263 / 673
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.1-52 考えたら、一番近くで見ていた
しおりを挟む
「中三病さんとの決闘?」
「そんなようなものデース。ここは今から戦場と化すのデース」
何やら風呂から上がって早々に、中三病さんとの連絡があったようで、この場所で決戦を行うのだとかいう説明をハルたちは聞いていた。
大暴れをするならば人気のいないところのほうが良いと思うのだが、残念ながらそう時間を取ることはなく、すぐにこの場で行うらしい。
だが、この恐竜城で戦える場所があるのかと首をひねると、ティラリアさんはごそごそと懐からなにやらボタンを取り出し、ぽちっと押した。
次の瞬間、ゴギガゴンっと音がするとともに城が変形をし始め、一部の区画から天井が失われて、その代わりになるように闘技場のようなものがせりあがって接続された。
「…何、この仕掛け」
「ふふふ、この城の仕掛けの一つ『全自動全天候対応型闘技場変形ギミック』なのデース!!天井画ドームになってないのに全天候はおかしいといわれそうデースが、雨や雪を感知したらマグマの熱を送風して無理やり蒸発させてしまう仕掛けになっているのデース!!」
「ものすごい強引な荒業じゃん!!」
話を聞けば、この星間国家になりつつある恐竜帝国を作ったのだから、何か名物になるようなものが欲しいと思ったのが、変形ギミックを取り入れたきっかけらしい。
観光名所と、プレイヤーが自分で行うイベントの会場としても役に立つのではないかと思い、わざわざ城を建設する際に組み込んだそうだ。
「ついでに今、大気圏外からこちらへ弟が撃ちだした刺客が…今回の対戦相手となる人が落ちる場所も計算して、中央に落ちるようにしているのデース!!空を見ればほら、弟からの贈り物の落ちてくる真っ赤な星が見えてきたのデース!!」
通話を切ってすぐに周辺宙域を探ったそうで、送られてくる対戦相手とやらの落下地点を計算し、ここに落ちるようにもしているらしい。
突然突き付けられた割には、わざわざこんな仕掛けを出してまで準備するとは、臨機応変に強いというべきか…いや、なんか準備良すぎな気もするような。もしかして既に、中三病さんの行動を読んでいたとか…まさかね。
そんなことも思いつつ空を見上げると、そこにはティラリアさんが言った通り、何かが落ちてきているのが目に見えた。
大気圏との摩擦熱で燃えているのか真っ赤な光を放っているが、何やら頑丈な容器にでもなっているのかとけていたり壊れていたりする様子はなく、そのまま闘技場の中央へ落下する。
ヒュウウウウウウウウ、ドッガァァァァァァァン!!
あっという間に視認してから見事に激突音が鳴り響き、もうもうとものすごい土煙が立ち込める。
煙に阻まれているが影はうっすらと映っており、砲弾のような形状の何かが突き刺さったようだ。
「…ティラリアさんと戦う人を詰めたんだろうけれど、あれ生きているのかな?」
宇宙から帰還する際にはパラシュートとかでかなり減速したりする必要があったはずだが、様子を見る限りそんなものはなかった。
まともに激突したようで、中身の安否が気になるだろう。現実だったら肉塊になっているだろうが、アルケディア・オンラインならばまだギリギリそこまでグロイのは…どうなのだろうか。
疑問を抱いていると、土煙が収まってきてはっきりとした容器の姿が確認できた。
金属光沢がある砲弾のような形状は間違ってないようだが、側面に扉のようなものが取り付けられており、開いて中から人が出てきた。
どうやら無事に、中身は生存していたようだが…
「っ…なるほど、弟はこの手で来たのデースか」
出てきた人物の様子を見て、何やら息をのむティラリアさん。
恐竜女帝とか本人自身が肉食恐竜のような姿になれるような相手に対して、まともに戦える相手がいるのかどうかということが疑問だったが、中三病はそこをしっかりと対策していたらしい。
ふさっと風になびく銀色の髪に、ゴスロリ風の衣装。
ただ、小さいながらもきびきびした動きは冷静さを見せつけており、その造形はどことなく何かに似ているような…使用人に似た雰囲気がないか、あれ?
