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第48話
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バルター視点
時間は――約1ケ月前に遡る。
シエルとロランの仲のよさが想定外で、クースラ侯爵家が破滅するかもしれない。
最悪の事態を想像してしまうと、俺は行動に出るしかなかった。
「……もう2度と、関わるべきではないと思っていたのだがな……」
街外れまでやって来て、俺は呟く。
一軒家にしか見えない外見の魔法道具店と聞いていたが、来るのははじめてだ。
鍵がかかっていない扉を開けて、店が閉まっていないことに安堵する。
そこには黒く長い髪をした美青年の姿があり、最後に会った3年前から何も変わっていない。
「バルター様ですか、懐かしいですね」
魔法道具はカウンターの後ろにあり、店主と話して必要な物を取引する形式だ。
店主はマクスウェルという名前で――魔法道具を作る上で名前は必要だから、偽名ではないらしい。
マクスウェルと挨拶を交わし、俺は本題に入る。
「ああ……以前貴様と取引した仮面のせいで、俺は迷惑している」
そう言って――俺は今までの出来事を話しながら、マクスウェルとの出会いを思い返していた。
数年前、行商人として俺の前に現れたマクスウェルは、子供だった俺に様々な魔法道具を渡してくる。
その多種多彩な魔法道具に魅了された俺は、マクスウェルの望みを叶えることで様々な魔法道具を手に入れていた。
シエルに着けさせた仮面もマクスウェルが渡してきたもので……その力から、関わるべきでないと思い始める。
仮面の件を最後に関わらないと告げた時――店の場所を教えて、マクスウェルと会うことはなくなっていた。
マクスウェルとは二度と会わないと決めていたが、もう頼れるのは目の前にいる魔法道具店の主しかいない。
この時の俺は――マクスウェルが全ての元凶ということを、何も知らなかった。
時間は――約1ケ月前に遡る。
シエルとロランの仲のよさが想定外で、クースラ侯爵家が破滅するかもしれない。
最悪の事態を想像してしまうと、俺は行動に出るしかなかった。
「……もう2度と、関わるべきではないと思っていたのだがな……」
街外れまでやって来て、俺は呟く。
一軒家にしか見えない外見の魔法道具店と聞いていたが、来るのははじめてだ。
鍵がかかっていない扉を開けて、店が閉まっていないことに安堵する。
そこには黒く長い髪をした美青年の姿があり、最後に会った3年前から何も変わっていない。
「バルター様ですか、懐かしいですね」
魔法道具はカウンターの後ろにあり、店主と話して必要な物を取引する形式だ。
店主はマクスウェルという名前で――魔法道具を作る上で名前は必要だから、偽名ではないらしい。
マクスウェルと挨拶を交わし、俺は本題に入る。
「ああ……以前貴様と取引した仮面のせいで、俺は迷惑している」
そう言って――俺は今までの出来事を話しながら、マクスウェルとの出会いを思い返していた。
数年前、行商人として俺の前に現れたマクスウェルは、子供だった俺に様々な魔法道具を渡してくる。
その多種多彩な魔法道具に魅了された俺は、マクスウェルの望みを叶えることで様々な魔法道具を手に入れていた。
シエルに着けさせた仮面もマクスウェルが渡してきたもので……その力から、関わるべきでないと思い始める。
仮面の件を最後に関わらないと告げた時――店の場所を教えて、マクスウェルと会うことはなくなっていた。
マクスウェルとは二度と会わないと決めていたが、もう頼れるのは目の前にいる魔法道具店の主しかいない。
この時の俺は――マクスウェルが全ての元凶ということを、何も知らなかった。
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