330 / 673
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.2-117 吹きあがるマグマ
しおりを挟む
【ケェェェェェェェェェェェェェェン!!】
甲高い咆哮をあげ、祭壇から出現したのはモンスター『シャドウフェニックス』。
フェニックスの名が示すように、揺らめく黒い焔を身に纏い、飛翔しているのはまだイメージとしての範囲では間違っていないだろう。
だが、MACの効果によって表面がややメカニクルになった部分は百歩譲ってよいとして…その見た目の大部分が、巨大なコロコロと肥え太ったような雉というのはいかがなものなのだろうか。
―――――
『シャドウフェニックス』
機械惑星の唯一の生身の部分と言えるアイギス火山の主として君臨した、炎上する鳥のモンスター。
元々は影の中で生息していたシャドウバードの一種だったのだが、影ごと噴火時にマグマの中に飲み込まれてしまい、焼き鳥となってしまったことがあった。
偶然の事故とはいえ、痛ましい散り様を見た火の女神が哀れに思い、加護を授けた結果息を吹き返し、新たにシャドウフェニックスとして溶岩の中から爆誕したといわれている。
―――――
「と、バルナックさんからもらったシャドウフェニックスに関する資料を読むと、生まれたのは奇跡的なものがあるようだね」
「ある意味、転生モンスターというべきなのだろうか?」
生まれ変わってこの山の主となり、地に根付いたというシャドウフェニックス。
ただ、主様と崇められたりする割には…
「判定として、ボスモンスターになるかなと思ったけど…ボスモンスター特有の結界みたいなものとかが生じないね」
「そう考えると、あくまでも一般モンスター扱いみたいなものなのかな?」
ボス戦みたいになるのかと思いきや、威嚇はされているようだがすぐに戦闘になることもなければ、ログに表示が急に出ることもない。
よく考えたら、今回のフェニックスとの遭遇は特殊クエストによるものであり、討伐も達成条件の一つとして数えられつつも、目撃、情報収集もあることを考えられると、逃げられないようになる結界が用意されているとは考えにくかったのだ。
つまり、この特殊クエストの扱いとしては…全体的にまとめると単なる情報収集に近いものであり、戦闘を引き起こす必要はない。
むしろここでじっくり見て情報を集めたほうが、お得なのかもしれない。
「でも、ここまでの威嚇もちょっと変なような…MACで不意打ちしたのはあるけど、なんかこうただ怒っているとかそういうのとは違うような…」
「…ん?あ、ハル、あそこを見て」
ケェェエンケェェンと威嚇をするような体勢で、ふわふわに膨らみ羽を広げているシャドウフェニックスを観察する中、ふとミーちゃんが何かに気が付いたようだ。
「あそこって?」
「祭壇の後ろのほう、あそこにスキルで一緒に…ほら」
「えっと…あ」
先ほどまでは奉るだけの祭壇しかないかと思っていたのだが、どうやらMACのスキルによって一緒に出てきてしまったものがあった。
それは、メカメカしい巣に鎮座しているいくつもの卵の姿。
どうやら、シャドウフェニックスのを先ほどのスキル使用によって、一緒に影の中から飛び出させてしまったらしい。
…どうやら抱卵していたようで、その中で突然陰から出されたらそりゃ怒るわな。
「えっと…どうしようか。普通にスキル解除で戻ると思う?」
「時間制限があるようだけど…戻したら戻したで、影から全力で攻撃されそうなんだけど」
今はまだ実体化させられた卵があるので、遠距離攻撃等を防ぐためにそのそばで守る姿勢を見せているようだが、安全な影の中に影が戻れば、全力で僕らを攻撃してきそうなそぶりが見える。
つまり、ここでどう動くのが正解かといえば…
「戻しつつ、即座に全力逃亡!!」
「お邪魔してすいませんでしたぁぁぁぁ!!」
MACの効果を解除させるには時間がたつのと、もう一度スキルを浴びせる方法がある。
そのためまずはスキルを巣に浴びせて影に戻し、親であるシャドウフェニックスがこちらをすぐさま攻撃しようとするところで、毒の霧を出して煙幕として視界を防ぎ、全力逃走を図る。
単純に討伐だけを目的にするならば、あの巣を人質にする形で戦う奴もいるだろうが、僕らはそんな外道ではない。
そのため、ここで一気に逃亡を図ろうとしたが…忘れていたことがあった。
そもそも、最初に気が付くべきであった。主と言われている割には、出てきた最初のシャドウフェニックスがボスモンスター判定ではないことに。
巣があり卵があるということは、ここは彼らの縄張りの中。
なおかつ、無性生殖でもなければ一羽だけで卵を産むようなこともないので‥‥
【ゲェェェェェェェェェェェェェェン!!】
「「いっ!?」」
―――――
>ボスモンスター専用フィールド。『爆炎影の世界』へ引きずり込まれました!!
―――――
ぐるりと視界が動いたかと思えば、次の瞬間に僕等がいた場所はあの火口ではなく、黒い炎が燃え広がっている異空間のような場所に立っていた。
そして目の前を見れば、先ほどのシャドウフェニックスに似た…雉ベースなのには変わりがないが、こちらはより巨大な体格をした立派な姿のものがいた。
目視できるだけでも、ちょっとしたドラゴンと言って差し支えないほどの巨大なサイズ。
羽のほうもメカニクルではなく、シャドウフェニックス本来の羽の色合いというか、黒い火の様な揺らめきを持った巨大なモンスター。
―――――
>ボスモンスター『クイーン・シャドウフェニックス』によって呼び寄せられました!!
>強制戦闘がこれより、開始されます!!
―――――
「「嘘でしょぉおおおおおおおおおおお!?」」
まさかまさかの、もう一羽のシャドウフェニックス。
いや、こちらこそが本当のこのアイギス火山の主というべきような姿をした、シャドウフェニックスの怒りを買ってしまったようで、強制的な戦闘が発生したようであった…
「というか、クイーンってことは、こっちが雌なの!?チョウチンアンコウの雄と雌並みに差がすごすぎるんだけど!?」
「その割には卵が普通サイズだったような…あ、ボルナックさんからもらっていた情報に載っているね。特殊な生態で、火から卵を生みだすけど、雄個体なら鶏の卵の様なサイズにしかならないって」
…なお、他の情報によれば逆ハーレムの様な生態でもあるようで、あの影から出たのは一羽だけだったが、別のところにも複数のシャドウフェニックスがいたりするらしい。
甲高い咆哮をあげ、祭壇から出現したのはモンスター『シャドウフェニックス』。
フェニックスの名が示すように、揺らめく黒い焔を身に纏い、飛翔しているのはまだイメージとしての範囲では間違っていないだろう。
だが、MACの効果によって表面がややメカニクルになった部分は百歩譲ってよいとして…その見た目の大部分が、巨大なコロコロと肥え太ったような雉というのはいかがなものなのだろうか。
―――――
『シャドウフェニックス』
機械惑星の唯一の生身の部分と言えるアイギス火山の主として君臨した、炎上する鳥のモンスター。
元々は影の中で生息していたシャドウバードの一種だったのだが、影ごと噴火時にマグマの中に飲み込まれてしまい、焼き鳥となってしまったことがあった。
偶然の事故とはいえ、痛ましい散り様を見た火の女神が哀れに思い、加護を授けた結果息を吹き返し、新たにシャドウフェニックスとして溶岩の中から爆誕したといわれている。
―――――
「と、バルナックさんからもらったシャドウフェニックスに関する資料を読むと、生まれたのは奇跡的なものがあるようだね」
「ある意味、転生モンスターというべきなのだろうか?」
生まれ変わってこの山の主となり、地に根付いたというシャドウフェニックス。
ただ、主様と崇められたりする割には…
「判定として、ボスモンスターになるかなと思ったけど…ボスモンスター特有の結界みたいなものとかが生じないね」
「そう考えると、あくまでも一般モンスター扱いみたいなものなのかな?」
ボス戦みたいになるのかと思いきや、威嚇はされているようだがすぐに戦闘になることもなければ、ログに表示が急に出ることもない。
よく考えたら、今回のフェニックスとの遭遇は特殊クエストによるものであり、討伐も達成条件の一つとして数えられつつも、目撃、情報収集もあることを考えられると、逃げられないようになる結界が用意されているとは考えにくかったのだ。
つまり、この特殊クエストの扱いとしては…全体的にまとめると単なる情報収集に近いものであり、戦闘を引き起こす必要はない。
むしろここでじっくり見て情報を集めたほうが、お得なのかもしれない。
「でも、ここまでの威嚇もちょっと変なような…MACで不意打ちしたのはあるけど、なんかこうただ怒っているとかそういうのとは違うような…」
「…ん?あ、ハル、あそこを見て」
