妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました

第６話

　ジトアから魔法を教わり、休日が終わった。

　魔法学園に登校して――魔法を扱う授業になり、私は注目されることとなる。
　先生が見せた魔法を生徒が順に扱う授業で、私の魔法は先生より優れていたからだ。

　広場で私の魔法を見て、先生が唖然としながら尋ねる。

「私の見本より凄いですね……これは何が、あったのですか？」

「急に体調がよくなりまして、魔法を問題なく扱えるようになりました」

　数日前に呪いが解けたとは、話さないでおこう。
　これならジトア王子の婚約者と公表しても、問題なさそうな気がする。
　それに安堵していた時、バハムスが唖然としながら叫んだ。

「ふざけるな！　どうして俺が婚約者の時に、その力を発揮しなかった！？」

　呪いを受けていたと話しても、問題ないかもしれない。
　それでも今は公表されていないことだから、私は知らないふりをして話す。

「今まで私は、力を発揮することができませんでした」

「なぜ急に魔法の質が上がる！？　俺との婚約を破棄してから――」

　そう言って、バハムスは顔を青ざめて黙り出す。
　周囲から蔑むような視線を向けられて、自らの失言を理解したようだ。

　バハムスの評判が悪く、婚約を破棄したら私の魔法が上達した。
　それならバハムスの暴言で精神的に追い詰められていたせいだと、皆が考えてもおかしくはない。

「――なんでもない。授業を再開してくれ！」

　バハムスは苛立ち、発言を変えて先生に叫ぶ。
　体が治っている理由にはならないから、バハムスではなく呪いのせいだと後で公表する予定だ。

　今日の私は、ジトアがいてくれたから魔法学園で活躍できた。
　そして妹のメリタは、今日の出来事を知って私を妬んでいるようだ。