リア=リローランと黒の鷹

橙乃紅瑚

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第三章

63.熊と鶴の旅

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 岩陰に身を潜め、好機を待つ。そして砂塵吹き荒れる中マルティンは引き金を引き、砂の中から飛び出してきた大蚯蚓おおみみずの頭に銃弾を撃ち込んだ。聞くに堪えない絶叫を響き渡らせ、大蚯蚓はどさりと砂の上に倒れ込み、身体を痙攣させた後絶命した。

「……ふう」

「よくやった、マルティン」

 アンジェロが彼の肩を叩く。マルティンはにっと笑った後、砂漠に横たわる体長五メートルはあるであろう巨大な蚯蚓みみずを見た。

「熱砂の国ってのはとんでもないところだね。こんな化けもんが砂の中に何匹も潜んでるって言うんだから」

「ああ、本当にな。接近に気がつくのが遅れていれば、我々は丸呑みにされていただろうな」

「うへえ……こんな怪物に飲み込まれて死ぬなんてのは勘弁願いたいね」

 大蚯蚓からは、嫌悪を催すような紫色の体液が流れ出ている。アンジェロはじっとそれを見つめ顎に手を当てた。

「毒はないと聞くが」

「おい、まさか食べるつもりか!?」

「ああ。食べられるものなら、ぜひ食べておきたい。ここは砂漠だ、食糧の蓄えはあればあるほどいい。余った分は塩漬けにしておけばそう簡単に腐らんだろう。マルティン、今日の夕飯はこれにしよう。切り分けるのを手伝ってくれ」

「……うわあ」

 マルティンは口に手を当て、大蚯蚓の元へ駆け出していくエルフを見た。

「大したお貴族様だ。こんなものをすすんで食おうとするエルフは君くらいだよ」

 アンジェロは顔を顰めるマルティンを見て、楽しそうに笑った。

「私は食い意地が張っているのでな」





 外交官となったアンジェロの護衛として、数多の国を渡り歩き、旅をしてきたマルティン。アンジェロとの旅は刺激的で、平和ながらも代わり映えのない田舎村の生活に飽きていた彼は、たちまち旅の魅力に取り憑かれた。王都の桜の大樹を超える感動が次々に目の前に現れる。世界を旅するというのはこんなに楽しいのかと、マルティンは今までの経験を思い出し、皺の刻まれた顔を緩ませた。

(まあ、楽しいばかりじゃなかったけれどな)

 銃の手入れをしながら、思いに耽る。周辺国との関係は良いとは言えない。国力に直結するエルフを葬ろうと、何人もの刺客がアンジェロの元に現れた。マルティンはその刺客に銃弾を撃ち込み、殺してきた。はずれの村で鳥や鹿を撃ってきたのと同じように、刺客の頭に向けて引き金を引いた。自らの手で刺客を殺めた日のことは、ずっと忘れられない。

(父さんはどう思うかね。僕に銃の扱いを教えたことを後悔するかな)

 亡き父が教えてくれた銃の扱い。それは自分と友を守る武器でありながら、誰かの命を奪うことで磨かれ続けてきた。『早撃ちのベアクロー』と称えられ、卓越した銃の扱いによって大きな名声を得ても、マルティンはそれを嬉しいと思うことは一度もなかった。

(それでも……旅は止められない)

 先程のように大蚯蚓に飲み込まれそうになっても、先住民の罠にかかって捕らえられても、海賊船に追われて船に砲弾を撃ち込まれても、アンジェロとの旅を止めようとは一度も思わなかった。国と国との間に和平をもたらそうと奔走する友を、放っておける訳がなかった。友との旅は生きる糧だった。

 肉の焼ける匂いが立ち込める。マルティンはテントから顔を出し、おっと声を上げた。

「いい匂いだ」

 大きく切り分けられた大蚯蚓の肉は、意外にも美味しそうに思えた。肉汁が砂へと滴り落ちていく。焚き火の前に腰掛け、マルティンはアンジェロに馬乳酒を手渡した。

「ああ、最高だな友よ。大きな肉と酒。美味い食事は旅の醍醐味だ」

「へへっ、そうだね。でもまだこいつが美味いかどうかは分からない。さて、どっちが先に食べる?」

「お先にどうぞ」

 マルティンはおそるおそる肉にかぶりついた。臭みがありながらも柔らかな肉が、マルティンの舌を楽しませる。数度咀嚼した後、マルティンはごくりと肉を飲み込んだ。

「うん、中々いける。臭みはあるけど、舌が痺れるような感じもない。これなら普通に食べられそうだ」

「そうか、なら安心だな。これから先、見かけた大蚯蚓は一匹残らず仕留めていこう」

「ええ?」

「うむ、美味い。あっという間に食べ終わってしまいそうだ。もう一匹捕まえて、捌いておけば良かったか」

 アンジェロは平坦な声で大蚯蚓の肉に賛辞を贈り、そしてあっという間にひとかたまりを平らげた。巨大な肉が、一体その細い身体のどこに入っていくのか。マルティンは見慣れた光景なれど不思議に思って仕方がなかった。

「はははっ……アンジェロがしばらくこの国にいれば、この砂漠から大蚯蚓はいなくなってしまうかもな」

「私に食い尽くされてか?」

「ああ。きっと絶滅まで一週間もかからないぞ」

 マルティンは酒を呷り、笑い声を上げた。美しい星空と焚き火の赤、そして肉と酒が彼の気分を高揚させる。

「君と旅をする中で、変な色のとげとげの実、怪物の血、でっかい羽虫のフライ、ケルベロスの頭……。色々なものを飲み食いしてきたけど、蚯蚓まで食べる日が来るとはね」

「なに、蚯蚓は良かっただろう。美味かったぞ」

「まあ、幸いこいつの味は悪くなかったけどさ。でも君は、僕が食べられないものでも喜々として口に入れるし、大抵のものは美味いって言うだろう?」

「ほう、食べられるものなら何でもいいのだろうと言いたげだな。そんなことはないぞ。オリヴァー様が作ったパルシファーの炒め物、あれは生きてきた中で最悪の味だった」

 顔をしかめるアンジェロを見て、マルティンは大きな笑い声を上げた。

「ははははっ! 懐かしいな! あの時の君は酷く苦しんで、外でゲーゲー吐いたんだっけな!」

「止めろマルティン、思い出させるな。あれほど冒涜的な味もなかった」

 肉を食べるのを止め、アンジェロは額に手を当てた。

「オリヴァー様の料理は糞だ。あれに比べれば、大抵のものは美味く感じる」

「そうかい。じゃあ、あのおかっぱ頭のエルフさんには感謝しなくちゃいけないかもな」

「ほう、なぜだ?」

「君の舌に耐性をつけたから」

 マルティンは自分の長い髭をくるくると指に絡ませ、にっと笑って歯を見せた。

使だ。知ってるだろ? 自分がそんな風に言われてること」

「ああ、勿論」

「君は行く先々で出されたどんな料理も綺麗さっぱり平らげてきたよな。中には悪意しか感じられないような料理も出されたけど、それでも君は美味い美味いと言って皿を空け、おかわりまで要求した。その食いっぷりに白波の国の王様は口をあんぐりと空けて、崖の国のオークたちは君を気に入ったんだっけな。ああ、平和は君の舌と胃袋によってもたらされたんだ。素晴らしいことじゃないか!」

「そんな大層なものではない。白波の国の料理も、オークたちが出した料理も見た目こそ酷かったが、美味いものだったぞ。私は悪食ではない。美味しい食事をご馳走になっただけだ」

「そうかいそうかい、君は心からそう思っているんだろうな。それが相手に伝わったんだ。今度の緑の国の使者は、自分の国の文化を受け入れてくれるって。それが相手にとってはとても嬉しかったんだろう。君は、いい外交官だな」

 アンジェロを出迎える異国の人々の顔を思い出し、マルティンはふっと笑った。

「なあアンジェロ。機工の国に行ったことは覚えてるか? 僕と君が初めて訪ねた異国だ」

「ああ。機工の国か。懐かしいな、もう三十年以上前になるか?」

 マルティンはポケットから小型の箱のようなものを取り出した。

「凄かったよね、機工の国。街中が歯車だらけで、おまけにこのきゃめらとかいう箱でどんな景色も撮れちゃうんだからさ。エルフにお願いして魔法で写真を撮ってもらわなくてもいい。革命だよ」

 マルティンはカメラを星空に向け、美しい天の川を撮った。

「一年に一度、現像した写真をリアへ送るんだ。僕の写真、凄い評判が良いらしいよ。子どもたちから村の人まで……皆、目を輝かせて僕の写真を見るんだって。ああ、一部は自警団の事務所に飾られてるらしい。参っちゃうよなあ」

