アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
457 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-45 地道に積み重ねて

しおりを挟む
…現実時間にて、3日が経過した。
 資材が足りなくて修理できない危機が一時期あったものの、電子の海を利用した輸送方法でどうにかこうにか材料を調達し、無事に修理を終えることが出来た。


「というか、家の倉庫に何を詰め込みまくっているんだよ…材料があるのは良いけど、どこで手に入れたの?」
【それはまぁ、使用人たるものいざという時の備えを用意するために色々な手を使いまシタ】
「一部生ものもあったよね?何あの、グネグネ蠢く瓶詰の物体…」

 本当にここは現実の世界なのかと言いたくなるような、摩訶不思議な物体なども詰め込まれていたが…それでもどうにか持ち運び、グレイ号の修理には役立った。

 船の修理は終わり、後はここからどう動くかの話になる。

「それでロロ、ここからオンラインの世界に船を戻せるよね?」
【ハイ。事情が事情のため、修理の傍ら運営にも報告し、指示を仰ぎましてある航路の使用許可を得ることが出来まシタ。そこに向かえば、オンラインの世界までの道に乗ることが可能デス】

 ロロ曰く、妖精女王の前例があるように、じつはオンラインの世界と現実の世界を繋げられる場所があるようで、今回はそれを利用するらしい。
 本来は秘匿すべき情報だが、この事態を流石に重く見られているようで、特別な許可として利用が可能になったようだ。


【とはいえ、流石に修理に時間をかけ過ぎましたね…各国のニュースには上がっていないようですが、一部ではこの船の存在に気が付いた者たちがいるという報告もありまシタ。秘密裏に接近のために、月へ向かってロケットを打ち上げたところもあるようデス。なので、すぐに飛び立つ必要があるでしょウ】
「あ、やっぱり隠し通しきることが出来なかったか」
「まぁ、無理もないよね。だってこの船、結構大きいもん」

 周辺の岩を張り付けて偽装する程度のものでは、隠蔽しきれなかったようである。
 存在に気が付き、動き出したところもあるようで、放置しておけば厄介ごとになるのが目に見えている。

「なら、さっさと飛び立つか…総員、グレイ号発進準備を!!」
【【【【了解!!】】】】

 このまま何もしないでいるよりも、離れたほうが良い。
 そう思い、全員に指示を出してグレイ号の発信の準備を行う。

 まぁ、そもそもこの船自体が意志を持つ船らしいので、よくある発進シークエンスを行わなくとも自動で動かせるが…こういう時は、ロマンをちょっと優先したくなる。

【カモフラージュ岩盤破砕!!同時にエンジン始動!!】

 ばごぉっと音を立て、グレイ号を隠していた岩が剥がれ落ちていく。
 飛び立つ際の邪魔になるが、この光景としては某宇宙戦艦の曲をかけ…

トットットットットトトゥ~♪
トゥトトトゥトトトトゥ~♪


「って、本当にかけているじゃん!!」
【主様が望まれると思いまして、セットしておきました】

 しっかりとBGMを用意していたようで、雰囲気が盛り上がる。


【フライホイール接続、点火!!】
「曲にのせて…グレイ号、発進!!」

 ごうっとエンジンが音を立て、グレイ号が発進する。
 惜しむらくは外からの光景ではなく、中からの光景なので、少しばかり足りない気もするが…それでも無事に、修理を終えたグレイ号は問題なく稼働し、飛び立つことが出来た。


【まぁ、修理を終えているといっても、兵装用の弾薬なども素材に使用したため、基本的なエネルギー弾しか撃てない状態ですけれどネ。妖精郷へ戻って補給する必要がありマス】
「いやいや、流石にこの現実の世界で、そんな実弾が必要な戦闘自体もないだろうし、大丈夫だよ」

 むしろ、そんな事態に陥るような現実の世界だったら怖すぎる。
 何も知らないだけで、本物のやばい宇宙人が蠢いていたら色々とアウトだろう。


「とりあえず、オンラインの世界に帰還できる航路についてほしい。オンライン世界に帰還するまでは、このログイン状態を維持して無事に帰還できるまで見ないとなぁ…」

 オンラインの世界とは違う、この何の変哲も何もない現実の世界の宇宙空間で、戦闘やもしくはよりやばいことが起こるとは思えないが、万が一ということもある。
 いつでも女神のスキルを使用できるようにしつつ、警戒しておくに越したことはないだろう。


「変態神が実体化した例があるし…他に何か、オンラインの世界から何らかの理由で飛び出してくるものがないとは限らないからね。それが宇宙ダイオウイカとかそんな類だったら、相当危険だよね」
「変態戦隊のアバターが勝手に自立稼働して、分裂増殖して押し寄せて現実世界に実体化してくるバグとか、そんなものが出てもおかしくないもんね」
【いや、流石にそんな深刻過ぎるバグは、運営が見逃さないと思いますが…バグというよりも、一種の大災害ですね、ソレ】

 珍しくロロがツッコミを入れたが、そんなことが起きてほしくはないと思う。
 だがしかし、可能性として候補に挙げてしまうと、あの欲望戦隊ならばそのレベルをやらかしかねないんだよなぁと何故か納得できてしまうのであった…



「…本当にそういうのはないよね?」
【適切に、監視されていると思いマス。一応、秘密事項なのですが…先日の変態神の例もあり、変態に関しての監視は強化されているそうですからネ】
「まず、そういうのは締め出したほうが良いんじゃないの?」
【そこはまぁ、色々と都合があるのデス…】

…万が一の変態神再出現に備えて、それなりの兵器の類も用意されているらしい。
 締め出した方が確かに良いのだろうが…世の中、根絶するというのは何かと難しいそうだ…
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

(更新終了) 採集家少女は採集家の地位を向上させたい ~公開予定のない無双動画でバズりましたが、好都合なのでこのまま配信を続けます~

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
突然世界中にダンジョンが現れた。 人々はその存在に恐怖を覚えながらも、その未知なる存在に夢を馳せた。 それからおよそ20年。 ダンジョンという存在は完全にとは言わないものの、早い速度で世界に馴染んでいった。 ダンジョンに関する法律が生まれ、企業が生まれ、ダンジョンを探索することを生業にする者も多く生まれた。 そんな中、ダンジョンの中で獲れる素材を集めることを生業として生活する少女の存在があった。 ダンジョンにかかわる職業の中で花形なのは探求者(シーカー)。ダンジョンの最奥を目指し、日々ダンジョンに住まうモンスターと戦いを繰り広げている存在だ。 次点は、技術者(メイカー)。ダンジョンから持ち出された素材を使い、新たな道具や生活に使える便利なものを作り出す存在。 そして一番目立たない存在である、採集者(コレクター)。 ダンジョンに存在する素材を拾い集め、時にはモンスターから採取する存在。正直、見た目が地味で功績としても目立たない存在のため、あまり日の目を見ない。しかし、ダンジョン探索には欠かせない縁の下の力持ち的存在。 採集者はなくてはならない存在ではある。しかし、探求者のように表立てって輝かしい功績が生まれるのは珍しく、技術者のように人々に影響のある仕事でもない。そんな採集者はあまりいいイメージを持たれることはなかった。 しかし、少女はそんな状況を不満に思いつつも、己の気の赴くままにダンジョンの素材を集め続ける。 そんな感じで活動していた少女だったが、ギルドからの依頼で不穏な動きをしている探求者とダンジョンに潜ることに。 そして何かあったときに証拠になるように事前に非公開設定でこっそりと動画を撮り始めて。 しかし、その配信をする際に設定を失敗していて、通常公開になっていた。 そんなこともつゆ知らず、悪質探求者たちにモンスターを擦り付けられてしまう。 本来であれば絶望的な状況なのだが、少女は動揺することもあせるようなこともなく迫りくるモンスターと対峙した。 そうして始まった少女による蹂躙劇。 明らかに見た目の年齢に見合わない解体技術に阿鼻叫喚のコメントと、ただの作り物だと断定しアンチ化したコメント、純粋に好意的なコメントであふれかえる配信画面。 こうして少女によって、世間の採取家の認識が塗り替えられていく、ような、ないような…… ※カクヨムにて先行公開しています。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

つまみ食いしたら死にそうになりました なぜか王族と親密に…毒を食べただけですけど

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私は貧しい家に生まれた お母さんが作ってくれたパイを始めて食べて食の楽しさを知った メイドとして働くことになれて少しすると美味しそうなパイが出される 王妃様への食事だと分かっていても食べたかった そんなパイに手を出したが最後、私は王族に気に入られるようになってしまった 私はつまみ食いしただけなんですけど…

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味
ファンタジー
※完結しました。感想をいただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。 これは、今まで暮らしていた世界とはかなり異なる世界に移住することになった僕の話である。 ようやく再就職できた会社をクビになった僕は、不気味な影に取り憑かれ、異世界へと運ばれる。 気がつくと、空を飛んで、口から火を吐いていた! これは?ドラゴン? 僕はドラゴンだったのか?! 自分がドラゴンの先祖返りであると知った僕は、超絶美少女の王様に「もうヒトではないからな!異世界に移住するしかない!」と告げられる。 しかも、この世界では衣食住が保障されていて、お金や結婚、戦争も無いというのだ。なんて良い世界なんだ!と思ったのに、大いなる呪いがあるって? この世界のちょっと特殊なルールを学びながら、僕は呪いを解くため7つの国を巡ることになる。 ※派手なバトルやグロい表現はありません。 ※25話から1話2000文字程度で基本毎日更新しています。 ※なろうでも公開しています。

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

処理中です...