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78話 神術の解除
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学園祭が終わるとあっという間に年が明け、冬休みに入った。
今日はクロードがティルステア聖国からの脱走に成功したので、隣国のユグナーティス王国から冬休み中で人のいない学園に転移させて、教皇にかけられた神術の解除をするらしい、私も参加するよう言われている為、ウィルと一緒にいつもの生徒会室に向かった。
あと、王太子になったカイン様だが、相変わらずお城だと環境が悪いらしく、冬休み中も生徒会室で仕事をしているらしい。
アルヴィン様から貰った指輪があるので、お城でも問題はないのだが「こっちの方が落ち着くから仕事が捗るんだよね、卒業まではここを使うつもりだよ」と言っていたとウィルから聞いた。
それと、クロードが脱走した事による教皇側の反応は思いの外薄く、追跡も無かったらしい、ただ当たり前だがエレナ様にその事は黙っているので、会わせなければバレないとでも思っているのだろうか?それともバレたらバレたで構わないのかもしれない。
生徒会室に着くとカイン様、アリス、セス様が居て、私とウィルの後にエレナ様とヴィンス先生が来ると、カイン様が「これで全員そろったね」と話し始めた。
「クロードは今ユグナーティス王国にいて、叔父上が連れてきてくれるんだけど、エレナ嬢、叔父上を見ても驚かないでね」
「あの、どういう意味でしょう?」
「君が妹から聞いていた印象とかなり違うという意味だよ」
「そうなんですか?分かりました」
エレナ様がそう言った直後、生徒会室にアルヴィン様がクロードと一緒に転移してきた。
クロードは紺色の髪に赤い瞳をしており、ゲーム通りなら現在18歳のはずだ、おそらくアルヴィン様がいつものノリでいきなり転移したのだろう、かなり驚いた表情をしていた。
アルヴィン様はというと、来て早々「おいカイン、俺が珍獣みたいな言い方はやめろ」といつも通りである。
「珍獣だなんて言ってませんよ、変わってるとは思ってますけど」
「お前な…まぁいい、ほら、お望みのクロード連れてきたぞ」
カイン様はクロードの方を向くと「叔父上が驚かしてすまないね、私はここトワイライト王国の王太子、カイン・レクス・トワイライトだ、初めまして」と挨拶した。
クロードはそれを聞いて「クロードです、話は聞いて分かってますが、まだ信じていません」と言った。
「ちょっとクロード、失礼でしょ」
「エレナ、暗殺者に礼儀を求められても困るって言ってるだろ?カイン様も王太子なら俺の素性を分かってて会うのはどうかと思いますよ」
「ふふっ、面白い事を言うね、仮に君が本気で私を殺しに来ても君の攻撃は私に届く事は無いし、無事に帰る事も出来ないよ」
「…言ってみただけです、そこの大人2人とあとそいつにも勝てる気しないんで、いい部下をお持ちですね」
クロードの言う大人2人とはアルヴィン様とヴィンス先生の事で、そいつと言われたのはウィルの事だ。
「それで、本当に古代魔法なんて使える人間がいるんですか?」
「いるよ、ただ神術を解除する前に今後君がどうするつもりかは答えて欲しいかな」
「ですよね」
「え、カイン様どういう事ですか?」とエレナ様が聞くと、カイン様は「エレナ嬢、彼はティルステア聖国にいたが元はグランディア帝国の人間だ、もし帝国に帰るつもりなら、悪いけど神術の解除はしてあげられないよ」と答えた。
エレナ様がそれを聞いてクロードの方を見ると、クロードは困ったような表情をしていた。
「俺もどうしようかと思ってるんですよね、帝国側から見た俺って任務に失敗してるわけですから、帰ったところで処分されそうだし、聖国にも戻れないし、いっそカイン様が雇ってくれませんかね?」
「構わないよ」
「えっ、マジで?」
カイン様の発言にクロード以外のメンバーも驚いたのだが、カイン様はそしらぬ顔で「国ではなく私個人に仕える形になるけど、どうする?」とクロードに問いかけた。
「あ、それで全然大丈夫です、脅し、暗殺、捏造等々何でも出来るから上手く使って下さい」
「え!?クロード貴方そんな軽い感じで決めていいの?」
「良いも悪いもこれしかないだろ、元々帝国への忠誠心なんて皆無だし、カイン様についた方が待遇良さそうだしさ、エレナ、お前こそどうするんだ?」
「どうって?」
「もう俺という枷はないんだから聖国から逃げたっていいんだぞ?」
「いいえ、私はまだ仕事があるから聖女を続けるわ」
「…そうか」
「それじゃあヴィンス先生解除お願いします」とカイン様がいい、クロードの神術はあっという間に解除された。
クロードが「マジで古代魔法使える人がいるんですね」と驚いていると「ウィリアム君も使えますよ」とヴィンス先生が言い「は?この国ちょっと戦力おかしくないですか」と引いていた。
その後は全員の軽い自己紹介と今後の予定について話し、クロードは暫くアルヴィン様の監視付きで仕事をする事になった。
後日、カイン様になぜクロードをこちらに引き入れたのか聞くと「セスやウィルはまだ学生だし、叔父上は立場上出来る事が限られてるからね、丁度彼みたいな優秀な人材が欲しかったから誘ってみただけだよ」と笑っていた。
