌われたくない。
好かれたい。
リアから求められたい。
恋人になってほしい。
契って家族を作りたい。
リアに好きだと言ってしまいたいが拒否されることが堪らなく怖い。
もしも、百年以上焦がれ続けた姫君に拒絶されたら、自分がばらばらに砕け散ってしまいそうだった。そんな想像をするだけで心が痛くなった。
拒絶されたくないがゆえに、臆病にも魔力を使って彼女を縛り付けている。そう。自分は魔力さえなければ、彼女の何物も手には入れられないのだ。
夢でしか好きだ、愛していると伝えられないどうしようもない臆病者。夢でしか彼女に愛を囁いてもらえない、どうしようもない小心者。
最初は彼女が手に入るのなら、彼女の気持ちなんてどうでも良かったはずなのに。距離を縮め、触れ合って……彼女の気持ちこそが本当に欲しいものだと気が付いた。
自分は馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。
幻惑魔法なんて使わなければ良かったのに。
正面から彼女が好きだと言えば良かったのに。
そうすれば、こんなに苦しまなかったかもしれないのに。
拒否されることが怖くて告白もできず、そのくせ身体を求めて毎夜毎夜魔法をかけて犯している。誰かに奪われるのを怖れて、魔法で雁字搦めに縛り付けている。
(俺は、何をしたいのだろうな)
ゼルドリックは自嘲した。
(リア、君の心が欲しい。君がどうしようもなく好きなんだ……君の拒絶が、堪らなく怖い。拒絶されてしまったら、俺は、どんなことをするか分からない……)
「リア……苦しい」
ゼルドリックは机に伏した。
後悔の溜息を何度も吐いて、胸元のブローチを手繰り寄せた。
リアは相変わらず屋敷と工場を往復し、ファティアナの装身具を作る生活を送った。
変わったことは、大通りからエルフたちがいなくなったことと、共に暮らすゼルドリックとの生活だった。
二人はお互いの感情を露わにしてからというもの、仲直りをするように、あるいは今までの埋め合わせをするように、毎日頻繁に会話を交わした。素直に感情を表すゼルドリックと、彼に対する恐怖心が無くなったリア。二人はゆっくりではあるが、確実に打ち解けていった。
リアにつられてゼルドリックも早朝に起きるようになり、二人で朝食を食べた後は、薔薇の咲き誇る庭園を散歩した。リアが工場に向かう際は、ゼルドリックが屋敷の前まで見送りに来てくれた。
そして、リアがいつも先に屋敷に戻るので、野菜や肉を買って帰り夕食を作っておくのがここ最近のリアの習慣だった。
二人はいつも食事を共にした。
ゼルドリックの作る料理は美味しい。彼の黒く長い指から、芸術のような作品が作り出される。優美なものを好むエルフらしく、彼が作る料理は味だけではなく見た目もとても良かった。本人は中々の腕だと言っていたが、リアはまるで料理人の様だと思った。
ゼルドリックもまた、リアの作った料理を褒めた。皮肉の色を帯びない真っ直ぐな賛辞は、リアの心に沁み入った。はずれの村で君の料理を食べた時、美味しくてとても嬉しかったのだとゼルドリックは言い、リアを照れさせた。
ゼルドリックはリアに対し随分と甘くなった。リアが笑みを見せると、彼も嬉しそうに笑う。毎日、お気に入りの菓子屋で買ったクッキーを手ずからリアに与え、リアの赤い髪を撫でた。リアが顔を真っ赤にすると、彼は微笑んだ。
穏やかなゼルドリックとの生活が続く中、リアは様々なことに目を向けるようになった。
彼のばら屋敷は美しいが、よく見るとところどころ年季が入っているところがあった。庭や大広間の噴水は崩れかけているし、壁も薄く、剥がれかけている部分がある。リアは自分の手先の器用さを、部屋を貸してくれるゼルドリックのために役立てたいと考えた。仕事終わりに毎日少しずつ、彼の屋敷を直していく。ゼルドリックはそんなことはしなくて良いと止めていたが、真剣な顔で無心に取り組むリアを見て、やがて何も言わなくなった。
彼の屋敷を彩る、無数の咲き誇る薔薇。広大な庭に咲く薔薇は手入れが追いついていないようで、植物が好きなリアは薔薇の剪定も買って出た。
リアの手で、屋敷本来の美しさが取り戻されていく。ゼルドリックの広くも空虚だった屋敷は、リアの存在で少しずつ活き活きとし始めた。この大きな屋敷の中で百年以上ひとりで暮らしてきたゼルドリックは、好きな女と暮らすことがこれほどまでに自分に充足感を与えるのかと日々驚いていた。
一緒に料理を作り、食事しながら会話をし、薔薇の庭を巡り、リアを送り届ける。
そして、自分が家に帰ればリアがいる。
あの、満面の笑みを自分に向けてくれる。
ゼルドリックは幸せだった。リアと暮らすこの幸せを、決して手放したくなかった。
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「ふっ……い、やあっ……、ゼルドリック様……ああっ! あ、ああっ……ふ、うう……」
「はあっ……んむっ……リア、リア……! すっかり尖って硬くなっているな……こんなに、赤く腫れきって……」
リアはゼルドリックが屋敷に戻ってきてからというもの、再び淫らな夢を見る様になった。
今、リアは自室の大きなベッドの上で、黒の王子様に胸を嬲られ続けている。
「ああ……おね、がい……弾かないでえ……じくじくするのっ……」
(こんなの、こんなのいけないのに……! どうして、私こんな夢ばかり見てしまうの?)
リアは快楽の涙を流しつつ、自分を責めた。月のものが訪れた時以外は、常に夢の中で彼と逢瀬を重ねている。示し合わせたように現れるゼルドリックの幻。自分の浅ましさが情けなくて。でも、幻とはいえ好きな彼から触れてもらえるのが嬉しくて。リアの心は歓喜で震えた。
ゼルドリックはわざと舌を伸ばしてリアの顔を見た。これから自分の舌が胸を犯すのだと宣言するように。リアの怯えと期待に潤む瞳を愉しげに覗き込んだ後、リアの乳首を口に含み、熱い舌でじっくりと舐め回した。そして、わざわざ音を立てて吸い上げた。羞恥を煽るような彼の行動に、リアは感じ入った声を上げる。
「ふ、あ、ああああああああぁぁ……はあっ……」
「リア……あむっ……れろ……ちゅ、……んっ……」
「あっ……あ、あ……! 舌でぐりぐりするの、だめ………はあんっ……」
「はは……とっても、気持ちよさそうだな? リア……もっと、気持ち良くしてやるからなっ……」
(気持ちいい……ゼルドリック様、もっと……もっとして……)
リアは黒く艶のある髪に指を差し込んで、胸を吸う彼を甘えさせるように撫でた。ゼルドリックは口の端を上げて、求めに応じるようにリアの胸を尚更責め立てた。
ゼルドリックのことが好きだとはっきり自覚してから、リアは黒の王子様と、現実のゼルドリックを分離させて考えることが出来なくなってしまった。目の前の彼が、現実のゼルドリックだったら良いのにと、切なさをごまかすように彼に呼びかける。
「ゼルドリックさま……ゼルドリックさま……!」
高慢で、嫌味たらしくて。
でも実は素直で。優しくて、甘く笑う顔がとても素敵で。低い声も、黒い髪も、料理が上手なところも、毎朝私を見送ってくれるところも、全部好き。
黒い肌に光が当たって、きらきら金色に輝くのを見るのが好き。
青い瞳に見つめられると、心が擽ったくなる。
好き、好き、好き……。
リアの中で、ゼルドリックに対する恋情が募っていく。恋い焦がれる現実のゼルドリックに向かって呼びかけるように、リアは彼の尖った耳に口を寄せた。
