妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました

天宮有

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第12話

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 私は城から屋敷に戻ると、廊下にメリタがいた。

 メリタはバハムスの婚約者だから、魔法薬のことを知っているかもしれない。
 それでもジトアが調べてくれているし、何も聞かなくていいと考えていた時だった。
 私の姿を見て、メリタが話しかけてくる。

「待ってください――バハムス様を、お姉様に返したいと思っています!」

 私はジトア王子が婚約者になって、魔法学園の成績も優秀だ。
 メリタは態度を改めて、私のことを再びお姉様と呼ぶようになっている。
 そんなメリタが不快だったけど、今の発言で更に苛立ってしまう。

「メリタは、何を言っているのですか?」

「バハムス様があそこまで酷い方だとは知りませんでした! 本来はお姉様の婚約者でしょう、私を助けてください!!」

 メリタは明らかに、バハムスの婚約者になったことを後悔していた。
 今までと違いすぎる態度に、私は呆れながら話す。

「酷いって、メリタは何をされたのですか?」

「うぅっっ!? とにかくお姉様は、バハムス様と再び婚約者になってください!!」

「なるわけがないでしょう。態度を改めても、無意味なことです」

 何をあったのかは話さないけど、推測することはできる。

 今までのことから、メリタはバハムスに暴言を吐かれているに違いない。
 バハムスの婚約者が嫌になったようだけど、自業自得だと思うしかなかった。
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