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一目惚れ[有希]
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「俺、三年の川中 蓮也一応生徒会長してるから、よろしく」
イケメンが爽やかにおしゃべりを始めた。
僕は、目の前のイケメンに気を取られて、何にもしゃべれずにいた。もともと、コミュ障なのでしゃべるのとか苦手なんだけど。
僕は、なんか上手く言えないけれどキラキラしている人が苦手だ。例えば、目の前にいるこの生徒会長。それなのに、胸がいつもと違うざわつきを感じていた。
僕は、この感覚を知らなかった。けれど、直感で『この人のこと好きだ。』って思った。そして、悟った。一目惚れというやつなんだろう、と。
どうすればいいのか、全くわからない。しかし、この無言の気まずい雰囲気を打破しなければならない。
そもそも、先輩が自ら自己紹介をしてくださったにも関わらず、僕はまだ自己紹介が済んでいない。自己紹介くらいしなきゃ。いきなり感じが悪くないか?
「はじめまして…」
いくらコミュ障だからって自己紹介くらいいつもできるのに。心臓がバクバクしすぎて、上手く声が出なくて、変な声が出てしまった。
「名前は?なんて言うのか教えてよ。」
「あ、、、。山田 有希って言います…」
「山田くん、よろしくね!!」
親しげな笑顔でこちらを見てくる。顔が熱くなった。
もっとこの人と親しくなりたい、そう思うのに上手く言葉が出てこない。そんな自分が嫌いだ…。
「今日は、特に席とか決まってないから、ここに座らない?」
自分が座っている席の隣を示しながら声をかけてくれる。
本当は隅っこに座っておくつもりだったけど、仕方がない。
僕は、それに従うしかなくって、その人の横に座った。
「山田くんは、どこ中の出身?」
「僕、第二です」
僕の住んでいる地域は、第一から第四まで中学校がある。ここの高校に通っているのは、ほとんど4つのどこかの中学校の出身者だ。
そして、第二が1番ここから近いので1番人数も多い。
「へぇー、じゃあ1番近いとこだ!俺、離島出身なんだよね。近いの羨ましいわぁ。」
僕のクラスにも、自己紹介で離島の出身ですって人がいたな。ここは、島から1番近い公立高校だから人数も多いのか。
そう。よく都会では私立が優遇されると聞くけれど、地方では公立高校至上主義的なところがある。少なくとも僕の地域は。そして、この人の地域もそうだったのだろう。
「島に高校はないんですか?」
少し場の空気に馴染んできたのか、ちょっとだけ声を出すことができた。
急に自分に自信が湧いてくる。このまま上手い事、言葉を発することができたら、この場を乗り切ることができるかもしれない。
「島にもあるけど、普通科じゃないんだよね。親に普通科に行って大学に進学しろって言われててさ。」
そうか、この人は大学に行くとつもりなのか。まだ、出会って数分だけど、好意を寄せている人のことがちょびっとだけ知れた気がした。素敵な御両親の元でスクスク育った事が、こぼれ出る笑顔から容易に想像できた。
「君さ、ちょっと書記とかに興味ない?」
「書記…ですか…?」
「そう。次の生徒総会の書記。1年か2年生に頼もうと思ってたんだけど。俺が忙しくってまだ頼む人が決まってないんだよね。」
いやだ。
とは言えない…。
「係になると、総会前日の設営とかもしてもらわなきゃなんだけど。部活とかやってなければ頼めないかな?部活やってる?」
「部活、してないです。」
そうか、みんな部活が忙しいのか。それなら、部活をしていない僕にはぴったりだ。
この人と、ほんの少し時間を共有したくって、「大丈夫です。できます。」とだけ答えた。
「助かる!!!!ありがとう!」
にっこり素敵なスマイルで笑いかけてくれた。少しは、この人のためになれたかな?
「ちなみに、今後も色々と話し合いがあるんだけどさ。書記、お願いできる?」
僕はもう頷くしかなかった。
その後、続々と人が集まって生徒総会の議題について話し合った。
生徒会に所属している僕らはもちろん、各学級の委員長なんかも集まった。結構な人数になっていた。
みんな、話し合いには積極的で、学校の課題が色々と発言されて議題になりそうなことが無限に出てきた。
けれど、みんな話し合いが得意で最終的には議題はいくつかに収まった。
僕は、始終黙っていた。
それでも、先輩は「お疲れさま。ありがとうね。」と柔らかい笑顔で微笑んでくれた。
イケメンが爽やかにおしゃべりを始めた。
僕は、目の前のイケメンに気を取られて、何にもしゃべれずにいた。もともと、コミュ障なのでしゃべるのとか苦手なんだけど。
僕は、なんか上手く言えないけれどキラキラしている人が苦手だ。例えば、目の前にいるこの生徒会長。それなのに、胸がいつもと違うざわつきを感じていた。
僕は、この感覚を知らなかった。けれど、直感で『この人のこと好きだ。』って思った。そして、悟った。一目惚れというやつなんだろう、と。
どうすればいいのか、全くわからない。しかし、この無言の気まずい雰囲気を打破しなければならない。
そもそも、先輩が自ら自己紹介をしてくださったにも関わらず、僕はまだ自己紹介が済んでいない。自己紹介くらいしなきゃ。いきなり感じが悪くないか?
「はじめまして…」
いくらコミュ障だからって自己紹介くらいいつもできるのに。心臓がバクバクしすぎて、上手く声が出なくて、変な声が出てしまった。
「名前は?なんて言うのか教えてよ。」
「あ、、、。山田 有希って言います…」
「山田くん、よろしくね!!」
親しげな笑顔でこちらを見てくる。顔が熱くなった。
もっとこの人と親しくなりたい、そう思うのに上手く言葉が出てこない。そんな自分が嫌いだ…。
「今日は、特に席とか決まってないから、ここに座らない?」
自分が座っている席の隣を示しながら声をかけてくれる。
本当は隅っこに座っておくつもりだったけど、仕方がない。
僕は、それに従うしかなくって、その人の横に座った。
「山田くんは、どこ中の出身?」
「僕、第二です」
僕の住んでいる地域は、第一から第四まで中学校がある。ここの高校に通っているのは、ほとんど4つのどこかの中学校の出身者だ。
そして、第二が1番ここから近いので1番人数も多い。
「へぇー、じゃあ1番近いとこだ!俺、離島出身なんだよね。近いの羨ましいわぁ。」
僕のクラスにも、自己紹介で離島の出身ですって人がいたな。ここは、島から1番近い公立高校だから人数も多いのか。
そう。よく都会では私立が優遇されると聞くけれど、地方では公立高校至上主義的なところがある。少なくとも僕の地域は。そして、この人の地域もそうだったのだろう。
「島に高校はないんですか?」
少し場の空気に馴染んできたのか、ちょっとだけ声を出すことができた。
急に自分に自信が湧いてくる。このまま上手い事、言葉を発することができたら、この場を乗り切ることができるかもしれない。
「島にもあるけど、普通科じゃないんだよね。親に普通科に行って大学に進学しろって言われててさ。」
そうか、この人は大学に行くとつもりなのか。まだ、出会って数分だけど、好意を寄せている人のことがちょびっとだけ知れた気がした。素敵な御両親の元でスクスク育った事が、こぼれ出る笑顔から容易に想像できた。
「君さ、ちょっと書記とかに興味ない?」
「書記…ですか…?」
「そう。次の生徒総会の書記。1年か2年生に頼もうと思ってたんだけど。俺が忙しくってまだ頼む人が決まってないんだよね。」
いやだ。
とは言えない…。
「係になると、総会前日の設営とかもしてもらわなきゃなんだけど。部活とかやってなければ頼めないかな?部活やってる?」
「部活、してないです。」
そうか、みんな部活が忙しいのか。それなら、部活をしていない僕にはぴったりだ。
この人と、ほんの少し時間を共有したくって、「大丈夫です。できます。」とだけ答えた。
「助かる!!!!ありがとう!」
にっこり素敵なスマイルで笑いかけてくれた。少しは、この人のためになれたかな?
「ちなみに、今後も色々と話し合いがあるんだけどさ。書記、お願いできる?」
僕はもう頷くしかなかった。
その後、続々と人が集まって生徒総会の議題について話し合った。
生徒会に所属している僕らはもちろん、各学級の委員長なんかも集まった。結構な人数になっていた。
みんな、話し合いには積極的で、学校の課題が色々と発言されて議題になりそうなことが無限に出てきた。
けれど、みんな話し合いが得意で最終的には議題はいくつかに収まった。
僕は、始終黙っていた。
それでも、先輩は「お疲れさま。ありがとうね。」と柔らかい笑顔で微笑んでくれた。
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