「ゼルドリック様……ずっと、身体が熱いの。……ねえ、熱を取って? お願い……」
彼の劣情を煽るように、リアが自分の豊満な胸を彼に寄せてねだった。ごくり、とゼルドリックが唾を飲み込む音がした。
「あっ……!? あああ、あ、ゼルドリック様! 何をして…………」
ゼルドリックは身を捩るリアを簡単に押さえつけ、リアの下着を取り払った。そして両の脚の間に素早く膝を置き、リアが脚を閉じられないようにした。
リアは下着に手を入れられ、秘所に触れられたことは何度もあるが、こうして直接見られるのは初めてのことだった。濡れそぼった秘所を晒され、じっと見られている。リアはそれを認識した途端、顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。
「や! やだっ……やだあ! 恥ずかしいの、そんなに見ないで! お願い、ゼルドリック様………あ、ああ……」
「煽ったのは君だ。それにしても……ずっと触っていて思っていたが。君のここはとても滑らかだな? 処理をしているのか?」
羞恥に泣き始めたリアを落ち着かせるように額にキスを落とし、ゼルドリックは黒く長い指で、毛の無いリアの秘所をゆっくりなぞりあげた。ゼルドリックは、その柔らかさと滑らかさに、感嘆するように息を漏らした。
「う、っ……うぅ……うっ……月、のものが……来た時に、手入れが楽だから……」
「そうか、それは……俺としては、いつか君の赤い下生えも見てみたいものだな」
「う、ああ……へんたいっ……へんたいいぃ……」
くつくつと笑うゼルドリックに、リアは涙に濡れた瞳を向けた。
「変態とは傷付くな。だが、その変態に嬲られて、ここまで濡らしているのは誰だ?」
「あああああっ……ふぅっ……あ、あ、あ、あああっ……ごめ、んなさい……!」
つぷり、とリアのぬかるみに指を差し込み、そのまま上になぞりあげれば、リアは悦びを表すように太腿を震わせた。
柔らかく白い肌は桃色に染まり、顔は涙で濡れている。ぞくりとゼルドリックの胸が跳ねる。彼女に快楽を与え、こんな顔にしているのが自分だと思うと、リアに対する強い執着と征服感が満たされた。ゼルドリックはリアの首筋に舌を這わせた。このまま、彼女を食べてしまいたい気持ちだった。
(吸って跡を付けてしまいたいが、リアに夢ではないことをまだ見抜かれる訳にはいかない)
ゼルドリックはもどかしさから逃れるように、リアの肉の芽をごく優しく捏ねた。
「ああっ……うああああっ……」
「ああ、君は……ここに触れると、本当に良い反応をする。分かるか? 俺が触り続けたから、君のここはぷっくりと腫れ上がって……以前より大きくなっている」
「ああ……うそっ……そんなことないっ………ふやあああっ!……ああ、あ、ああああ……」
「本当だ。俺の指を弾き返すようにぷりぷりとして……」
ゼルドリックはリアの肉芽の皮を優しく剥き、隠れていたところに指を這わせた。リアは強い快楽に目を剥き、はらはらと涙を流した。
「あ、あ……! ゼルドリック様、お願いっ……駄目なの! そこ、そこはあっ……きの、うも言ったでしょう? 刺激が強すぎるからっ……剥かないで……! あ、ああああああああ! あああ、ああっ……」
「なあ……リア」
ゼルドリックはリアの頬に手を添え、彼女の赤い瞳を覗き込んだ。
「あ、あ……?」
リアは濡れそぼった瞳をゼルドリックに向けた。彼の情欲を宿した青い双眸は、昏い海の様にゆらゆらと揺れていた。
「君のここを、俺の舌が犯したらどうなるかな」
ゼルドリックは胸を苛んだ時と同じく、長く赤い舌を伸ばしてリアに見せつけた。
「君は俺の舌で胸を虐められるのが好きだろう? いやだと言いながらも俺が乳首をしつこく舐めてやると必ず達くからな……」
