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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-閑話 都合が良いもの

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 女神とは異なる、妖精の姿。
 どっちも人外ではというツッコミが入りそうだが、それは置いておくとしよう。

 人ならざる者の姿ゆえに、常識の枠にあてはめにくく、
 だからこそ、どちらも扱いにくいものになるかと思われるのだが…


【できました、主様。ご要望の、バケツプリンデス】
「…うん、確かにバケツプリンなことはプリンなんだけど…うわぁ、実際にやってみると、こうなるのか。人間サイズでも大きいと感じているものでも、妖精サイズならさらに、超巨大に見える…!!」

 妖精の肉体はどういうものなのか色々と探る中で、ふと、思いついたこと。
 女神とは違って小人サイズに近い妖精の姿ならばできるかと思って、実験したわけだが…実際に体験してみると、規模がかなり違う。

「どう見ても、ハルよりはるかに大きいね」
「山の様なプリンを食べてみたいとは思っていたけど…こういう形で実現するとは」

 サイズや予算等、どうしようもないことで叶わない、そこそこ儚い夢というものが誰しもある。
 オンラインの世界であれば、ある程度の都合ならどうにかなって叶うこともあるだろう。

 だがしかし、それらはあくまでもVRMMOの世界内…現実では成しえないこと。
 様々な感覚が再現されているとはいえ、それでも現実で叶えたわけではない。


 けれども今回、元妖精女王の手によってサイズに関する問題が解決されてしまった。


「妖精化すると、結構小さくなるからこそ、こんな夢の実現ができる」
「サイズが明らかに体より大きいけど、食べきれるの?」
「…しまった、胃の容量まで計算に入れてなかった」

 夢は夢だからこそ儚く、美しいもの。
 かなってしまえば、そこから現実を知る羽目にもなる。




 案外、こういうのは別腹と言って食べられるのではないか。
 そう思っていた時期があったけど、その思いを抱いた過去の自分にツッコミを入れたい。


「うぐっ…さ、流石に、お腹いっぱい…」
「半分もいった時点で相当食べたよね」

 がくりと膝をつき、そうつぶやく。
 最初こそ美味しいなと思いながら食べることが出来たのだが、次第に入らなくなっていき、残さないようにしようと思ったが…残念ながら、妖精サイズでは限度があるようだ。

 そこで、物は試しにもとの姿に切り替えてみれば、すっと胃の負担が軽くなった。

「食べた分はそのままで、サイズが変われば一応食べられるか…うーん、便利なようで不便な部分が見つかったなぁ」

 お菓子の家とか再現できたとしても、妖精サイズでは食べきるのは難しいだろう。
 夢は夢のままで見ていたほうが、美しいというべきなのだろうか。

 また一つ、この世の中の現実の厳しさを知ったようであった…


「ようやく食べきれた…この量、まともに妖精の状態でやったらやばかったか」
「カロリー摂取量とかも、妖精基準だとすさまじいことになりそうだよね」

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