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砂のお城対決?
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「そんなに無理して入らなくてもいいではないか。」
私が海の中でサイラスに抱き上げられているところへ、フータが歩み寄って来た。
ジャブジャブと海へ入り私の側まで来ると、顔面蒼白な私の頬をユルユルと優しく撫でる。
「顔色が悪い。少し休め。」
「そうだね。ちょっと休憩しよう。」
サイラスにも促され,私は大人しくそれに従った。
サイラスに抱っこされたまま海から出ると、砂浜にそっと降ろされる。
ずっと緊張状態だったからか足に力が入らず、降ろされた場所にヘニョヘニョと座り込んでしまった。
「大丈夫!?」
「う、うん、大丈夫。」
慌てて私の横にしゃがみ顔を覗き込むサイラスに、なんとか笑って答えるけど。
思ってたより心身共に疲れちゃってたみたいで、正直しんどい。
青い顔をした私の頭をフータが優しくひと撫ですると、隣に座り砂を手で寄せ集め始めた。
「暫く海に入るのは止めるのだ。子供は砂遊びが好きであろう?ここで砂をイジるのも悪くないぞ。」
そう言いながら寄せ集めた砂に海水を混ぜて泥状態にすると、フータは器用に小さな砂のお城を作ってみせた。
「すごーい、フータ!!さすがだね!!」
さすが不死鳥!!
砂のお城まで上手に作れるなんて!!
私が感動のあまり手をパチパチと叩いてフータを大絶賛していると、横からムッとした様子のサイラスが身を乗り出してきた。
「これくらい、俺にだって作れるし。」
言いながらサイラスは泥を集めてフータが作ったのより少し大きめなお城をササッと完成させた。
「サイラスもすごーい!!やっぱり、なんでも出来ちゃうんだね!!」
さすがサイラス!!
何をやらせてもカッコイイ!!
私に褒められて、ふふん、とフータを見ながら得意げに胸を張るサイラスに、今度はフータがムッとした表情を見せる。
最初に作ったお城をグシャッと壊すと、すぐさまそこへサイラスより大きなお城を作り直した。
「我の方がもっと上手く作れるぞ。」
「わっ!すごいね!?さっきのより大きいじゃん!!」
ドヤ顔でお城をアピールするフータに、私も思わず声を上げ興奮気味に褒める。
……けれど、これがいけなかった。
私のフータに対する歓声で闘志に火が付いてしまったサイラスは、フータより更に大きなお城を作り始めたのだ。
そして、それを面白がったフータがサイラスに対抗してどんどん大きなお城を作っていく。
ハイスペックな二人が作り出す砂のお城は、もはや砂遊びのレベルじゃなくて芸術作品と呼べるモノになっていた。
…………なんだこれ。
もう、二人とも私には目もくれず、一心不乱にお城作り続けている。
私が呆れ顔で二人を見ていたら、ふいに大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「顔色がだいぶ良くなってきたな。良かった。」
私を撫でる優しい手と同じく優しい声に振り向けば、国王様が目を細め、ホッとしたように微笑んで私を見下ろしている。
「はい。ありがとうございます。」
「体調が悪くなるといけないから、そろそろ部屋に戻ろうか。」
「あ……でも、サイラスとフータが……」
私がオロオロしながら言うと、国王様は二人を一瞥した後に私をヒョイと抱き上げ別荘の方へと歩き出した。
「ユーカをほったらかしにして勝負している者達のことなど、気遣わなくても良いのだよ。」
「あの……」
「さあ、行こうか。」
「…………はい。」
ニッコリと微笑む国王様に、私は素直に頷いた。
…………だって、国王様メッチャ怒ってるんだもん。
笑ってるけど、目が笑ってない。
これは大人しく従っておいた方が、絶対いいヤツだ。
「「あ、ユーカ!!」」
私がいないのに気付いたサイラスとフータが顔を上げ、同時に叫ぶ。
その声に国王様が立ち止まり、ゆっくり振り返ると、二人に凍えそうなほど冷たい目を向けた。
「ユーカの体調が心配なので、部屋へ連れて行きますが……何か?」
「「…………」」
国王様の迫力に圧されて、二人は無言のままフルフルと首を横に振った。
「さあユーカ、行こうか。」
「……はーい。」
国王様に抱っこされた状態で二人にバイバイと手を振る。
二人はなんとも言えない表情で私に手を振り返してくれた。
…………二人の横には、砂で出来ているとは思えないほど立派なお城が二つ、並んでいる。
どんどんと遠ざかる二人の姿と、立派な砂のお城が哀愁を帯びて見えるのは……きっと、私だけじゃないはず。
私が海の中でサイラスに抱き上げられているところへ、フータが歩み寄って来た。
ジャブジャブと海へ入り私の側まで来ると、顔面蒼白な私の頬をユルユルと優しく撫でる。
「顔色が悪い。少し休め。」
「そうだね。ちょっと休憩しよう。」
サイラスにも促され,私は大人しくそれに従った。
サイラスに抱っこされたまま海から出ると、砂浜にそっと降ろされる。
ずっと緊張状態だったからか足に力が入らず、降ろされた場所にヘニョヘニョと座り込んでしまった。
「大丈夫!?」
「う、うん、大丈夫。」
慌てて私の横にしゃがみ顔を覗き込むサイラスに、なんとか笑って答えるけど。
思ってたより心身共に疲れちゃってたみたいで、正直しんどい。
青い顔をした私の頭をフータが優しくひと撫ですると、隣に座り砂を手で寄せ集め始めた。
「暫く海に入るのは止めるのだ。子供は砂遊びが好きであろう?ここで砂をイジるのも悪くないぞ。」
そう言いながら寄せ集めた砂に海水を混ぜて泥状態にすると、フータは器用に小さな砂のお城を作ってみせた。
「すごーい、フータ!!さすがだね!!」
さすが不死鳥!!