今日はクロードがティルステア聖国からの脱走に成功したので、隣国のユグナーティス王国から冬休み中で人のいない学園に転移させて、教皇にかけられた神術の解除をするらしい、私も参加するよう言われている為、ウィルと一緒にいつもの生徒会室に向かった。
あと、王太子になったカイン様だが、相変わらずお城だと環境が悪いらしく、冬休み中も生徒会室で仕事をしているらしい。
アルヴィン様から貰った指輪があるので、お城でも問題はないのだが「こっちの方が落ち着くから仕事が捗るんだよね、卒業まではここを使うつもりだよ」と言っていたとウィルから聞いた。
それと、クロードが脱走した事による教皇側の反応は思いの外薄く、追跡も無かったらしい、ただ当たり前だがエレナ様にその事は黙っているので、会わせなければバレないとでも思っているのだろうか?それともバレたらバレたで構わないのかもしれない。
生徒会室に着くとカイン様、アリス、セス様が居て、私とウィルの後にエレナ様とヴィンス先生が来ると、カイン様が「これで全員そろったね」と話し始めた。
「クロードは今ユグナーティス王国にいて、叔父上が連れてきてくれるんだけど、エレナ嬢、叔父上を見ても驚かないでね」
「あの、どういう意味でしょう?」
「君が妹から聞いていた印象とかなり違うという意味だよ」
「そうなんですか?分かりました」
エレナ様がそう言った直後、生徒会室にアルヴィン様がクロードと一緒に転移してきた。
クロードは紺色の髪に赤い瞳をしており、ゲーム通りなら現在18歳のはずだ、おそらくアルヴィン様がいつものノリでいきなり転移したのだろう、かなり驚いた表情をしていた。
アルヴィン様はというと、来て早々「おいカイン、俺が珍獣みたいな言い方はやめろ」といつも通りである。
「珍獣だなんて言ってませんよ、変わってるとは思ってますけど」
「お前な…まぁいい、ほら、お望みのクロード連れてきたぞ」
カイン様はクロードの方を向くと「叔父上が驚かしてすまないね、私はここトワイライト王国の王太子、カイン・レクス・トワイライトだ、初めまして」と挨拶した。
クロードはそれを聞いて「クロードです、話は聞いて分かってますが、まだ信じていません」と言った。
「ちょっとクロード、失礼でしょ」
「エレナ、暗殺者に礼儀を求められても困るって言ってるだろ?カイン様も王太子なら俺の素性を分かってて会うのはどうかと思いますよ」
「ふふっ、面白い事を言うね、仮に君が本気で私を殺しに来ても君の攻撃は私に届く事は無いし、無事に帰る事も出来ないよ」
「…言ってみただけです、そこの大人2人とあとそいつにも勝てる気しないんで、いい部下をお持ちですね」
クロードの言う大人2人とはアルヴィン様とヴィンス先生の事で、そいつと言われたのはウィルの事だ。
「それで、本当に古代魔法なんて使える人間がいるんですか?」
「いるよ、ただ神術を解除する前に今後君がどうするつもりかは答えて欲しいかな」
「ですよね」
「え、カイン様どういう事ですか?」とエレナ様が聞くと、カイン様は「エレナ嬢、彼はティルステア聖国にいたが元はグランディア帝国の人間だ、もし帝国に帰るつもりなら、悪いけど神術の解除はしてあげられないよ」と答えた。
エレナ様がそれを聞いてクロードの方を見ると、クロードは困ったような表情をしていた。
「俺もどうしようかと思ってるんですよね、帝国側から見た俺って任務に失敗してるわけですから、帰ったところで処分されそうだし、聖国にも戻れないし、いっそカイン様が雇ってくれませんかね?」
「構わないよ」
「えっ、マジで?」
カイン様の発言にクロード以外のメンバーも驚いたのだが、カイン様はそしらぬ顔で「国ではなく私個人に仕える形になるけど、どうする?」とクロードに問いかけた。
「あ、それで全然大丈夫です、脅し、暗殺、捏造等々何でも出来るから上手く使って下さい」
「え!?クロード貴方そんな軽い感じで決めていいの?」
「良いも悪いもこれしかないだろ、元々帝国への忠誠心なんて皆無だし、カイン様についた方が待遇良さそうだしさ、エレナ、お前こそどうするんだ?」
「どうって?」
「もう俺という枷はないんだから聖国から逃げたっていいんだぞ?」
「いいえ、私はまだ仕事があるから聖女を続けるわ」
「…そうか」
「それじゃあヴィンス先生解除お願いします」とカイン様がいい、クロードの神術はあっという間に解除された。
クロードが「マジで古代魔法使える人がいるんですね」と驚いていると「ウィリアム君も使えますよ」とヴィンス先生が言い「は?この国ちょっと戦力おかしくないですか」と引いていた。
その後は全員の軽い自己紹介と今後の予定について話し、クロードは暫くアルヴィン様の監視付きで仕事をする事になった。
後日、カイン様になぜクロードをこちらに引き入れたのか聞くと「セスやウィルはまだ学生だし、叔父上は立場上出来る事が限られてるからね、丁度彼みたいな優秀な人材が欲しかったから誘ってみただけだよ」と笑っていた。
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