「見た目がゴスロリ銀髪幼女…戦う絵面になった時点で、負けてないか?」
想像してほしい、巨大な肉食獣と対峙する少女の姿を。
まさかティラリアさんに対して、彼女の弱点というべきかは不明だが『可愛いもの好き』な点を突く相手を出してくるとは、誰が想像できただろうか。
しかも考えたら、容姿だけで勝負すれば勝てるような甘さもない相手に、自身の今後のことも賭けているということは、その中身は見た目通りではないという可能性が非常に大きいだろう。
『ふふふふ…どうだ、姉さんよ。こちらから送り込んだ刺客の姿は』
「その声は中三病さん!?ああ、なんか空にでかい中三病さんの姿が!!」
何をどうやったのか、上空には不適にほほ笑む中三病の姿が映し出されていた。
どこからか投影しているようで、生配信なのかご丁寧に隅っこにLIVEの文字も出されており、この状況になるのを見越して用意していた様子がうかがえるだろう。
「弟よ…まさか、あの可愛い子が私の対戦相手になるのデースか!!」
『その通りだ!!対姉用に開発し、錬金術師の職業にも転職して、現実のほうの電子工学やこの世界で姉が集めていた技術から抜き取ったものを詰め込むだけ詰め込んで作り上げた、最終決戦兵器というべき少女が、相手となるのだ!!『対姉撃退好み爆撃型追撃兵器 ルララ』!!ここに今、姉との因縁へ終止符を打つために、やってしまえぇぇぇ!!」
【---音声コード入力完了、対応。ルララ、これより指令を受理、迎撃体制へ入りマス】
中三病の言葉とともに、びこんっと目が光って口を開いた決戦兵器のゴスロリ幼女ことルララ。
まさかのティラリアさんへの対策を外見からしっかりと練られていた相手に、驚かされてしまうのであった…
『はははははは!!姉よ、まさか好みの姿の相手が対戦相手とは思わなかっただろう!!だてにその下に押さえつけられて過ごしてきてはおらず、徹底的にリサーチ済みなのだぁぁぁぁ!!』
反応を見て期待通りだったのか喜びの声を上げている中三病さんだが、一ついいだろうか?
状況的に、悪の組織の頂点にいるような人になってませんかね?
「そんなようなものデース。ここは今から戦場と化すのデース」
何やら風呂から上がって早々に、中三病さんとの連絡があったようで、この場所で決戦を行うのだとかいう説明をハルたちは聞いていた。
大暴れをするならば人気のいないところのほうが良いと思うのだが、残念ながらそう時間を取ることはなく、すぐにこの場で行うらしい。
だが、この恐竜城で戦える場所があるのかと首をひねると、ティラリアさんはごそごそと懐からなにやらボタンを取り出し、ぽちっと押した。
次の瞬間、ゴギガゴンっと音がするとともに城が変形をし始め、一部の区画から天井が失われて、その代わりになるように闘技場のようなものがせりあがって接続された。
「…何、この仕掛け」
「ふふふ、この城の仕掛けの一つ『全自動全天候対応型闘技場変形ギミック』なのデース!!天井画ドームになってないのに全天候はおかしいといわれそうデースが、雨や雪を感知したらマグマの熱を送風して無理やり蒸発させてしまう仕掛けになっているのデース!!」
「ものすごい強引な荒業じゃん!!」
話を聞けば、この星間国家になりつつある恐竜帝国を作ったのだから、何か名物になるようなものが欲しいと思ったのが、変形ギミックを取り入れたきっかけらしい。
観光名所と、プレイヤーが自分で行うイベントの会場としても役に立つのではないかと思い、わざわざ城を建設する際に組み込んだそうだ。
「ついでに今、大気圏外からこちらへ弟が撃ちだした刺客が…今回の対戦相手となる人が落ちる場所も計算して、中央に落ちるようにしているのデース!!空を見ればほら、弟からの贈り物の落ちてくる真っ赤な星が見えてきたのデース!!」
通話を切ってすぐに周辺宙域を探ったそうで、送られてくる対戦相手とやらの落下地点を計算し、ここに落ちるようにもしているらしい。
突然突き付けられた割には、わざわざこんな仕掛けを出してまで準備するとは、臨機応変に強いというべきか…いや、なんか準備良すぎな気もするような。もしかして既に、中三病さんの行動を読んでいたとか…まさかね。
そんなことも思いつつ空を見上げると、そこにはティラリアさんが言った通り、何かが落ちてきているのが目に見えた。
大気圏との摩擦熱で燃えているのか真っ赤な光を放っているが、何やら頑丈な容器にでもなっているのかとけていたり壊れていたりする様子はなく、そのまま闘技場の中央へ落下する。
ヒュウウウウウウウウ、ドッガァァァァァァァン!!
