私が張っている結界など存在しないと言われたから、消えることにしました

天宮有

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第23話

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 扉をノックして、私の部屋にラーサーがやって来る。

 冒険者ギルドや依頼を受けている時に話をしていたけど、何か話したいことがあるのだろうか。

「エルノア様、大丈夫ですか?」

「……えっ?」

「その、先ほどシロクさんとの話をしている時に様子がおかしく、気になってしまいました」

 ――結界を張った者が居る場合、新たに結界を張ることが難しい。
 その発言を聞いて……もし元兄ルアンが正直に話していたら、私を捜索するのではないかと危惧してしまった。

 名前をエルノアのままにしたのは、失敗だったかもしれない。
 今まで呼び続けていたこともあり、普通にエルノアと名乗ってしまった。

「いえ……シロクから結界の話を聞いて、不安になりました」

「それなら別の国に行けばいいだけです……エルノア様のいる場所が、私の居場所です」

 ラーサーは本心から、私のそばにいると言ってくれる。
 異性を好きだと意識できなくなっているけど、私はラーサーと一緒にいたいとは想っていた。

「ありがとうございます……この国の今後が気になるので、エリオース国にはいるつもりです」

「わかりました……明日からも、エルノア様の為に尽力を尽くします」

 そう言って、ラーサーが自分の部屋に戻っていた。
 1人になった私は、ルドレスト家の現状を推測する。

 私の捜索をしないのは、元兄のルアンが始末したと報告したからに違いない。
 その後――私が冒険者として行動している頃、元兄ルアンは後悔していた。
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