14 / 25
14
しおりを挟む
「………ハルカ………」
不意に名前を呼ばれ、俺は竦み上がる。
思わず飛び起きて、ジッと彼を見下ろしてしまった。
疲れ果てた顔が、ゆるゆると俺を見る。
目線を合わせる事が出来なくて、俺は顔を伏せた。
「……どういうつもりなんだよ、オマエ?」
「ご………ごめんなさいっ!」
口をついて出た言葉は、そんな情けない一言で。
でも、咄嗟にひれ伏した俺の頭に、大きくて筋張った手が乗せられる。
「なんだよ、謝るのか?」
「えぇ?」
顔を上げると、彼は呆れたような顔をしていた。
「俺はてっきり、オマエがもう俺との生活を終わりにしたくて、俺に嫌がらせを仕掛けてきたのかと思った」
「そんなっ!」
言い訳を口にしかけて。
でも、言われてみれば俺の行動はそう受け取られたって仕方がない。
「東雲サン、俺……っ」
上手い言葉が見つからず、俺は身体を起こした彼にしがみついた。
「追い出さないで…………、俺、他に行く所なんて無いんだ…………」
「バッカ、知ってるよ」
「だって……俺っ!」
「どうせ友達と飯食いに行った先でバカな下ネタでも繰り広げて、頭沸騰させて帰ってきたんだろ? でも、この次からは二度とゴメンだぜ?」
彼の言葉にビックリして顔を上げた俺に、いつもの優しい笑みが応えてくれた。
「次………って? 許してくれんの?」
「許されたくないワケ?」
「そうじゃ………ないけど。でも、普通怒るだろ?」
「怒ってるさ。…でも、いつまでも眦吊り上げてたって仕方ないだろ? オマエはちゃんと反省してるんだし、俺にだって落ち度はあったんだろうからさ。そんなコトでいつまでも煩わされるのは、鬱陶しいだけだろ?」
俺は彼の筋張った手を取ると、その甲に口唇を押しつける。
「ゴメンナサイ…………」
「もう、解ったって。……身体痛ェから風呂入りたいんだ、手伝ってくれないか?」
「うん」
白い身体を抱いて、俺は立ち上がる。
「バッカッ! 誰が姫抱きにして連れてってくれっつったんだよっ! 危ねェから降ろせ………っつーか、蹌踉めくな~!」
「暴れンなよ、余計危な………」
ふらつきながら、俺はようやくの思いで彼をバスルームに運び込んだ。
不意に名前を呼ばれ、俺は竦み上がる。
思わず飛び起きて、ジッと彼を見下ろしてしまった。
疲れ果てた顔が、ゆるゆると俺を見る。
目線を合わせる事が出来なくて、俺は顔を伏せた。
「……どういうつもりなんだよ、オマエ?」
「ご………ごめんなさいっ!」
口をついて出た言葉は、そんな情けない一言で。
でも、咄嗟にひれ伏した俺の頭に、大きくて筋張った手が乗せられる。
「なんだよ、謝るのか?」
「えぇ?」
顔を上げると、彼は呆れたような顔をしていた。
「俺はてっきり、オマエがもう俺との生活を終わりにしたくて、俺に嫌がらせを仕掛けてきたのかと思った」
「そんなっ!」
言い訳を口にしかけて。
でも、言われてみれば俺の行動はそう受け取られたって仕方がない。
「東雲サン、俺……っ」
上手い言葉が見つからず、俺は身体を起こした彼にしがみついた。
「追い出さないで…………、俺、他に行く所なんて無いんだ…………」
「バッカ、知ってるよ」
「だって……俺っ!」
「どうせ友達と飯食いに行った先でバカな下ネタでも繰り広げて、頭沸騰させて帰ってきたんだろ? でも、この次からは二度とゴメンだぜ?」
彼の言葉にビックリして顔を上げた俺に、いつもの優しい笑みが応えてくれた。
「次………って? 許してくれんの?」
「許されたくないワケ?」
「そうじゃ………ないけど。でも、普通怒るだろ?」
「怒ってるさ。…でも、いつまでも眦吊り上げてたって仕方ないだろ? オマエはちゃんと反省してるんだし、俺にだって落ち度はあったんだろうからさ。そんなコトでいつまでも煩わされるのは、鬱陶しいだけだろ?」
俺は彼の筋張った手を取ると、その甲に口唇を押しつける。
「ゴメンナサイ…………」
「もう、解ったって。……身体痛ェから風呂入りたいんだ、手伝ってくれないか?」
「うん」
白い身体を抱いて、俺は立ち上がる。
「バッカッ! 誰が姫抱きにして連れてってくれっつったんだよっ! 危ねェから降ろせ………っつーか、蹌踉めくな~!」
「暴れンなよ、余計危な………」
ふらつきながら、俺はようやくの思いで彼をバスルームに運び込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる