元の鞘に収まれない!

小貝川リン子

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4 初めて③ ※

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 それからだ。俺の性癖はおかしくなってしまった。桐葉のせいだ。独りでする時、なぜか桐葉が脳裏にちらつくようになってしまった。熱い吐息、抑え目の喘ぎ声、極めつけはイキ顔である。見るつもりもなかったのに見えてしまったその顔が、網膜に焼き付いて離れない。
 女の子のおっぱいを思い浮かべ、専用の漫画や動画を見ていても、フィニッシュの頃には桐葉のことしか考えられなくなっている。今日は水着の女の子で抜くぞと決めて始めても、毎回毎回毎回桐葉が邪魔してくるのだ。
 
 あんなことがあったので桐葉とは距離を置いていたが、今日は何となく会いたくなった。想像ではない生の桐葉に会いたかった。声も聞きたかった。桐葉には何も告げずに押しかけた。夏休みの初日だった。
 ちなみに部活動についてだけど、先週の県西地区大会――つまり中学総体の予選――で負けたので既に引退していた。当日は悔しくて泣いたんだけど、今はそれよりも桐葉のことばかり気になって仕方ない。
 
 アポなしで押しかけても快く迎えてくれるおばあちゃんが、今日はいなかった。代わりに桐葉が、眠そうな目で玄関を開けた。
 
「ごめん、もしかして寝てた?」
「はぁ? んなわけねぇだろ。昼寝だよ」
「寝てたんじゃん」
 
 桐葉はふわぁとあくびをする。
「で? 何の用だ?」
「久しぶりに会い……漫画読みたくなって」
「あぁ……二週間ぶりだもんな」
 
 何の気なしに発せられた桐葉の言葉が、俺はちょっと嬉しかった。二週間ぶりだって、覚えててくれたんだな。桐葉は嫌がる素振りもなく、普通に家に上げてくれた。いつもおばあちゃんがしてくれるみたいに、急須でお茶を淹れてくれる。
 
「おばあちゃんは?」
「留守だ。公民館に用があるらしくてな。お前に会いたがってたぞ。なんで来なかった」
「なんでって……気まずいじゃん」
「喧嘩したからか」
「ちっげぇよ! ほらあの、その前のさ……」
「ん? あぁ、“抜いた”からか」
 
 羞恥のあまり殴りかかってきた前回とは打って変わって、桐葉は俺を挑発するように目を細めた。
 
「お前、あれから独りで抜いたか?」
「へっ!? ぬ、抜いた……よ? 普通に」
 
 当たり前だ。一日一回はする。中学生なんてみんなこんなもんだろう? でもお前で抜いたとはさすがに言えなかった。
 
「おれは抜いてねぇ。なぁ、またしようぜ」
 桐葉はそのまま、俺の方へしな垂れかかってきた。畳の上へ倒されて、股間を鷲掴みにされる。俺がこの前したみたいに、服の上から揉んできた。薄い生地のハーフパンツを履いていたのでダイレクトに刺激が伝わる。すぐに勃起して、形がくっきりと浮き出る。
 
「やられっぱなしは性に合わねぇ。今日はお前を泣かせてやる」
「やっ、ちょっとぉ、おばあちゃん帰ってきたらどうすんだよ」
「来ねぇよ。お年寄りの井戸端会議は長いんだぜ」
 
 下半身を剥かれた。桐葉の手が直接息子に触れる。まさか女の子に触ってもらう前に野郎に触られることになるとは、昨年の自分に話しても信じるまい。とはいえ、桐葉の手は気持ちよかった。肉付きの悪い硬い手だけど、肌はすべすべしていた。何より、両手で俺のものを一所懸命扱いている姿にぐっときた。
 
「な、なぁ、もっといい方法あるんだけど、知りたくねぇ?」
「なに?」
「もっと楽に気持ちよくできる方法があるんだよ。それされたら俺、泣いちゃうかもなぁ」
「ははっ、ざまあないな。言ってみろ、どうしてほしいんだ」
 
 乗ってきた乗ってきた。桐葉は負けず嫌いなところがあるけどそれが弱点でもある。殊セックスに関しては知識が皆無なので、俺なんかにも簡単に騙される。
 
「口でするんだよ」
「口?」
「そう。俺のちんこ、咥えてみ?」
 
 桐葉はうへぇと嫌そうな顔をする。
「……だってこれ、ちんこだろ? 口に入れるなんて汚ぇだろ。小便した後拭いたか? 拭いてても嫌だぜ」
「別に無理にしろとは言わねぇよ。でももったいねぇな。すんげぇ気持ちいいらしいぜ。今度お前にもしてやろうか? きっと泣いちゃうぜ」
 
 桐葉はむすっと眉をひそめたかと思うと、俺の息子をぱくりと咥えた。バナナを食べる要領で奥まで頬張る。
 
「どうら? きもひいか?」
「んっ、ふふ、うん。やべぇ気持ちい」
 
 腰が砕けそうだった。腰が砕けるってよく聞くけど、こういうことだったんだなと一人感動した。頭が馬鹿になる。ただでさえ馬鹿なのに、もっと馬鹿になっちゃう。桐葉のフェラは下手くそだけど、咥えてるだけで十分気持ちよかった。口の中はあったかくてぬるぬるしてて、時々舌が裏筋や亀頭を撫でるのがたまらなかった。
 