あっという間に視認してから見事に激突音が鳴り響き、もうもうとものすごい土煙が立ち込める。
煙に阻まれているが影はうっすらと映っており、砲弾のような形状の何かが突き刺さったようだ。
「…ティラリアさんと戦う人を詰めたんだろうけれど、あれ生きているのかな?」
宇宙から帰還する際にはパラシュートとかでかなり減速したりする必要があったはずだが、様子を見る限りそんなものはなかった。
まともに激突したようで、中身の安否が気になるだろう。現実だったら肉塊になっているだろうが、アルケディア・オンラインならばまだギリギリそこまでグロイのは…どうなのだろうか。
疑問を抱いていると、土煙が収まってきてはっきりとした容器の姿が確認できた。
金属光沢がある砲弾のような形状は間違ってないようだが、側面に扉のようなものが取り付けられており、開いて中から人が出てきた。
どうやら無事に、中身は生存していたようだが…
「っ…なるほど、弟はこの手で来たのデースか」
出てきた人物の様子を見て、何やら息をのむティラリアさん。
恐竜女帝とか本人自身が肉食恐竜のような姿になれるような相手に対して、まともに戦える相手がいるのかどうかということが疑問だったが、中三病はそこをしっかりと対策していたらしい。
ふさっと風になびく銀色の髪に、ゴスロリ風の衣装。
ただ、小さいながらもきびきびした動きは冷静さを見せつけており、その造形はどことなく何かに似ているような…使用人に似た雰囲気がないか、あれ?
「見た目がゴスロリ銀髪幼女…戦う絵面になった時点で、負けてないか?」
想像してほしい、巨大な肉食獣と対峙する少女の姿を。
まさかティラリアさんに対して、彼女の弱点というべきかは不明だが『可愛いもの好き』な点を突く相手を出してくるとは、誰が想像できただろうか。
しかも考えたら、容姿だけで勝負すれば勝てるような甘さもない相手に、自身の今後のことも賭けているということは、その中身は見た目通りではないという可能性が非常に大きいだろう。
『ふふふふ…どうだ、姉さんよ。こちらから送り込んだ刺客の姿は』
「その声は中三病さん!?ああ、なんか空にでかい中三病さんの姿が!!」
何をどうやったのか、上空には不適にほほ笑む中三病の姿が映し出されていた。
どこからか投影しているようで、生配信なのかご丁寧に隅っこにLIVEの文字も出されており、この状況になるのを見越して用意していた様子がうかがえるだろう。
「弟よ…まさか、あの可愛い子が私の対戦相手になるのデースか!!」
『その通りだ!!対姉用に開発し、錬金術師の職業にも転職して、現実のほうの電子工学やこの世界で姉が集めていた技術から抜き取ったものを詰め込むだけ詰め込んで作り上げた、最終決戦兵器というべき少女が、相手となるのだ!!『対姉撃退好み爆撃型追撃兵器 ルララ』!!ここに今、姉との因縁へ終止符を打つために、やってしまえぇぇぇ!!」
【---音声コード入力完了、対応。ルララ、これより指令を受理、迎撃体制へ入りマス】
中三病の言葉とともに、びこんっと目が光って口を開いた決戦兵器のゴスロリ幼女ことルララ。
まさかのティラリアさんへの対策を外見からしっかりと練られていた相手に、驚かされてしまうのであった…
『はははははは!!姉よ、まさか好みの姿の相手が対戦相手とは思わなかっただろう!!だてにその下に押さえつけられて過ごしてきてはおらず、徹底的にリサーチ済みなのだぁぁぁぁ!!』
反応を見て期待通りだったのか喜びの声を上げている中三病さんだが、一ついいだろうか?
状況的に、悪の組織の頂点にいるような人になってませんかね?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,941
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる