【完結（続編）ほかに相手がいるのに】

～決意～

回答

「…水無月さん…？」杉崎さんが、私の顔を覗き込む…。

それだけで、私の鼓動は早くなる…。

「あ、えっと…　」なんと、言葉を続けよう…。

杉崎さんに聞かれたからといって…
心配されたからといって…

さきほどの一部始終を…杉崎さんに暴露するのは、どうなんだろう…。

言って、どうなるんだろう…

素直に、その内容を伝えれば…

細野さんに、杉崎さんとのことを…その関係性を、細かく聞かれた…　
細野さんは、私と杉崎さんのことを、物凄く疑っている…

それと、意地汚い…泥棒猫…

本当はそちらの方が、私にとってかなり衝撃的な言葉ではあったが、
それを今、こう言われたなどと…杉崎さんに言ってどうなるんだろう…。

きっと、細野さんとの関係や…その対応を巡って、杉崎さんの頭を悩ませるだけだ…。

杉崎さんを巻き込むべきではないし…やはり、今のところは、女性同士の話…
杉崎さんに、こんなことを言われた、どうしたらいいですかなどとすがって、
なんとかしてもらおうとも、全然思わない…。

「いえ、あの…　特に…　」

「…　え…　？本当に…　？」杉崎さんの眼が、揺れ動く。

「はい…　あの、デザートが…」

「…　…　デザート…　…？」

「はい…杉崎さんに頂いた、あのムース…こっそり食べようとしていたところに、細野さんが来て…」

「うん…」

「…聞かれたので、つい言ってしまって…杉崎さんに、朝いただいたって…　」

「うん…」

「細野さん、杉崎さんに貰えるなんて、いいな～って、羨ましい、みたいなことを…」

「…へえ…」

「…なので…もしかしから、細野さんに、私にも買ってくださいよ～って、言われたりするかもです…」

「…うん……　それはそれで、全然いいけど…　それだけ…？」

「はい…　そんな感じです…細野さんとは前に、外にランチに…行ったこともあるので…」

この言葉に、嘘はない…　

細野さんに、釘を刺されたあの日…　
あの、あまり楽しくない…高いランチに誘われた日のことだ…。