婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

第４８話

　メリタが教室にやって来て、周囲でざわめきが起こる。

　１学年下の女生徒だけど、メリタはかなり有名だった。

　メリタの婚約者バハムスは教室にいたけど……メリタはバハムスではなく、ジトアのいる席に向かっている。

「ジトア様、話したいことがあります」

　メリタがジトアに声をかけたことで、私は咄嗟に動いていた。

　すぐにメリタの元へ向かい、ジトアが返答する前に私は尋ねてしまう。

「バハムスの婚約者になったメリタ様が、ジトア様に何の用事なのでしょうか？」

「魔法について話をしたいだけですよ。ジトア様は優秀な魔法使いだと聞いています……明後日、私の個室で話をしたいと思っていました」

「興味がありますので、私も混ざってよろしいですか？」

　魔法道具の準備をしたり、相手の都合もあるから日程を開けるのはおかしくない。

　話を聞いて、私もメリタの個室に行きたいと思ってしまう。

　焦っていると自覚してしまうと、メリタは微笑みを浮かべて返答する。

「はい。私もジトア様に話し終えた後で、ルーミエ様にもお願いするつもりでした」

　魔法学園の学生なら、魔法について話したいというのもわかる。

　優秀な生徒は個室が与えられているから、そこで話すというのもおかしくはない。

　それでも……相手がメリタだから、私は警戒するしかなかった。