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5章 復讐は我にあり
5-68 そして着実に、埋められて
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‥‥‥世に出していけないような怪物も消え去り、無事に島を脱出し、帝国の寮に戻る事が出来たのは良かっただろう。
何とか事後処理や報告作業なども経て、どうにかこうにか色々と終えることはできた。
「とは言え、問題の根幹ともいえる破神布とかいう組織に関しては既に逃亡済みか‥‥‥厄介事しかないし、結構前の鬼畜外道学者みたいなやらかしがありそうで嫌だな」
「あれも苦労しまシタ。完全に根絶して綺麗さっぱり切り捨てましたが、こっちもどうにかしたいところデス」
ぐでんっとやる気なくベッドにうつぶせになってつぶやけば、何かじいじぃと音を立てて作っているゼナ。
彼女の部屋ではないのだが、どうやら色々と使える道具をこっち側にまで引いてきたようで、俺の側でも作業が出来るようにしているのだろう。
何をやっているのかと聞いてみると、どうやら自己改造を行っているようで、各種モードに今後の事を考えて色々と仕込んでいるらしい。
「元々オリジナルの状態から帝国仕様になってましたが、今回の件は更に厄介事が確認できたので、私自身も色々と変えないと対応できないんですよネ。魔剣なので出来ればソードモードが一番好ましいのですガ、その他もどうにかしないといけないのデス」
「まだ何かモードを増やす気かよ」
「増やすのもありますけど、統合もしますネ。各種モードを見直して、また新たに作り直しておきたいのデス」
様々なモードに応じた戦法をこれまで構築してきたが、また一から見直す必要もあるようだ。
とは言え、彼女がパワーアップしてくれるようなものだし、必然的に俺自身の強化にもなるので文句もないのでとやかくいう事もない。
しいて言うのであれば、ソードモードを普通の両手剣か片手剣にして欲しいことぐらいかなぁ‥‥‥片腕だけ剣になるのはもう慣れたものなんだけど、やっぱりちょっと思うところもあるのだ。
「夏季長期休暇ももうすぐですし、休暇後の方でしばらくしたら留学も終わりますので、それに備えて帝国仕様をちゃんと外せるようにする目的もありますけれどネ」
「そういえばそうなるのか…‥‥」
ちょっと忘れそうにもなるのだが、今の俺たちは王国から帝国へ留学してきた身であり、ずっとここにいるわけではない。
留学期間は卒業まであるのではなく、半年ちょっと過ぎぐらい‥‥‥夏季休暇明けからしばらく経って王国に帰ることになるのである。
その卒業期間内に、何をどうして帝国の皇女と婚約したり、様々な騒動に巻き込まれるのかツッコミどころが多いのはどうにかしてほしいけれどな。しかも破神布とかいう組織が出たせいで、留学が終わるまでにさらにやらかされることが目に見える。
「さらに言えば、報告を催促されて‥‥‥ペルシャさんがそのまま王国へ帰還すると同時に、彼女の口から報告されることになりますネ」
「‥‥‥‥正直に言うと、それが一番不安だったりする」
だってね、記憶喪失中の元王女の状況を馬鹿正直に話すのは不味い気がするのだ。
いやまぁ、記憶が無い間と記憶があった時の彼女の差がすごかったけど、それを全部報告するのもどうかと思われる部分があるのだ。
「変なことはしていなかったし、問題になると思わない‥‥‥と思えたらいいなぁ」
看病でナース服を着ていたことや、その状態で歌を歌ってもらったりなどしていたことがあるが、どうにか変なものに触れないものであると願いたい。
「大丈夫ですよご主人様。そんなに心配しなくとも、罰せられるようなこともないでしょウ。多分」
「最後の一言で不安が残るんだが?」
完全に言い切ってほしかったんだが。あと、考えたらナース服とかの下りはゼナが原因な部分もあると思うんだけど。
まぁ、記憶喪失中の自分の行動を思い出して、くっころと言っていたような全力自傷で再記憶喪失をやらかしかけていたペルシャだったし、馬鹿正直に言うようなこともあるまい。ある程度のごまかしや真実を混ぜつつ、どうにかしてくれるはずである。
「これで国王陛下が、責任を取ってもらうために彼女をご主人様の婚約者にでも据えたらそれはそれで笑い話になりそうですけれどネ」
「いやいや、流石に帝国の皇女であるルルシアが婚約者にいる時点で、それ以上やることもないでしょ」
はははっと笑って不安をごまかしつつ、その可能性はないと思っておく。
あの国王陛下だし、籍を抜いて王族から無くなったけれども自由に過ごすペルシャの意思を尊重して無理を強いるようなこともないだろうし、ありえない話だろう。
そう思いつつも、何となく不安はぬぐえない。別の形で来る可能性も否定できない。
出来れば早めに朗報を聞いて安心したいと心の底から俺は願っておくのであった…‥‥
‥‥‥だがしかし、その願いは叶うことはない。
というかそもそも、まともに願って叶うことがあったのかとこれまでの事で学ばされているのであった。
「そう考えると、願うあて先が無いなぁ‥‥‥神がいないのだろうか」
「いたとしても、ご主人様の運命までは干渉できなさそうですけれどネ。知り合いに何柱かいますが、安心安全な生涯を送るのは絶対不可能と判も押されましたし、どうにもならないのデス」
「へぇ、そっか。…‥‥いやいやいや、ちょっと待って?俺の人生もしかして結構やばいって、神にすら言われるレベルなの?」
「…‥‥」
目をこっち向けて回答してほしいんだけど。無言で思いっきり目をそらすって、ごまかすにしてはかなり荒すぎる方法だからな?
というか、いるのか神の知り合い…‥‥いや、なんか今更不思議でもなんでもない気がしてきたぞ。
何とか事後処理や報告作業なども経て、どうにかこうにか色々と終えることはできた。
「とは言え、問題の根幹ともいえる破神布とかいう組織に関しては既に逃亡済みか‥‥‥厄介事しかないし、結構前の鬼畜外道学者みたいなやらかしがありそうで嫌だな」
「あれも苦労しまシタ。完全に根絶して綺麗さっぱり切り捨てましたが、こっちもどうにかしたいところデス」
ぐでんっとやる気なくベッドにうつぶせになってつぶやけば、何かじいじぃと音を立てて作っているゼナ。
彼女の部屋ではないのだが、どうやら色々と使える道具をこっち側にまで引いてきたようで、俺の側でも作業が出来るようにしているのだろう。
何をやっているのかと聞いてみると、どうやら自己改造を行っているようで、各種モードに今後の事を考えて色々と仕込んでいるらしい。
「元々オリジナルの状態から帝国仕様になってましたが、今回の件は更に厄介事が確認できたので、私自身も色々と変えないと対応できないんですよネ。魔剣なので出来ればソードモードが一番好ましいのですガ、その他もどうにかしないといけないのデス」
「まだ何かモードを増やす気かよ」
「増やすのもありますけど、統合もしますネ。各種モードを見直して、また新たに作り直しておきたいのデス」
様々なモードに応じた戦法をこれまで構築してきたが、また一から見直す必要もあるようだ。
とは言え、彼女がパワーアップしてくれるようなものだし、必然的に俺自身の強化にもなるので文句もないのでとやかくいう事もない。
しいて言うのであれば、ソードモードを普通の両手剣か片手剣にして欲しいことぐらいかなぁ‥‥‥片腕だけ剣になるのはもう慣れたものなんだけど、やっぱりちょっと思うところもあるのだ。
「夏季長期休暇ももうすぐですし、休暇後の方でしばらくしたら留学も終わりますので、それに備えて帝国仕様をちゃんと外せるようにする目的もありますけれどネ」
「そういえばそうなるのか…‥‥」
ちょっと忘れそうにもなるのだが、今の俺たちは王国から帝国へ留学してきた身であり、ずっとここにいるわけではない。
留学期間は卒業まであるのではなく、半年ちょっと過ぎぐらい‥‥‥夏季休暇明けからしばらく経って王国に帰ることになるのである。
その卒業期間内に、何をどうして帝国の皇女と婚約したり、様々な騒動に巻き込まれるのかツッコミどころが多いのはどうにかしてほしいけれどな。しかも破神布とかいう組織が出たせいで、留学が終わるまでにさらにやらかされることが目に見える。
「さらに言えば、報告を催促されて‥‥‥ペルシャさんがそのまま王国へ帰還すると同時に、彼女の口から報告されることになりますネ」
「‥‥‥‥正直に言うと、それが一番不安だったりする」
だってね、記憶喪失中の元王女の状況を馬鹿正直に話すのは不味い気がするのだ。
いやまぁ、記憶が無い間と記憶があった時の彼女の差がすごかったけど、それを全部報告するのもどうかと思われる部分があるのだ。
「変なことはしていなかったし、問題になると思わない‥‥‥と思えたらいいなぁ」
看病でナース服を着ていたことや、その状態で歌を歌ってもらったりなどしていたことがあるが、どうにか変なものに触れないものであると願いたい。
「大丈夫ですよご主人様。そんなに心配しなくとも、罰せられるようなこともないでしょウ。多分」
「最後の一言で不安が残るんだが?」
完全に言い切ってほしかったんだが。あと、考えたらナース服とかの下りはゼナが原因な部分もあると思うんだけど。
まぁ、記憶喪失中の自分の行動を思い出して、くっころと言っていたような全力自傷で再記憶喪失をやらかしかけていたペルシャだったし、馬鹿正直に言うようなこともあるまい。ある程度のごまかしや真実を混ぜつつ、どうにかしてくれるはずである。
「これで国王陛下が、責任を取ってもらうために彼女をご主人様の婚約者にでも据えたらそれはそれで笑い話になりそうですけれどネ」
「いやいや、流石に帝国の皇女であるルルシアが婚約者にいる時点で、それ以上やることもないでしょ」
はははっと笑って不安をごまかしつつ、その可能性はないと思っておく。
あの国王陛下だし、籍を抜いて王族から無くなったけれども自由に過ごすペルシャの意思を尊重して無理を強いるようなこともないだろうし、ありえない話だろう。
そう思いつつも、何となく不安はぬぐえない。別の形で来る可能性も否定できない。
出来れば早めに朗報を聞いて安心したいと心の底から俺は願っておくのであった…‥‥
‥‥‥だがしかし、その願いは叶うことはない。
というかそもそも、まともに願って叶うことがあったのかとこれまでの事で学ばされているのであった。
「そう考えると、願うあて先が無いなぁ‥‥‥神がいないのだろうか」
「いたとしても、ご主人様の運命までは干渉できなさそうですけれどネ。知り合いに何柱かいますが、安心安全な生涯を送るのは絶対不可能と判も押されましたし、どうにもならないのデス」
「へぇ、そっか。…‥‥いやいやいや、ちょっと待って?俺の人生もしかして結構やばいって、神にすら言われるレベルなの?」
「…‥‥」
目をこっち向けて回答してほしいんだけど。無言で思いっきり目をそらすって、ごまかすにしてはかなり荒すぎる方法だからな?
というか、いるのか神の知り合い…‥‥いや、なんか今更不思議でもなんでもない気がしてきたぞ。
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