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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-86 一対多数

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『敵艦隊旗艦補足、軌道修正、エンジン出力増加、全速前進!!」

 グレイ号の声と共に、周囲を薙ぎ払いながら船が進み始める。
 進ませまいと敵艦が砲撃を放ってくるが、ほとんどの攻撃がエネルギーリングより生じる防壁により阻まれ、反撃されて轟沈していく。

「なんというか、以前より機動力が上がっているな…」
【各側面部に、方向転換用の電磁式推進補助装置が付きましたからネ。ロケットノズルのように外部に出すのではなく、磁力による反発を利用したもので、機動力が30%上昇しておりマス】
「電磁式…となると、それを利用した別の戦法もとれそうだけど?」
【ハイ。磁界の向きを変えて、敵を引き寄せて射程圏内にいれたり、あるいは反発して動かし、敵艦同士を衝突させるなどの方法も可能ですネ。ただしまだ調整中の部分もあるため、今回の戦闘でデータを取って、次回以降の戦闘時に利用する予定デス】
「目の前の敵艦隊に、次回はなさそうだけどね」

 ガンガン突き進むグレイ号の猛攻に、相手はなすすべがないらしい。
 体当たりを仕掛けてきた船もあったようだが、ぶつかる前に主砲の直撃を受けて爆散したり、ミサイルを連射してきても対空砲撃ですべて撃ち落とす等、撃ち漏らすことはない。

 全ての砲口が敵へ常に向けられており、一隻撃破すればすぐに次の船を狙い、休める手を与えないのである。

 グレイ号自身が操艦を担いつつ、ウッドマリーンズも各所で動いているらしいが、性能が上昇したことによって、次の砲撃までの隙を与えないように計算できるらしい。

『敵旗艦、目視圏内に入りまシタ』
「っと、もう接近できたのか」

 かなり大多数の艦隊が囲んでいたようだが、そのほとんどが撃ちおとされたことによって、周囲が見やすくなった。
 旗艦をやられたら不味いと思って距離を取りつつ艦隊で守りを固めていたようだが、グレイ号の火力を前にして意味をなさず、既に目に見える距離まで接近できたらしい。

「あれが敵旗艦…大きいな」

 グレイ号も戦艦クラスのサイズがあるとはいえ、正体不明の敵の旗艦はさらに巨大だった。
 ちょっとした小惑星サイズというかそれ自体を改造したような造形になっており、各所に巨大な砲塔や内部から小さな巡洋艦のような船も出しており、旗艦というよりも母艦や製造工場と言った方がしっくりくるかもしれない。

「あのサイズ、対応できるか?」
『問題ないでしょウ。むしろ、大きい方が好都合デス。エネルギーリング、火力に回していたエネルギーを前方へ集中!!』

 グレイ号の周囲を回っていたリングが前方へ移動し、形を変えていく。
 回転速度を上げ、熱量も上がるのかより強い輝きを放ち始める。

『これより、敵旗艦の内部へ突入を行い、機関部を直接叩きマス!!』

 どうぉっとエンジンをうならせ、まっすぐに突き進み始めるグレイ号。
 一直線なコースは読まれやすいので、敵はすぐにグレイ号へ向けて全火力を向けていく。


 だがしかし、前方にエネルギーが集中したせいなのか特化された防壁のようになり、どれほどの攻撃を受けてもものともしない。
 だんだん接近し、相手もこちらの狙いに気が付いたのか回避行動をとろうとしたが…もう、遅い。


ズッドォォォォォォォン!!

 巨大な敵の側面に、グレイ号が突き刺さり、内部へ入り込む。
 衝撃が相当ありそうだったが、影響がない様に作られているのか思ったよりショックが無い。

 敵の内部へ入り込みつつも速度を緩めず、そのまま内部の隔壁を貫通しながら突き進む。
 さらに、突撃に回していたエネルギーも余力が出来ているのか、正面以外の各所へ向けてミサイルや副砲が火を噴き、敵旗艦内部を焼き尽くし、喰い荒らす。

「えげつない攻撃だぁ…」
「まさか、内部を突き進むとは…」

 ミーちゃんも僕も、グレイ号の好戦的過ぎる戦法にあっけにとられるが、何もすることはない。
 相手が攻撃をしてきたのが悪いとはいえ、この無茶苦茶ぶりにはどう思っているのだろうか。

【元が海賊船ですからネ。突撃戦法もやりやすいのでしょウ】
『改造によって防壁追加、頑丈な装甲が追加されたから、よりがつんとぶつけやすくなったのもアル』

 無茶苦茶な方法だが、どうやら効果はあるようだ。
 ガンガン内部を突き進みつつ、内部の兵装ではグレイ号に何も手出しをできないのか、むなしい抵抗を敵旗艦は続けるだけであった…



「…あ、でも機関部攻撃したら大爆発ってのがお約束だと思うけど、ここまで潜り込んでいる僕らも危ないのでは?」
『マスター、それは無駄な心配だヨ』
【以前の緊急ワープ前にありました攻撃を教訓に、膨大な熱量に対しての耐性を追加しましたからネ。まぁ、エネルギーリングを利用したコメットウォールという名のエネルギー防壁も可能ですし、緊急ワープも改良していますからネ】

…いらぬ心配だったか。そんな脱出手段がある時点で問題なかった。
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