砂のお城まで上手に作れるなんて!!
私が感動のあまり手をパチパチと叩いてフータを大絶賛していると、横からムッとした様子のサイラスが身を乗り出してきた。
「これくらい、俺にだって作れるし。」
言いながらサイラスは泥を集めてフータが作ったのより少し大きめなお城をササッと完成させた。
「サイラスもすごーい!!やっぱり、なんでも出来ちゃうんだね!!」
さすがサイラス!!
何をやらせてもカッコイイ!!
私に褒められて、ふふん、とフータを見ながら得意げに胸を張るサイラスに、今度はフータがムッとした表情を見せる。
最初に作ったお城をグシャッと壊すと、すぐさまそこへサイラスより大きなお城を作り直した。
「我の方がもっと上手く作れるぞ。」
「わっ!すごいね!?さっきのより大きいじゃん!!」
ドヤ顔でお城をアピールするフータに、私も思わず声を上げ興奮気味に褒める。
……けれど、これがいけなかった。
私のフータに対する歓声で闘志に火が付いてしまったサイラスは、フータより更に大きなお城を作り始めたのだ。
そして、それを面白がったフータがサイラスに対抗してどんどん大きなお城を作っていく。
ハイスペックな二人が作り出す砂のお城は、もはや砂遊びのレベルじゃなくて芸術作品と呼べるモノになっていた。
…………なんだこれ。
もう、二人とも私には目もくれず、一心不乱にお城作り続けている。
私が呆れ顔で二人を見ていたら、ふいに大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「顔色がだいぶ良くなってきたな。良かった。」
私を撫でる優しい手と同じく優しい声に振り向けば、国王様が目を細め、ホッとしたように微笑んで私を見下ろしている。
「はい。ありがとうございます。」
「体調が悪くなるといけないから、そろそろ部屋に戻ろうか。」
「あ……でも、サイラスとフータが……」
私がオロオロしながら言うと、国王様は二人を一瞥した後に私をヒョイと抱き上げ別荘の方へと歩き出した。
「ユーカをほったらかしにして勝負している者達のことなど、気遣わなくても良いのだよ。」
「あの……」
「さあ、行こうか。」
「…………はい。」
ニッコリと微笑む国王様に、私は素直に頷いた。
…………だって、国王様メッチャ怒ってるんだもん。
笑ってるけど、目が笑ってない。
これは大人しく従っておいた方が、絶対いいヤツだ。
「「あ、ユーカ!!」」
私がいないのに気付いたサイラスとフータが顔を上げ、同時に叫ぶ。
その声に国王様が立ち止まり、ゆっくり振り返ると、二人に凍えそうなほど冷たい目を向けた。
「ユーカの体調が心配なので、部屋へ連れて行きますが……何か?」
「「…………」」
国王様の迫力に圧されて、二人は無言のままフルフルと首を横に振った。
「さあユーカ、行こうか。」
「……はーい。」
国王様に抱っこされた状態で二人にバイバイと手を振る。
二人はなんとも言えない表情で私に手を振り返してくれた。
…………二人の横には、砂で出来ているとは思えないほど立派なお城が二つ、並んでいる。
どんどんと遠ざかる二人の姿と、立派な砂のお城が哀愁を帯びて見えるのは……きっと、私だけじゃないはず。
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