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第16話
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ランドン視点
あの最悪の出来事から2日後の夕方――俺は父上に呼び出されていた。
この2日間で一気にやつれた父上が、苦しそうに話す。
「ランドンよ……お前はあのルーミスの婚約者として、責任をとる必要がある」
「そ、それはどういうことですか!?」
俺は取り乱すと、頭を抱えて父上が話す。
リベウス侯爵家を敵に回し、その噂はもう広まりつつあるようだ。
取引を打ち切る貴族達が現れたようで、このままだと没落の危機でもある。
「ルーシーが出て行ったときに言っていただろう……今度はお前が、ルーシーの代わりになるのだ」
「なっっ……!?」
「ルラック家から、今までルーシーが行ってきたことは全て聞いている。ルーシーを連れ戻すのが最善だとしても、別の方法も考えなければなるまい」
ルーシーはもう、この国を出ている可能性が高い。
捜索して発見できる可能性は低く、父上は俺がルーシーの代わりをするしかないと考えているようだ。
「リベウス侯爵家を敵に回した時点で最悪だが、まだ乗り越えねばならない出来事がある……ランドン、貴様が婚約者ルーミスを正すのだ」
シタート家はルーシーと婚約破棄する際に、ルーミスとは婚約の破棄ができない契約を結んでいた。
ルラック家はシタート家の評判を落とさないよう、この条件を出した方が貴族達は納得すると言っている。
その説明の意図を探ろうとせず、悪評の立っていたルーシーと婚約を破棄できて、ルーミスと婚約できるのなら問題ないと考えていた。
ルーミスの婚約者である俺は、父上の発言に賛同するしかない。
「わ、わかりました……ルーミスを正し、これ以上問題を起こさないようにします」
俺はルーシーのように自ら頭を下げたり、謝罪して周囲から蔑まれたくなかった。
そうなるとルーミスに常識を叩き込み、2度と問題を起こさなくするしかない。
この時の俺は――ルーミスを侮っていた。
あの最悪の出来事から2日後の夕方――俺は父上に呼び出されていた。
この2日間で一気にやつれた父上が、苦しそうに話す。
「ランドンよ……お前はあのルーミスの婚約者として、責任をとる必要がある」
「そ、それはどういうことですか!?」
俺は取り乱すと、頭を抱えて父上が話す。
リベウス侯爵家を敵に回し、その噂はもう広まりつつあるようだ。
取引を打ち切る貴族達が現れたようで、このままだと没落の危機でもある。
「ルーシーが出て行ったときに言っていただろう……今度はお前が、ルーシーの代わりになるのだ」
「なっっ……!?」
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ルーシーはもう、この国を出ている可能性が高い。
捜索して発見できる可能性は低く、父上は俺がルーシーの代わりをするしかないと考えているようだ。
「リベウス侯爵家を敵に回した時点で最悪だが、まだ乗り越えねばならない出来事がある……ランドン、貴様が婚約者ルーミスを正すのだ」
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俺はルーシーのように自ら頭を下げたり、謝罪して周囲から蔑まれたくなかった。
そうなるとルーミスに常識を叩き込み、2度と問題を起こさなくするしかない。
この時の俺は――ルーミスを侮っていた。
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