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56話 対策
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私が中庭で待っていると、暫くしてクリスとリリとエレナ様がやってきた。
リリはいつも通りだったが、クリスはやや笑顔が引きつっており、エレナ様は微笑んでいるものの、何を考えているのか全くわからない、この人本当に何がしたいのだろう。
私は待ち合わせが事実になるように、リリとクリスに「2人共遅いわよ」と声をかけ、エレナ様には私の友達に近寄るな、という意味を込めて「エレナ様はなぜ2人と一緒にいるのかしら」と問いかけた。
私がそう言うと、リリとクリスは少し驚いた表情をしたが、すぐ元の表情に戻し、リリは私の横に、クリスはなぜか私の背後に隠れた。
(あれ?クリスってエレナ様苦手なのかしら、初対面だよね?)
「マリー遅くなってごめんなさい、エレナ様が私達と話したいと仰られて」
「同じ選択科目でしたからお近付きになりたくて声をかけましたの、そしたらお2人共マリアンヌ様と先約があると言うので、ご一緒出来ないかと思いまして」
「そうでしたか、でも申し訳ないのですけれど今回は承服しかねますわ」
「あら、どうしてかしら」
これはエレナ様が納得する理由が言えなければ、延々と続いてしまう気がしたので、どうしようかなと思っていると「マリー」と私を呼ぶウィルの声が聞こえたので、そちらを向くと、ウィルがこちらに駆け寄ってきていた。
「マリーここに居たんだね、探したよ」
「どうかしましたか?」
「この間の件で話があるから、マリーとリリアン嬢とクリスティーナ嬢を連れてくるようカイン様に言われたんだ」
「そうですか、でしたらそちらが優先ですわね、エレナ様、そういう事ですので私達失礼しますわ」
「そう、残念ね、ではまた今度話しましょう」
エレナ様はそう言うと私達に背を向け、歩いてどこかへ去っていった。
エレナ様がいなくなったので、ウィルに話を聞こうとしたら背後に隠れていたクリスに後ろから抱き着かれた。
「マリーちゃ~ん、あの人怖かったよぉ」
「怖かったって、初対面でしょ、何かあったの?」
「私も初対面だけど、あの人は仲良くなれそうにないわ、笑ってるのに圧が凄いんですもの」
「リリまで」
「そういえばマリーはどうして中庭に居たの?約束してないわよね」
リリにそう聞かれたので何て答えようかと思っていると、ウィルが「その理由はカイン様が話してくれるから移動しようか」と言って私達を生徒会室に案内した。
私達がソファに並んで座ると、机を挟んで向かい側に座っていたカイン様が話し出した。
「まさか昨日の今日で行動に出るとは思ってなかったよ、ごめんねマリアンヌ」
「いえ、私は大丈夫です」
「さて、クリスティーナ嬢とリリアン嬢は何の事か分からないだろうから説明するけど、これから話す内容は他言無用だよ」
カイン様がそう言うと2人は頷き、カイン様はエレナ様が要注意人物として国からマークされている事と、目的は分からないが、私とその周辺の人物に近寄ろうとする傾向があると話した。
ちなみに私が中庭に居た理由は、エレナ様を監視していた人物から、クリス達が声をかけられたと聞いて、カイン様が私に指示した事になっていた。
話しが終わるとリリが「事情は分かりました、それで私達はこれからどうしたらいいでしょうか、また選択科目で一緒になる事もあると思うのですが」とカイン様に聞いた。
するとカイン様は「そうだったね、じゃあエレナ嬢が大人しくなるまで、ニコラスを暫く君達と行動させようかな」と言い出した。
私が「なぜニコラス様を?」と聞くと「彼なら女生徒2人と歩いててもいつもの事だし、噂やトラブルは起こさせないからね」とカイン様はそう言った後、一瞬クリスの方を見たので、念の為攻略対象じゃないニコラス様が選ばれたのだろうと思った。
後日、午後の授業時間になるとニコラス様は、リリとクリスのそばにいるようになり、しれっとお昼も一緒に食べるようになっていたので、そのコミュ力の高さには驚いた。
リリとクリスも緊張していたのは最初だけで、今では普通に喋っている。
私がふと「何かニコラス様楽しそうですね」と呟くと、隣に居たウィルが「実際あいつかなり楽しんでるよ」と言った。
それを聞いたカイン様が「私がこの件を頼んだ時も、喜んで引き受けてくれたしね」と教えてくれた。
「そうなんですか、ニコラス様の負担でないなら良かったです、リリとクリスが気にしてたので、でもカイン様、これいつまで続けるんですか?」
「一応7月の夏季休暇に入るまでは続けるつもりだよ、そのうちエレナ嬢の方から何か言ってくると思うし」
「なぜですか?」
「ティルステアの諜報員が、無謀にも学園に侵入しようとしたから、陛下側の影に見つかる前に叔父上に頼んで捕まえてもらったんだよ」
「いつの間に…」
「普段はいないんだけど、定期報告の時期だったみたいだね」
「えっと、それで何か分かったんですか?」
「まぁ、少しね、詳しくはやっぱりエレナ嬢から聞いてみないと何とも言えない感じかな」
「そうですか」
「ただマリアンヌが狙われてるのは間違いないみたい」
「ですよね…」
「もし学園の外に行く事があったら、ウィルと一緒に行動してね」
「分かりました」
その後、エレナ様が何か行動を起こす事はなく、あっという間に実技大会当日を迎えた。
リリはいつも通りだったが、クリスはやや笑顔が引きつっており、エレナ様は微笑んでいるものの、何を考えているのか全くわからない、この人本当に何がしたいのだろう。
私は待ち合わせが事実になるように、リリとクリスに「2人共遅いわよ」と声をかけ、エレナ様には私の友達に近寄るな、という意味を込めて「エレナ様はなぜ2人と一緒にいるのかしら」と問いかけた。
私がそう言うと、リリとクリスは少し驚いた表情をしたが、すぐ元の表情に戻し、リリは私の横に、クリスはなぜか私の背後に隠れた。
(あれ?クリスってエレナ様苦手なのかしら、初対面だよね?)
「マリー遅くなってごめんなさい、エレナ様が私達と話したいと仰られて」
「同じ選択科目でしたからお近付きになりたくて声をかけましたの、そしたらお2人共マリアンヌ様と先約があると言うので、ご一緒出来ないかと思いまして」
「そうでしたか、でも申し訳ないのですけれど今回は承服しかねますわ」
「あら、どうしてかしら」
これはエレナ様が納得する理由が言えなければ、延々と続いてしまう気がしたので、どうしようかなと思っていると「マリー」と私を呼ぶウィルの声が聞こえたので、そちらを向くと、ウィルがこちらに駆け寄ってきていた。
「マリーここに居たんだね、探したよ」
「どうかしましたか?」
「この間の件で話があるから、マリーとリリアン嬢とクリスティーナ嬢を連れてくるようカイン様に言われたんだ」
「そうですか、でしたらそちらが優先ですわね、エレナ様、そういう事ですので私達失礼しますわ」
「そう、残念ね、ではまた今度話しましょう」
エレナ様はそう言うと私達に背を向け、歩いてどこかへ去っていった。
エレナ様がいなくなったので、ウィルに話を聞こうとしたら背後に隠れていたクリスに後ろから抱き着かれた。
「マリーちゃ~ん、あの人怖かったよぉ」
「怖かったって、初対面でしょ、何かあったの?」
「私も初対面だけど、あの人は仲良くなれそうにないわ、笑ってるのに圧が凄いんですもの」
「リリまで」
「そういえばマリーはどうして中庭に居たの?約束してないわよね」
リリにそう聞かれたので何て答えようかと思っていると、ウィルが「その理由はカイン様が話してくれるから移動しようか」と言って私達を生徒会室に案内した。
私達がソファに並んで座ると、机を挟んで向かい側に座っていたカイン様が話し出した。
「まさか昨日の今日で行動に出るとは思ってなかったよ、ごめんねマリアンヌ」
「いえ、私は大丈夫です」
「さて、クリスティーナ嬢とリリアン嬢は何の事か分からないだろうから説明するけど、これから話す内容は他言無用だよ」
カイン様がそう言うと2人は頷き、カイン様はエレナ様が要注意人物として国からマークされている事と、目的は分からないが、私とその周辺の人物に近寄ろうとする傾向があると話した。
ちなみに私が中庭に居た理由は、エレナ様を監視していた人物から、クリス達が声をかけられたと聞いて、カイン様が私に指示した事になっていた。
話しが終わるとリリが「事情は分かりました、それで私達はこれからどうしたらいいでしょうか、また選択科目で一緒になる事もあると思うのですが」とカイン様に聞いた。
するとカイン様は「そうだったね、じゃあエレナ嬢が大人しくなるまで、ニコラスを暫く君達と行動させようかな」と言い出した。
私が「なぜニコラス様を?」と聞くと「彼なら女生徒2人と歩いててもいつもの事だし、噂やトラブルは起こさせないからね」とカイン様はそう言った後、一瞬クリスの方を見たので、念の為攻略対象じゃないニコラス様が選ばれたのだろうと思った。
後日、午後の授業時間になるとニコラス様は、リリとクリスのそばにいるようになり、しれっとお昼も一緒に食べるようになっていたので、そのコミュ力の高さには驚いた。
リリとクリスも緊張していたのは最初だけで、今では普通に喋っている。
私がふと「何かニコラス様楽しそうですね」と呟くと、隣に居たウィルが「実際あいつかなり楽しんでるよ」と言った。
それを聞いたカイン様が「私がこの件を頼んだ時も、喜んで引き受けてくれたしね」と教えてくれた。
「そうなんですか、ニコラス様の負担でないなら良かったです、リリとクリスが気にしてたので、でもカイン様、これいつまで続けるんですか?」
「一応7月の夏季休暇に入るまでは続けるつもりだよ、そのうちエレナ嬢の方から何か言ってくると思うし」
「なぜですか?」
「ティルステアの諜報員が、無謀にも学園に侵入しようとしたから、陛下側の影に見つかる前に叔父上に頼んで捕まえてもらったんだよ」
「いつの間に…」
「普段はいないんだけど、定期報告の時期だったみたいだね」
「えっと、それで何か分かったんですか?」
「まぁ、少しね、詳しくはやっぱりエレナ嬢から聞いてみないと何とも言えない感じかな」
「そうですか」
「ただマリアンヌが狙われてるのは間違いないみたい」
「ですよね…」
「もし学園の外に行く事があったら、ウィルと一緒に行動してね」
「分かりました」
その後、エレナ様が何か行動を起こす事はなく、あっという間に実技大会当日を迎えた。
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