「マルティンは絶景を撮るのが上手いからな。弟の目に映る景色を自分も見ることができて、リローラン殿は心から喜んでいるだろう」

 懐かしい名に、暫しの沈黙が降りる。ぱちぱちと焚き火の音がする中で、アンジェロはゆっくりと口を開いた。

「マルティン。はずれの村に戻ろうとは思わないのか」

「おいおい。いきなりどうしたの」

「……」

 アンジェロはゆっくりと目を瞑った。焚き火に照らされる友の顔は、相変わらず若く美しい。ミルクティー色の波打つ髪も、細く長い首筋も、全てが昔と全く変わらない。マルティンは白くなり始めた眉の奥から、じっと彼の顔を見つめた。

「私は、無茶をさせている。危険な旅だ。常に生死と隣り合わせの旅だ」

「今更か? そんなんずっと前から分かってるよ」

「リローラン殿も老いた。村に戻り、彼女と共に平和の中暮らそうとは思わないのか」

(ああ、なるほどね)

 マルティンは酒に口を付け、静かに爆ぜる焚き火の音にしばらく耳を傾けた。

「アンジェロ、僕のことを気にしてくれてるんだね。老後くらいは平和に過ごしてほしいって思ってんだろ」

「ああ」

「はは、平和なんて向かないさ。僕はドンパチやってた方が楽しいよ」

 マルティンは酒で紅潮した顔をアンジェロに向け、また大きな笑い声を上げた。

「いいんだ、リアとは手紙でやり取りできれば。お互い同じ空を見上げている。それが分かれば、リアも僕も満足なんだよ。それにダークエルフの義兄さんがいる。あいつがいる限り、リアは大丈夫だろ」

 彼は美しい星空を見上げ、故郷の村に住む姉のことを思った。

「はずれの村には戻らない。僕は死ぬまで現役だ。村を出た時に決めたんだ、君についてくってさ。まだまだやることはたくさんある。崖の国のオークに、緑の国流の畑作を教えてやらなきゃいけないし、武芸に優れる白波の国で適当な傭兵も見繕ってやりたい。そんで、僕の持ってる技術を叩き込んで一人前の護衛に仕立て上げるんだ。僕が死んじゃった後も、君が安心して会談に臨めるようにね」

「……マルティン」

「君が外交官を志した理由。異国の料理を食べてみたいってのもひとつの理由だけど、もうひとつは、他種族や価値観の異なる国に関して見識を深め、それを自国へと持ち帰る。そして自分が生まれ育った緑の国が、よりよい国となるように導いていきたい。僕に話してくれたのは、こんな理由だったね」

「ああ」

「全ての者、特に混ざり血がもう不当な差別を受けることがないように、他国の先進的価値観を自国に普及させる。自分の慕う元上司と妻、そしてその子どもたちを守るために。彼らが差別で苦しむことがないように。それが、君がパルナパ家の権力を振りかざしてまで外交官となった理由だ。……そうだろ、アンジェロ?」

「……そこまで話したのだったか?」

 目を開き、首を傾げるアンジェロを見てマルティンは笑った。

「いや? でも合ってるだろ?」

「ふふっ……ああ。大正解だ」

 アンジェロは顔を綻ばせ、どこか照れたように笑った。

「僕はその考えに共感したんだ。僕は僕なりのやり方でリアの家族を守り、緑の国に平和の盤石を築く。だから、まだまだ君の護衛は続けるさ」

「……良かった。これからもよろしく頼むぞ、マルティン」

「ああ。任せてくれ」

 マルティンは盃に残った最後の酒を一気に呷り、深い息を吐いた。

「ああ、今日は本当に星が綺麗だ。なあアンジェロ、聞いたことはあるか? 熱砂の国じゃ、星の光を頭に当てると髪がよく伸びるって言い伝えがあるらしいよ。僕の髪も、お星さまの力でまた生えてきたりしないかな」

 焚き火の光が、マルティンの頭をぴかぴかと輝き照らしている。すっかり薄くなった頭を摩る友を見て、アンジェロは大きな笑い声を上げた。

「何、もう生やす必要もないだろう。男前にも磨きが掛かったぞ」

「はあー、口が上手くなったね君は。おじさん、もう敵わないなあ」

 マルティンとアンジェロは笑い合い、焚き火の側で美しい星空を眺め続けていた。
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