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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-53 着眼点はよかったようだが

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…中三病が送り込んできた、対恐竜女帝兵器ルララという少女。
 見た目こそは銀髪ゴスロリ幼女と、ティラリアさんの可愛いもの好きの部分を刺激し、攻撃するのは容易くなくなるだろう。

 だが、攻撃でなければどうなのかという疑問もあった。

「可愛い子なのは嬉しいのデース!!おねーさんがやさしーく相手してあげるのデース!!」

 既にPvPが始まっているはずだが、そんなのは関係ないといわんばかりに、相手へル〇ンダイブがごとく飛び掛かるティラリアさん。
 相手はれっきとした対戦相手のはずなのだが、中三病が用意した相手とは言え見た目が見事にドストライクだったのか、飛び込む方に思考が傾いてしまったらしい。

 あわや、いつぞやかの抱きしめられて潰された樽のようにあの銀髪ゴスロリ幼女ことルララという少女が潰されるのではないかという未来を一瞬予想してしまったが…そこはすでに対策済みだったようだ。

【『ニードルガードシステム』発動!!】

 ぐりんっと膝を曲げて頭も抱えしゃがんだかと思った次の瞬間、ルララの身が一瞬でとげとげのウニのようなものに包まれた。
 そこに勢いそのままでティラリアさんが突っ込み、抱きかかえるような姿勢をしていたせいで…

ブスブスブス!!
「痛いのデース!!」

 巨大なとげウニを抱え込むような形だったので、自身の抱きつきでダメージを負うティラリアさん。
 どうやらこうなることは予測していたようで、あらかじめ仕掛けていたようである。


『ふふふふ…姉の可愛いもの好きは、例え敵であろうとも変わらず、自ら包み込むために動くのはわかっている。だからこそ、その抱き着きを利用した防御と攻撃を一体にしたシステムを組み込んでおいたのだ!!』

 空中に投影されている中三病さんが自信ありげに説明をしてくれる。
 ティラリアさんを長年そばで見ていたからこそ、その行動を予測して様々な工房一帯の仕掛けをあのルララが繰り出せるようにしていたようだ。


「おのれ、弟めデース!!だけどこの程度でひるむミーではないのデース!!」

 痛かったはずだが、この程度はHPにそんなに影響がないようにふるまうティラリアさん。

「抱きつき頬ずりがすぐにできないなら、勝って狩って気絶させればいいだけの話デース!!勝負、ここからやるのデース!!」
「本音が重なって聞こえたんだけど」


 しょっぱなから痛い目をみたはずだが、そんなことは関係ないようである。
 勝利すればこちらのものというように改めて距離を取ってティラリアさんは戦闘の構えを取った。

「近接がヤバいのなら、遠距離デース!!『バトルトマホークブーメラン』!!」

 どこからともなく取り出したるのは、かなり巨大なトマホーク。
 それを思いっきり投げつけて、とげウニをたたき割ろうとしているようだが、この行動も予測されていたららしい。

【『ニードルボム』!!】

 ぼんっと音がすると共に、身を守っていたとげウニのとげが四方八方へ爆散する。
 いくつかのとげは迫ってきていたトマホークへ次々にぶつかって爆発し、攻撃がルララへ到達しなかった。
 そのうえ、残ったとげのいくつかが飛翔する途中で火を噴いて加速し、ミサイルのようにティラリアさんへ襲い掛かる。

ドカンドカンドカァァァン!!
「おーっとっとデース!!これはもしや、ザウルスミサイル計画のデータを利用しているのデースね!」
『その通り!!恐竜帝国で研究開発されていたデータの中で数多くの有益なものはすべて彼女に詰め込んでいる!!いくつかは流石に技術的な問題で備えられなかったが、できた部分は星の数ほどあるから、全てを対応しきれまい!!』

「思った以上にハイテクというか、夢と希望と執念を彼女に注いでいるのか」
【シャゲシャゲェ】

 中三病さんがティラリアさんに勝利するために、ルララへこれでもかというほど技術を詰め込んでおり、ありとあらゆる状況に動けるようにしているようだ。

『さぁ、守りはここまでだ!!ここからは攻め手に転じて、姉を討てルララ!!』
【了解デス。ガードサーチ状態解除、これよりバトルモードへ移行いたしマス】

 中三病さんの合図とともに、しゃがんでいた姿勢からすっと立ち、彼女が戦いの構えへ切り替わる。
 ゴスロリの衣服からじゃきんっと音をたたて刃物が飛び出し、やる気は十分にあるようだ。

【では、覚悟してくだサイ邪悪なる者ヨ。創造者の命令により、排除いたしマス】
「ミーのどこが邪悪なる者なのデースか!?」
【幼女に対していきなり飛びついて来ようとする不審者な時点でアウトデス】

 うわぁ、ド正論すぎる。
 しかし、ティラリアさんはまったく気にしていない様子だろう。

「あそこまで堂々としている変態も、ある意味すごいな…」
「ミー別に変態ではないのデース!!真なる変態とは変態戦隊とか耳にする輩が該当するのデース!!」

 あれはあれで次元の違う変態だから、比べる意味はあるのだろうか。


【というかあれは、欲望戦隊ですけれどネ…しかし、ルララですか、あれおかしいですネ】
「ん?どういうことなの、ロロ?」

 観客側の立場で僕らは見ていたのだが、戦闘の中でぼそっとロロがそうつぶやいたのが気になった。

【彼女、中三病さんに作られたようですが…彼一人では、おそらく無理ですネ。何やら私たち、使用人に近い技術が、あのルララに使用されている形跡がありマス】
「そうなのか?」
【ハイ。とはいっても、全部ではなく…肉体を構成するプログラムだけですネ。他の戦闘用システムは帝国独自のものを詰め込んでいるようで、使用されているAIも簡易な流通し始めている言語プログラムのようデス。ただ、肉体だけは本当に…どこで入手したのでしょうカ】

 ティラリアさんへの対策のために、彼女の好む容姿に改造されまくっているようだが、その肉体を構成するプログラムに関しては、使用人とほぼ同じようなものが使用されているという。
 中三病さんが使用人を雇ってコピーしたりして作ったのかと思われたが、アルケディア・オンライン内のNPCやその他キャラはそう簡単にコピーできるようなものでもないだろうし、錬金術師に転職してレベルを高めてやったとしても、再現するのはほぼ無理らしい。

 ならばどうやって作ったのかと問いたくなるが、ロロの予想だと肉体のデータはどこからか拾ってきた可能性が無きにしも非ずのようだ。

【でも、廃棄されて漂うこともないはずですし…違法に造られたものの可能性がありマス。試合の勝敗が付き次第、どこで得たのか聞く必要がありそうですネ】
「流石に試合を中断させないのか」
【彼の進退がここでかかっているといっても過言でもなさそうですからネ。ある程度は空気を読んで、待つのデス】

 無理に中止させることはなく、この戦いが終わったらゆっくり聞けば良いと判断したようで、今は観客に徹するらしい。
 素人が手を加えてやったのであれば、暴走の危険性もありそうなものなのだが…その時はその時で、対応すればよさそうである。

 とりあえず今は、僕らは戦いの様子を見ることにするのであった…


【『超高温溶解式マグマガン』、発射!!】
「それはやばいのデース!!内部で超高温のマグマを打ち出すバズーカとかこんな可愛い子に持たせてはいけない類デース!!」

…そもそも、そんな子を戦わせるような状況にしている時点で、状況を作り上げた人のほうがヤバいのではなかろうか。
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