ケェェエンケェェンと威嚇をするような体勢で、ふわふわに膨らみ羽を広げているシャドウフェニックスを観察する中、ふとミーちゃんが何かに気が付いたようだ。
「あそこって?」
「祭壇の後ろのほう、あそこにスキルで一緒に…ほら」
「えっと…あ」
先ほどまでは奉るだけの祭壇しかないかと思っていたのだが、どうやらMACのスキルによって一緒に出てきてしまったものがあった。
それは、メカメカしい巣に鎮座しているいくつもの卵の姿。
どうやら、シャドウフェニックスのを先ほどのスキル使用によって、一緒に影の中から飛び出させてしまったらしい。
…どうやら抱卵していたようで、その中で突然陰から出されたらそりゃ怒るわな。
「えっと…どうしようか。普通にスキル解除で戻ると思う?」
「時間制限があるようだけど…戻したら戻したで、影から全力で攻撃されそうなんだけど」
今はまだ実体化させられた卵があるので、遠距離攻撃等を防ぐためにそのそばで守る姿勢を見せているようだが、安全な影の中に影が戻れば、全力で僕らを攻撃してきそうなそぶりが見える。
つまり、ここでどう動くのが正解かといえば…
「戻しつつ、即座に全力逃亡!!」
「お邪魔してすいませんでしたぁぁぁぁ!!」
MACの効果を解除させるには時間がたつのと、もう一度スキルを浴びせる方法がある。
そのためまずはスキルを巣に浴びせて影に戻し、親であるシャドウフェニックスがこちらをすぐさま攻撃しようとするところで、毒の霧を出して煙幕として視界を防ぎ、全力逃走を図る。
単純に討伐だけを目的にするならば、あの巣を人質にする形で戦う奴もいるだろうが、僕らはそんな外道ではない。
そのため、ここで一気に逃亡を図ろうとしたが…忘れていたことがあった。
そもそも、最初に気が付くべきであった。主と言われている割には、出てきた最初のシャドウフェニックスがボスモンスター判定ではないことに。
巣があり卵があるということは、ここは彼らの縄張りの中。
なおかつ、無性生殖でもなければ一羽だけで卵を産むようなこともないので‥‥
【ゲェェェェェェェェェェェェェェン!!】
「「いっ!?」」
―――――
>ボスモンスター専用フィールド。『爆炎影の世界』へ引きずり込まれました!!
―――――
ぐるりと視界が動いたかと思えば、次の瞬間に僕等がいた場所はあの火口ではなく、黒い炎が燃え広がっている異空間のような場所に立っていた。
そして目の前を見れば、先ほどのシャドウフェニックスに似た…雉ベースなのには変わりがないが、こちらはより巨大な体格をした立派な姿のものがいた。
目視できるだけでも、ちょっとしたドラゴンと言って差し支えないほどの巨大なサイズ。
羽のほうもメカニクルではなく、シャドウフェニックス本来の羽の色合いというか、黒い火の様な揺らめきを持った巨大なモンスター。
―――――
>ボスモンスター『クイーン・シャドウフェニックス』によって呼び寄せられました!!
>強制戦闘がこれより、開始されます!!
―――――
「「嘘でしょぉおおおおおおおおおおお!?」」
まさかまさかの、もう一羽のシャドウフェニックス。
いや、こちらこそが本当のこのアイギス火山の主というべきような姿をした、シャドウフェニックスの怒りを買ってしまったようで、強制的な戦闘が発生したようであった…
「というか、クイーンってことは、こっちが雌なの!?チョウチンアンコウの雄と雌並みに差がすごすぎるんだけど!?」
「その割には卵が普通サイズだったような…あ、ボルナックさんからもらっていた情報に載っているね。特殊な生態で、火から卵を生みだすけど、雄個体なら鶏の卵の様なサイズにしかならないって」
…なお、他の情報によれば逆ハーレムの様な生態でもあるようで、あの影から出たのは一羽だけだったが、別のところにも複数のシャドウフェニックスがいたりするらしい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,941
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる