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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-75 昔からその腕は、衰えることもなく

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 やってみたいことは、全部試してみればいい。
 どうせ休みだし、久しぶりに一緒に遊ぶのであればとことん楽しみつくそうということで、決めたのは良いだろう。

 そう思い、ハルたちがまず最初に選んだのは、ちょっと離れた場所にあったゲームセンターだった。

「定番のものからマニアックなものまで、色々とそろっているゲームセンター『イカどころ』…久しぶりに来たな」
「なんでそんな店名なの?」
「さぁ?」

 そんなことはさておき、店内に入ってみるとちょっと人の姿少ない。
 無理もないか。会社のほうはメンテナンスの影響で休みだけど、平日だしなぁ…遊びに来る人がそんなにいないのは当たり前だろう。
 なら、昼間から堂々と遊び惚けている人がいるというのは…うん、考えないでおこう。ちょっと気軽にさぼっていたり、何らかの理由で休んでいたりする人など似たようなのがいると思いたい。

 とりあえず、気を取り直して今は楽しむことだけに集中しよう。

「やるなら何が良いかな?」
「クレーンゲーム、格ゲー、音ゲーなどなどあるけど…まずは、格ゲーのほうからやってみようか!」

 そう言われ、ミントと一緒に最初に選んだのは格闘ゲーム。
 小さい時も一緒に遊びまくったが、あの時とは流石に時間も流れているので、使っていたキャラとかが違うものになっているだろう。

「今ここに置かれているのは、『ロボドドン』と『デーモン大戦』か。昔は『暴走蒸気機関車ブラザーズ』とかあったのに、変わったな。でも、これはこれで面白そうだし、どっちが良いかな?」
「かたや巨大ロボットでの格闘、もう片方は有名どころの悪魔が定番の格闘ゲーム…どっちも興味を惹かれるかも」

 両方やることはできるが、最初はどっちが良いのか。
 迷いつつも、選んだのはデーモン大戦のタイトルのほうにした。ロボドドンも面白そうだけど、いつぞやかの変態戦隊との追いかけられたあの経験で、ちょっと避けたくなった。

 ご丁寧に説明書も付属されており、初心者でも優しい様になっており、久しぶりの格闘ゲームでも問題なく遊べるようだ。

「ソロモンの悪魔など、なにかと有名っぽいのを盛りだくさんにしたようだけど、オリジナルの悪魔とかでも対戦できるのか」
「ダンダリオン、セーレ、アスモデウス…どれもキャラクターの感じが良いけど、それぞれに癖とかもあるね」
「近接特化、中距離対応、癖が強すぎるものもあるか…やるなら、できるだけバランスがいい方が扱いやすいかな?」
「でも癖アリも面白そうだし…うん、私はこれにしよう!猛毒攻撃でじわじわ殴り勝てる近接戦闘の『アスタロト』!!」

 ミントが選んだのは、癖がありつつも格闘系のコマンドが多いらしいアスタロト。
 毒状態とかもあるのかと思いつつも、常時スリップダメージを与えてくるようなキャラというのは中々厄介かもしれない。

「でも、対策ができるやつでやるのも面白味はないか。やるなら正面から相手をするので…あ、これが良いかも。自身のHPをちょっと削るけど、遠距離攻撃や毒を払うことができるコマンドのある『ゼス』で勝負だ!!」
 
 なんとなく、どこかの悪魔NPCに似た見た目のキャラだが、これはこれで面白そうなキャラだ。

 お互いに使用する悪魔を選んだところで、対戦へすぐに移る。
 普段はアルケディア・オンラインのほうで全身を動かしているが、たまにはこういうゲームセンターの筐体で争うのもいいだろう。

「それじゃお互いに硬貨を投入して」
「対戦相手をすぐに目の前の相手にして」
「「いざ!!勝負だ!!」」

 お互いにレバーを動かし、スタートの合図とともに勝負を挑み始める。
 こういう格闘ゲームでの勝率は、昔は五分五分だったが今はどうなのか。
 お互いに腕がなまってないかと不安にもなったが、すぐにその心配はないどころかしている暇があったら負ける気配しかなく、勝負に熱中をし始めるのであった…


「いけぇぇぇ!!アスタロトの『ポイズンオラオララッシュ』!!」
「なんの!!ゼスの『フェイクエクスフィンガー』で迎え撃つよ!!」








「…ターゲットが、従兄と共に格ゲーとやらをやっている最中か」

 対戦でハルたちが盛り上がっている中、物陰からその光景を見ている者たちがいた。

「ああ、あれは最近出てきたデーモン大戦とかいうやつか。あれはあれで面白いが」
「こういうのをやってくれると、都合が良いだろう」

 お互いに対戦しあっている最中の集中を邪魔すると、危険な目に遭う可能性が非常に高い。
 だが、集中力をこれでたっぷり使って、疲れて休憩をするころ合いが狙いやすくなるだろうと彼らは考える。

「何人かここで見張りとして残りつつ、休憩のタイミングをうかがえ」
「四六時中人がともにいるとは限らないし、トイレにでも向かうあたりが一番いいだろう」

 どうやって狙うか考えていたが、自ら集中力を使い切って油断してくれそうな状況は、被害を出したくない側からすれば非常にありがたいものだ。
 そう思いつつ、彼らは機会をうかがいながらもその大戦の様子をみて、少しばかり楽しみ始めるのであった…

「…おいおい、今のあのターゲット、20連ポイズンナックルを決めなかったか?あれコマンド入力が馬鹿みたいに難しすぎて成功したことがないんだが」
「それをいうなら、あの対戦相手のほうも中々強いな…見ろよ、的確によけつつ隙を狙って攻撃しているが、確実に大ダメージを与えられそうなものを選んでいるぞ」
「うわぁ…たかがこのゲームセンターの筐体で、ガチバトルみたいなものになるとは…」
「あ、ポイズンギガナックルとフェイクエクスカリバーでぶつかったぞ。大技のタイミングが合い過ぎて相殺しまくっているな…」
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