「あ、あ、や……」
「いやらしいリア……なあ、ここも舐めてほしくはないか? この温かくたっぷりと唾液を纏った舌で、充血して張り詰めて尖りきったこの気持ちいいところを胸と同じく舐めしゃぶって、口の中でこね回されたら、君は相当大きな快感を得られるのだろうな……」
「うっ……あ、ああっ……」
リアは秘部を舐められる快楽を想像してしまった。ぶわりと目から涙が溢れ、いや、いやとリアは身体を捩ってゼルドリックから逃げようとした。だがゼルドリックは、リアの目に期待の色が宿ったのを見逃さず、彼女の腰を掴んだ。
「素直になれ、リア……君も気持ち良いのは好きだろう?」
「っ……! うう……だめ、だめなのっ……絶対気持ちよすぎるからっ……何度もいっちゃう、からっ……」
「楽しみだなあっ……? リア……」
「ああ、広げないでっ! 見ないで……! お願い……いやああああああっ!」
ゼルドリックはリアの脚を押し広げ、リアの秘所をじっくりと見た。薄い紅茶色のそこは、ぬらぬらと粘液で光りゼルドリックを誘惑する。
「はっ……こんなに濡れて……女のここは初めて見たが、こんなにもいやらしいのか……」
「は……はなして……ああっ……」
見ないで、見ないでと繰り返す彼女を黙らせるように、ゼルドリックは赤く充血し、主張するそこに舌を這わせた。
「は、あっ……んっ……変わった味だが……悪く、ないな……」
ゼルドリックが、自分の大事な部分を見て、舐めている。目でも舌でも犯されているという事実に、リアは頭が焼き切れるような感覚を覚えた。
「あああああああああっ……ああっ、やああっ……あ、あああ! あっ……もう、もうだめ……んんんんんっ……!!」
少し舐められただけでリアは達してしまった。ゼルドリックはぴくぴくと震えるそこに舌を押し付けたまま、その痙攣を楽しむ。そして、またリアのそこを舐めしゃぶり始めた。ちゅく、ちゅくという粘り気のある水音が響き続ける。
「ああああっ……う、そ……うそっ! お願いゼルドリック様! やめてええ……!」
「ちゅ、っちゅ………れろっ……ふ、ははは……君にも見せてやりたいよ……こんな、こんなにいやらしく尖りきったここを……君にも見えるように、今度は姿見の前で犯してやろうな……?」
「やだあああっ……ああ、あああ、うううううっ……また、いく………」
「ほら、口の中で入れてたくさん舐めてやるから……存分に達け」
「っ!! っやああああああああああぁぁぁっ……」
ゼルドリックがリアの肉芽を口に含み、舌でその感触を楽しむように舐め回し吸い上げると、リアは太腿をがくがくと痙攣させて、強い絶頂に擦り切れた悲鳴を上げた。
ゼルドリックがそうして何回もリアに絶頂を与えると、リアは虚ろな目で、力なくその白い身体をだらけさせた。汗で貼り付いた髪を頬から取ってやれば、リアは荒い息で何度もゼルドリックの名を呼んだ。気を許し、自分に身体を委ねきったその様。ゼルドリックは濡れ、勃ち上がりきった性器を、リアのぬかるみに添えた。
「ふっ……ふ、あ、ああ……あつい……あついの、ゼルドリック様……」
「ああ、あっ……リア、リア、リア……気持ちいい……」
ゼルドリックの陰茎が、リアの肉芽を擦りあげる。お互いが快楽を感じるその行為。様々な感情を込め、指を絡み合わせながら目を合わせる。リアもゼルドリックも、大きな幸せを感じていた。
お互いの名前を必死に呼び合う。肌寒い夜が気にならなくなるくらい、ふたりの間には熱があった。
自分のうつろが疼く。それを隠すようにリアは脚を閉じ、ゼルドリックの陰茎に柔らかい肉を押し付けた。
「ゼルドリック様……もっと、もっとして……たくさん、気持ちよくなって、ね……」
「リア……ああっ……柔らかくて、温かくて……好きだ……君が、好きだ……!」
リアは涙を流しながら喜んだ。ああ、これが現実であれば良いのに。恋い焦がれるゼルドリックと、こうして触れ合えたら良いのに……。お互いの性器を擦り合わせ、じんわりと伝わる快楽に浸る。リアが目を閉じると、ゼルドリックはリアの耳にそっと指を差し入れ、目を開けるように促した。
「なあ、リア……?」
「んっ……う、どうした、の……?」
窺うように自分の顔を覗き込むゼルドリックに、リアは淫らな顔を向けた。目の前のゼルドリックはごくりと唾を飲み込んだ後、リアに恐る恐る懇願をした。
「……君も、……好きだと、言ってくれないか……」
「ふ、あっ……?」
「君から、好きだと聞きたいのだ……嘘でも、いい……。頼む、どうか……、どうか、この時間だけは……」
「んんっ……ふ、ううっ」
「お願いだ、リア……切なくて、堪らないんだ……俺のことが好きだと、そう言ってくれ……」
ゼルドリックの腰が、リアの敏感なところを擦り上げていく。リアは情けなく悲鳴を漏らしてしまわないように下唇を噛んでいたが、ゼルドリックの首に手を回し、恋情の溢れるままにゼルドリックに愛を囁いた。
「ゼルドリック様……。好き、大好き……」
彼の頭を自分に寄せ、敏感な、黒く長い耳に感情を注ぎ込むように愛を囁く。ゼルドリックは目を僅かに見開いた後、眉を下げもっと、と要求をした。
リアが快楽に滲む声でゼルドリックになお愛を囁くと、彼は上気した、呆けたような顔でリアに口付けをした。触れ合うだけのキスなのに、心も身体も満たされる。二人は愛の言葉を交わしながら、お互いの顔を見つめ合った。
「好き……好きだ、リア……」
色のある低い声が、リアの耳に入っていく。
「私も、好きよ……大好き、ゼルドリック様……」
自分も愛を囁けば、尚更快楽が強くなっていく心地がした。ゼルドリックがリアの白い腹に射精すると、リアはその熱にうっとりと目を閉じた。強い快楽を与えられたにも拘らず、自分のうつろが切なく疼き続けている。彼が自分のうつろに入り、その白い熱を解き放ってくれたら。ゼルドリックが自分の髪を労るように撫でるのが嬉しいと思いながら。リアはいつか、とその先を願い眠気に身を任せた。
――――――――――
翌日。リアとゼルドリックはいつも通り朝食を共にした。早朝の寒い空気に晒された身体を、作りたてのスープが温める。優雅に食事をするゼルドリックを見ながら、リアは切なく息を吐いた。
「はあ……」
「どうした? 何かあったのか?」
チーズが乗せられたパンはリアの大好物であるというのに、それを持ちながら憂鬱に溜息を吐いたリアを、ゼルドリックが訝しげに見る。
(はあ、やっぱり格好いい……。王子様に、どこまでもそっくり……)
リアはゼルドリックをまじまじと見た。青い目、黒く尖った耳。高い鷲鼻。昨日も彼によく似た存在と夢の中で睦み合ってしまったのだ。リアは顔を赤くした。そして淫らな夢を思い出すと、また身体の奥底を何かが這い回る感覚を覚えた。
「どうしたんだ一体。顔を赤くしたり溜息を吐いたりして」
君は見ていて飽きないな、とゼルドリックは困った様に笑った。
「あ……すみません、その、少し熱があるようで」
リアはぞわぞわと自分の中で動き回る熱を逃すように、ほうと一息吐いた。
「体調が悪いのか?」
「いえ、いつも通りに過ごせているのですけど。何か……身体の中が、常に熱いような気がするのです」
漠然とした答えを返してしまったが、リアにはそうとしか言えなかった。
自分の身体の奥底で、何かが燻り続けている。その熱さは全身を巡り、自分の身体を疼かせる。自分の身体が作り変えられていくような感覚。違和感は、日毎に強くなっていった。
(よく見るあの夢と……関係があるのだろうか?)
