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第2章 思春期男子の性と生理

No,25 僕の射○は有料なの?

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【これは小学校5年のお話】

 そしてどのくらい経っただろう?
 僕はついに、小箱の中の二つ目に手を出した。

 初めての時の事が思い出される。
 高鳴る鼓動、震える指先。
 股間の理久ちゃんも期待に膨らんでいる。

 先っぽに被せて、根本までクリクリクリッと……

「あん!」

 理久ちゃん出しちゃった。


 瞬間僕は大変な事を考えた。
「これって、一回いくら掛かるんだ?!」
 費用の事だ。
 どうやら僕のオナニーは無料では済まないようだ。

 先日は初めての購入で、まさか定期購入は有り得ないと思って一番安い「三個入」を買ったけれど、次は割安な「1ダース入」を買わなきゃいけないのか?!
 呆然とする少年理久の脳裏に、怪しく微笑むケロちゃん貯金箱が浮かび上がる。そしてその背後には、暗い夜の闇が忍び寄った。
 ジャン♪ジャン♪ジヤ~ン♪

 小学5年生のケロちゃん貯金箱にそんな余裕がある筈がない。僕はひたすら我慢するしかなかった。

 だって!
 やり方が分からないのだ!

 身体の機能ってどうなのだろう?
 成長期である事は確かだけれど、一度精通すると、身体がどんどん新しい物を生産する仕組みになっているような気がする。
 僕の我慢がある程度溜まると、それは睡眠中に排泄されるようになってきた。


「夢精」である。


 これはヨーロッパでは古くから「夢魔(サキュバス或いはインキュバス)」が若い男性の夢の中に魅力的な姿で現れ、夢の中で性交する事によりその精液を奪う、と考えられてきた。
──これは、夢精の説明としては案外的を射ているのではないかと僕は思っている。

 少年期。
 溢れるほど生産された精液が睡眠中に排泄されるのは健全な生理である。そして、その時に性的な夢を見る事は医学的にも正しい。
 つまりその夢に出てくる「魅力的な姿」と言うのが「同性」であれば、それこそが嘘偽りの無いセクシャリティー=まさに性の対象なのだ。
 どんなに理性でそれを否定しても、夢精の対象が「同性」であればそれは自覚せざるを得ない。

──で、当時の僕の夢精の対象と言うのがまた珍妙だった。
 ある時は二人の女吸血鬼に首筋と手首を同時に噛まれて「あ…」。
 またある時は矢がすりの奥女中が御殿の長い廊下を雑巾掛けしている途中に着物がペロリとめくれて「あ…」。

 ここまでだとゲイと言うよりヘテロのようだが、コンセプトにまるで日常性が感じられない。
 で、夢精の話しは益々珍妙になっていく。
 ある時は波奈にキスされて「あ…」。これ近親相姦だし、かなりヤバイな。
 ちょっとゲイっぽいのは、あまり話した事もない隣のクラスの奴となぜか一緒に銭湯に入っていて「おい、ちんこ見せろよ」なんて言われて「やだよ!」って言ってるのに無理やり腰のタオルを外されて「あ…」とか。
 そして極めつけが、巨大な狐に飛び掛かられて、本当にデカイ狐で、そいつにおちんちんをペロペロ舐められて「あ…」って、これ何だろう?もはや人間じゃないし。

 もしかすると身体の成長に性的指向が追い付かず、脳内パニックを起こしていたのかも知れない。
──って、何十年も前の事なのに、こう言う事って何故かいつまでも覚えてる。


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