かちこみっ!

もっけさん

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ミズガルズ ー貿易都市ミストハレー

第12話 商談ギルド登録です。

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 自宅で朝食を食べユグドラシルの宿に戻ったら朝の9時半とのこと。商業ギルドに行って調味料や基礎化粧品などを売り込みに行こうと思う。
 「一二三ひふみ、商業ギルドに用事があるから出かけるけど、あんたポーション作るなら薬師ギルドに登録した方が良いんじゃない?」
 「えー面倒臭い。イリスがいるから別に良いんじゃないかな?」
 『ポーションを作成するには専用のスクロールが必要になります。スクロールは薬師ギルドでしか入手できません。薬師ギルドに行くことをお勧めします。』
 イリスの突っ込みに
 「うぅ…私も商業ギルドに行きたかった。薬師ギルドでポーションのスクロール貰ってくる。」
ガックリと諦めた様子の一二三ひふみ
 「薬師ギルドに着いたらコネを作って欲しいからお土産として受付嬢にゴ…んん、眠っているお前の付録おたからを渡すんだよ。そしてスクロールを値切れ!」
 大丈夫、空間魔法アイテムボックスに入れた付録おたからはポーチ類だ。勿論、商業ギルドにも持って行って賄賂として使うし、何ならチャックの開閉部分の特許申請するつもりだ。
 商業ギルドの隣に薬師ギルドがある。因みに冒険者ギルドはその斜め向こうだ。
 「先にどちらかが終わったらどうする?」
 一二三ひふみの言葉に私はニヤリと笑い
 「スマホ貸しな。」
手を出した。一二三ひふみは不思議そうな顔をしながらスマホを私の手に乗せる。
 私はスマホを空間支配を使って自宅のWi-Fiに繋げてから一二三ひふみにスマホを返した。
 「ネット使ってみなよ。」
 一二三ひふみはお気に入りサイトを開いて確認している。
 「おお!ネットが使える!wikiと地図は地球のとちょっと違うね。ユグドラシルになってる。」
 便利だと喜ぶ妹に
 「じゃあ、用事が済んだら連絡して。遅くなるようなら先に宿屋に帰って良いからね。私がいない所で遊びに行かないように!」
釘を刺して別れた。
 

 「すみません、ナゴミと申します。商業ギルドに登録したいのですが…」
 冒険者ギルドと違いお金が掛かっている内装にうっとりしつつ受付嬢に声を掛けると
 「未成年は登録できないんです。」
私の顔を見てお断りされた。日本は童顔と言われているが、私達わかつ家は更に輪をかけて童顔な一族だ。
 私は冒険者ギルドカードを提示し
 「成人しているので登録お願いします。」
にっこりと笑顔で言った。
 受付嬢が一瞬顔を引き攣らせたが
 「ではこちらの紙に必要事項を記入して下さい。」
直ぐに笑顔で羊皮紙を出してきた。私はそれを受け取り必要事項を記入して彼女に返却する。
 「はい、不備はありませんね。ナゴミ様、Fランク~Sランクまでありますが、どのランクで登録されますか?」
 「どう違うのか教えて貰えますか?」
 私は空間魔法アイテムボックスからメモ帳とボイスレコーダー型ボールペンを取り出す。
 頭良くないから全部覚えられそうにもないんだよね。ボイスレコーダーを起動していると
 「私は、ここの受付をしているアンナと申します。不躾ですが、それは何ですか?」
興味津々にボールペンを見ている。
 「これはボールペンと言ってインクが中に入っているのでインクを都度付ける必要が無いんです。こっちは手帳ですね。中に紙が挟まっているので便利ですよ。」
 パラパラと手帳を見せ、紙と取り外しする。ボールペンも彼女の手に渡すとアンナはボールペンを色々と触って観察している。紙に文字を書いてボールペンの書き易さを実感したようだ。
 「これは凄いですね!他にもあるのでしょうか?」
 「色々とありますよ。良ければサンプルを提出しましょうか?数日頂ければ用意出来ます。その時に特許の申請もしたいし…」
 私の言葉に
 「是非、お願いします!」
食い気味でお願いされた。この世界では珍しい物なのかもしれない。
 「じゃあ、ランクの話を教えて欲しいのですが…」
 「失礼しました。ランクですが、Fランクは露店・委託販売。Eランクは移動式店舗。Dランクは小さな店舗。Cランクは中規模な店舗。Bランクは大きな店舗。Aランクは国内に複数支店を持っている店舗。Sランクは皇室御用達の店となります。」
 手帳に書き写しているとお姉さんアンナの視線が気になる。特に手帳に熱い視線が送られているよ。心奪われたんだね。私のお気に入りブランドであるGatchガッチの手帳は味がデザインも洗練されていて好きなんだよ。
 「そうですね…私、物販と食堂、宿屋を一つの建物で経営したいのですが、その場合のランクはいくつぐらいになりますか?」
 「そうですね。それだとBランクになります。」
 街並みも綺麗だし、栄えているし、イリスより世界でも有数な治安を誇る国だと言われているから店を構えるのも良いかもしれない。
 「各ランクによって収める税も変わってきます。Fランクは銀貨7枚。Eランクは金貨1枚。Dランクは金貨3枚。Cランクは金貨5枚。Bランクは金貨10枚。Aランクは金貨30枚。Sランクは金貨50枚になります。」
 A~値段が跳ね上がったな…今の所、複数店舗を持つ予定は無いので
 「じゃあ、Bランクにします。」
即答した。でも一応、ランクのことは手帳に記載する。
 「では金貨10枚をお願いします。」
 私はトレーに金貨10枚を乗せる。お姉さんアンナはトレーを持ってカウンターの奥に戻った。
 数分ほどで戻って来た彼女の手元には銀板のギルドカードがあった。
 「ランクが上がるにつれてギルドカードの色も変わります。魔力登録を行うので、血判をお願いします。」
 針とカードを手渡されたので、ブスっと針で指を刺してカードに血を垂らす。
 ささっと針を回収され、ポーションが流布された脱脂綿を渡された。ささっと傷付いた指を脱脂綿で拭けば傷が綺麗に塞がった。
 冒険者ギルドでは無かった気遣いだ。流石、商業ギルド丁寧である。
 すかさず、名前とギルドランク以外は非表示にした。
 「当ギルドへようこそ」
 私は本題に入る事にした。
 「早速なんですが売りたい物があるんです。」
 「売りたい物ですか?」
 「塩・胡椒・砂糖です。」
 鞄に手を入れてアイテムボックスから瓶に詰め替えた砂糖・塩・胡椒を出す。
 1瓶ずつテーブルに並べて、アンナの様子を伺った。
 「手に取っても宜しいですか?」
 「どうぞ」
 マジマジと瓶を手に取って眺めている。
 恐らく鑑定しているんだろう。
 「すみません。こちらに来てもらえますか?」
 難しい顔をしたアンナは、席を立ち付いてきて欲しいと言った。
 瓶を回収して、私はアンナの後ろに付いて歩く。
 通されたのは、センスの良いシンプルな応接室だった。
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