何やら考え込むリアを、ゼルドリックがじっと見ていた。
「あ、でも……仕事は普段通りこなせますし、特に問題はないのですよ。ただ私は今まで滅多に体調を崩すことがなかったから不安で……はずれの村にいた時にブラッドスター様に治療していただいた時もそうですけど、何か悪いことがあってはいけないので、今度の休みは病院に行ってみようと思っているのです」
リアが安心させるように笑うと、ゼルドリックはフォークを置いた。かちゃりという音が、やけに響いた。
「必要ない」
ゼルドリックは短く言った。その唇は微かな笑みを浮かべている。リアは、ゼルドリックの瞳に昏さを見た気がした。この屋敷に引っ越してきた日に見た、あの瞳。リアの頭の中で、微かに警鐘が鳴った気がした。
「え、でも……」
「必要ない。エルフである俺がいる限りはな。君が体調を崩した時は、いつでも治癒の魔法で治療してやれる。エルフの使う魔法は医療の分野に於いても特に重視され、力の強いエルフのかける魔法は最高の治療だと言われている。だから病院に行く必要などない」
「あ……」
「リローラン。はずれの村にいた時の君は単純に働きすぎだった……そして今は、王都での慣れない暮らしに身体がついていっていないのだろう。なに、しばらくゆっくり休めば、また体調は良くなるさ。君が王都の暮らしにもっと馴染めるよう俺も努力しよう」
「でも、誰かに移してしまうような病気ですと大変ですから……」
「この話は終わりだ」
「……っ」
ゼルドリックは素っ気なく会話を打ち切った。優しい彼の、乱暴とも取れるような言動に、リアの中の警鐘が強くなった。
――何か、違和感がある。
リアがその違和感をどう言い表そうか悩んでいると、ゼルドリックは再びフォークを持ち元気にリアに言い放った。
「怪我をしようが熱を出そうが俺がいる限りは問題ない。だからいくら熱を出しても安心だぞ! たくさん食べて今日も一日頑張りたまえ。せっかく君の好物も用意したのだからな!」
手に持ったままのパンを食べるように促され、リアは頷いた。
(……ブラッドスター様、熱があるって言った時、どうして笑ったんだろう。そしてあの目……気のせいかもしれないけど。私は……)
リアは肌寒さを感じて、温かいココアが入ったカップに手を伸ばした。彼の青い瞳。その瞳に一瞬見た気がした、昏さと冷たさ、底知れなさ。
何か、大きな期待を向けるような……。
(私は、あの目が少し怖い)
リアは考えるのを止め、香りの良いココアを味わった。ココアの甘さをゆっくり味わえば、不穏な考えはやがて霧散した。
工場へ向かうリアを見送った後、ゼルドリックは書斎でひとり笑っていた。
「くくっ……くくくく……ははははっ! やった、やったぞ、ついに……!」
椅子に腰掛け、肩を震わせ、天を仰いで笑った。それは、長年待ち続けたものを手に入れた時のような、宿願が叶ったような強い歓喜だった。
「はっ……は、ははは……はあっ……。リア、リア……君の奥底に、俺の魔力が宿っている! 君の中に魔力の器が出来上がっている!」
エルフ以外の種族は、魔力を体内に溜めておくための器を持たない。だがエルフの様に魔力を操れぬ種族でも、常に他者からの魔力に晒され続けていることで、その器が形作られ段々と身体に魔力を溜め込んでいくようになる。
リアは、「身体の中が常に熱いような気がする」と言った。ゼルドリックがリアの魔力を流れを追うと、リアの身体の中に魔力の塊が在った。それを認めた時、歓喜に大きく唇を歪めてしまいそうだった。
その塊こそ、ゼルドリックが求め続けた魔力の器だった。
受け取った魔力を溜めておくための、新たな臓器の様なもの。魔力を持たぬ種族が通常持ち得ない、後天的に作成された器官。
ゼルドリックは笑い続けた。
自分の努力が実ったのだ! 自分の願いは、もうすぐ叶えられようとしている!
