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第十話 話し合い
しおりを挟む俺の土下座を見たアニスは驚いた表情を浮べていた。
「え、えっ、い、いきなりどうしたんですか?ジャパニーズドゲザをして」
「少し話を聞いて欲しい」
「あ、はい。分かりました」
そう言い、アニスは古びた木の長椅子に行儀よく座っていた。
俺は地面に正座したまま、頭を上げアニスの方を向いた。
「え、えっと、話すのですから、ハータさんも座ったらどうですか?」
「これは誠意だから気にしないでくれ」
アニスは不思議そうな表情を浮べていた。
「まず、アニスは危機的状況にあったのだ」
「危機的状況ですか?」
「そうだ。倒した悪魔の王が最後に呪いを掛けたのだ。1日で死に至る呪いが」
「そ、そんな呪いが私に」
アニスは驚いた表情を浮かべていたが、直ぐに何かに気が付いた表情を浮べた。
「でも今の私には呪いみたいな状況ではないみたいですよ」
「それは俺が解呪したからだ」
「本当ですか。ありがとうございます、ハータさん。もし良ければ、強力だった呪いの解呪方法を教えてくれますか?」
アニスは手を合せていた。
「それについて謝っているんだ」
「さっきから何を謝っているんですか?」
「解呪の方法がアニスにとって大切な物の消失なんだ」
「私の大切な物の消失?ハータさんは私に何をしたのですか?」
アニスは可愛らしく首を傾げていた。
「私はよくアニスのことが分からなかった。だから、女性の大切な物を非常に勝手ながら」
「女性にとって大切なもの?」
アニスは不思議そうに思っていたが、何かに気が付いたような表情を浮べた。
「ハ、ハータさん。も、もしかして」
アニスの顔は真っ赤になっていた。
俺はまた土下座をした。
「アニスが思った通りだ。俺はアニスを助けるためとはいえ、アニスのファーストキスを奪ったしまった。言い訳をするつもりはない。本当に済まない」
暫く、沈黙が訪れた。
俺は土下座をし続けた。
「ハータさん。頭を上げて下さい」
俺は頭を上げた。
アニスの顔は少し赤かった。
「ハ、ハータさんは私を助ける為にわ、私にファーストキスをしたのですよね?」
「ああ。この命に誓って」
「そうですか」
アニスは下を向いたが、また顔を上げたが、その顔は真っ赤になっていた。
「だ、だったら、せ、責任を取って下さい。わ、私のファーストキスを奪った責任を」
俺は正座から立ち上がり、片膝をついて、アニスの右手を取った。
そして、アニスの目をしっかりと見た。
「勿論だ」
俺の返答を聞いたアニスは私の目を見て来た。
「これから色々とよろしくお願いしますね、ハータさん」
アニスはまだ少し赤い顔のまま、笑顔を浮べた。
その笑顔はアニスに惚れるのに充分だった。
本当に良かった。
アニスを救えて。
「ああ、こちらこそ宜しく頼む。アニス」
私もアニスにつられて私も笑顔を浮べた。
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