「おひ、でうか?」
「は、何言ってっかわかんね……んっ、あ、ほんと、すげぇ」
 
 俺が喘ぐので桐葉は嬉々としてしゃぶりつく。ああ、もうやばい。ちんこが溶ける。脳みそも溶ける。
 
「桐葉ぁっ、俺もう出ちゃう、出る」
「だせよ」
 
 だめだめ、口の中に出すなんて最低な行為だよ。うう、でも気持ちいい。離れ難い。むしろもっと奥まで入って、喉の奥にぶっかけたい。
 
 脳内では会議が開かれていたが、俺の手は勝手に桐葉の頭を押さえ付けて逃がさなかった。前髪を掴んだまま、腰を震わせた。桐葉の口に出してしまった。
 桐葉はびっくりした猫みたいにカッと目を剥いた。口を放そうとして暴れるが、俺も手が放せない。長い射精だった。そして初めての快感だった。癖になりそうだ。
 
「ふっ、ふざっけんな!」
 
 解放された桐葉は精液を自分の手に吐き出し、盛大に咳き込んだ。口の中も口の周りも精液まみれだった。
 
「うぇえ、まっじぃ。最悪だ、てめえ」
「わ、悪かったよ。だってマジやばかったんだぜ、お前の口ン中。楽園かと思った」
「だからってこんなことすんな。少し飲んじまった。最悪だ。クソまじぃ」
「謝ってんだろ? ほら、ティッシュ。口拭けよ」
「こんなんで足りっかよ。口ン中、まだねばねばしてやがる」
 
 口の中、ねばねば……。桐葉の言葉を反芻する。落ち着いて考えてみると、凄い経験をしてしまったのではないか。フェラチオ、口内射精、(少量だけど)ごっくん。初体験のくせに盛り込みすぎた。今度は顔射とかしてみたい。絶対怒られるだろうけど。
 
「なぁ、次は俺がお前のちんこ舐めてやるよ」
「はぁ? いらねぇよ」
 
 桐葉は露骨に嫌がったが、俺も粘る。
 
「なんでだよ。気持ちいいぜ?」
「……別に、気持ちよくなりたくねぇ」
「あー、もしかして怖いのぉ? 良すぎて泣いちゃうかもって思ってんだ」
「そんなんじゃねぇ。怖くねぇ」
「じゃあいいじゃん。お前も俺の口ン中に出しちゃえよ。そんでお互い様だろ?」
 
 桐葉はわずかに逡巡し、立ち上がった。どこに行くんだと尋ねると、二階と言う。
「ばあちゃんに見られたら嫌だから……」
 
 二階へ上がると、桐葉は潔く服を脱いだ。股間のものは緩く勃起している。
 
「ちょっと起ってる。俺の舐めるの気持ちよかった?」
「はぁ? ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと咥えろよ」
 
 凄まれても怖くない。桐葉は前と同じぺたん座りで、腰を突き出していた。そのポーズはほとんど女の子だ。俺は躊躇いもなく、要望通りさっさと咥えてやった。
 
「ひっ……!」
 
 口に入れた途端、細い悲鳴が降ってきた。口の中のものがみるみるうちに硬くなる。
 
「どう? いい?」
「杉本っ……これ、ぇ、おかし……」
「きもひい?」
「やぁ……しゃべんな」
 
 根元を押さえて丁寧に舐め上げた。鈴口に舌を入れ、ぐりぐり掘ってやる。桐葉の腰はガクガク揺れていたが、本人には自覚がないようだった。目をぎゅっと瞑って耐えている。耐えきれてないけど。
 
「ッふ、んぅう……杉本っ、すぎもとぉ」
 
 縋りつくみたいに俺の名前を呼ぶ。萎えてたはずのちんこはパンツの中で大きくなり始めていた。これが終わったら、また桐葉にしてもらいたい。
 桐葉は口では嫌がっているけど、その手は俺の髪を掴んで離さなかった。腰もこちらへ押し付けてくるので、もっとしてくれとねだっているも同じだ。
 
「やっ、やァっ……なんか、ぁ、でちゃうぅ……」
 
 イキそうになったところで、俺はいきなり口を離した。太腿がぶるっと震えたが射精には至らない。
 
「ふぇ? な、んで……」
「なんで? イキたいの?」
「……っきたい」
「もっかいはっきり言って」
「い、イキたい……」
 
 今すぐ弾け飛びそうなくらい膨れ上がった桐葉の完立ちちんこは、小刻みにぴくぴく震えて刺激を待ちわびていた。
 
「もっとちゃんとお願いして?」
「い、イカせて……」
「んー?」
「イカせて、ください……」
 
 桐葉は涙を浮かべて哀願した。自分で言わせた台詞に、俺は馬鹿みたいに興奮した。桐葉の太腿を掴んで持ち上げ、後ろ向きに転がす。M字開脚にされた桐葉は驚いて股を閉じようとしたが、俺の方が一歩早く股間に食いついた。
 
 十分焦らしたから、後は勢いに任せて突っ走るだけだ。カリのくびれを舌でなぞる。亀頭を吸い上げる。先走りがとろとろ溢れてくる。こんなこともあろうかと研究しておいてよかったと思った。
 
「あぁあア゛! いやっ、いやぁッ!」
 
 うそ。嫌じゃないくせに。自分から腰振ってるくせに。
 
「いっ、ぎもぢいいっ! いっぢゃう、いぐっ!」
 
 前と同じ。ちんこがびくびく震えた。俺はさっと口を離し、準備していたティッシュで精液を受け止める。桐葉は海老反りになり、濁った悲鳴を上げて絶頂した。
 桐葉は気を失ったようだった。下半身丸出しのまま、ぐったり横たわっている。それでも体は反応を示す。萎えたちんこに触れると、お尻の肉までびくびく震えた。
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