リアには常に微弱な幻惑魔法を掛け続けた。ふとした瞬間に自分の姿が頭の中に過るように。そして、手渡す品に、家具に、シーツに、服に、浴槽に張った湯に、育てている薔薇に。毎日食べるものにも、飲むものにも、彼女が使う櫛や紅にも、己の魔力を纏わせた。昼間は彼女の身体をわざと嬲るように、夜は淫らな「夢」を見せて、魔力を直接注ぎ込んだ。
魔力に浸されきったリアは、己と同じ魔力を宿した。
もっともっと彼女に触れて、魔力の器を拡げよう。
もっとたっぷりと魔力を蓄えられるようにしてやろう。
そして限界まで満たすのだ、その器を。
誰にも邪魔されない、己が精神世界へと彼女を連れ去るために……!
「ああ、だが………」
ひとしきり笑った後、ゼルドリックは長い息を吐いた。
「……苦しい。……リア……。俺は、君の笑顔がどうしようもなく欲しくなってしまったんだ……」
ゼルドリックは目を瞑った。
リアを屋敷に連れてきた日。畑や台所で己に見せた満面の笑みが、とても眩しかった。
共に馴染みの菓子店に行った日。青空の下で己に笑いかけるリアの笑顔が、とても綺麗だった。
リアが自分の前で生きていて、自分に打ち解けた笑顔を見せてくれたという奇跡。
あの時、自分は改めて恋に落ちたのだ。恋い焦がれ続けた赤い髪の姫君を、もう一度好きになった。あの笑顔は、かけがえのない自分の宝物になった。
ずっと考え続けていた。リアを屋敷に連れてきたあの夜、どうして全てを奪ってしまえなかったのかと。
あの時は自分で自分が分からなかったが、今ではその理由が分かる。
自分はあの、リアの綺麗な笑顔を失いたくなかった。
あのまま夢の中で無理やり純潔を奪い、いつか精神世界に連れ去ったとて、最後にはリアに厭われると思うと耐え難い苦痛が心を襲った。身体を堕とし逃げられないように縛り付けても、この先あの満面の笑みが手に入らないかもしれないと思うと、胸が強く軋んだ。
リアに嫌われたくない。
好かれたい。
リアから求められたい。
恋人になってほしい。
契って家族を作りたい。
リアに好きだと言ってしまいたいが拒否されることが堪らなく怖い。
もしも、百年以上焦がれ続けた姫君に拒絶されたら、自分がばらばらに砕け散ってしまいそうだった。そんな想像をするだけで心が痛くなった。
拒絶されたくないがゆえに、臆病にも魔力を使って彼女を縛り付けている。そう。自分は魔力さえなければ、彼女の何物も手には入れられないのだ。
夢でしか好きだ、愛していると伝えられないどうしようもない臆病者。夢でしか彼女に愛を囁いてもらえない、どうしようもない小心者。
最初は彼女が手に入るのなら、彼女の気持ちなんてどうでも良かったはずなのに。距離を縮め、触れ合って……彼女の気持ちこそが本当に欲しいものだと気が付いた。
自分は馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。
幻惑魔法なんて使わなければ良かったのに。
正面から彼女が好きだと言えば良かったのに。
そうすれば、こんなに苦しまなかったかもしれないのに。
拒否されることが怖くて告白もできず、そのくせ身体を求めて毎夜毎夜魔法をかけて犯している。誰かに奪われるのを怖れて、魔法で雁字搦めに縛り付けている。
(俺は、何をしたいのだろうな)
ゼルドリックは自嘲した。
(リア、君の心が欲しい。君がどうしようもなく好きなんだ……君の拒絶が、堪らなく怖い。拒絶されてしまったら、俺は、どんなことをするか分からない……)
「リア……苦しい」
ゼルドリックは机に伏した。
後悔の溜息を何度も吐いて、胸元のブローチを手繰り寄せた。
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