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領地運営はアルバイトにお任せ
王子様が来ちゃっ……いらっしゃいました
しおりを挟む「お話し中のところ失礼いたします。
具体的な話はアカネ・タチバナ様とするように言われてきました。
私、内務局長の補佐を務めますサンジ・タツリブと申します」
「アカネ・タチバナでございます」
「この後、できましたら内務局長を交えて具体的なお話をさせて頂きたいのですが、如何でしょうか」
「商談でしたら15分で完結できるよう、まとめてきてください。
腹の探り合いとかは、好きではありませんので」
「内務局長はお忙しい方なので、午前中には出発しなければなりません。
30分お願いできませんか」
「サンジ様が行動を起こされたせいで、セレモニーの途中にもかかわらず5人も席をお立ちになりました。
15分で完結できないような商談など意味がございません。
マリー、後ろの方のご用件をお伺いして。
商談なら15分単位でスケジューリングしてください」
「承知いたしました」
「いかがなさいますか」
「では、11時から15分間お願いいたします」
「承知いたしました」
セレモニーが終わったら、私はお嬢様方をお茶会の会場にご案内します。
懇親会場には残らないように言われました。
「マリア・セレスティア王女様、ご無沙汰しております。
領主のルナ・ジャムでございます。
ネコちゃんたちは元気ですか」
「ええ、ノーラたちはすくすくと育っていますわ。
ルナ様も、すっかり領主様におなりですわね」
「ありがとうございます。
こんな遠方までお越しいただきありがとうございます」
「ノーラたちの仲間に会えると聞いて、お兄様にわがままを言って連れてきていただきましたの」
「そうでしたの。
ジャム領主のルナ・ジャムでございます。
お忙しい中、このような田舎にお越しいただきありがとうございます」
「第三王子エドワード・セレスティアです。
妹を口実に使いましたが、この軽い短剣の製作地であるジャム領に興味があってお邪魔しました。
それにしても、田舎だなんてとんでもない。
町民の服装を見ても、王都以上のセンスを感じます。
しかも活気があって、珍しいものばかりでした」
「ありがとうございます。
刀剣につきましては、後程担当にご案内させますので、まずはこちらのお茶をお試しください。
アールグレイと申しまして、柑橘類で香りづけしています。
野外ですので、少し濃い目の香りにいたしましたが、もし強すぎるようでしたら香りの弱いものもございますのでお申しつけくださいませ」
「お兄様!これすごくいい香りです。味も上品な……」
「ほう、これが柑橘類で香りづけされているとは。この白磁のカップも素晴らしいですね」
「ありがとうございます。
紅茶の方も色々と取り揃えてございます。
冷たいのもございます。
こちらはティーソムリエのコウミ・茶山と申しますので、こんな感じのものとお申しつけいただければ数百のブレンドの中からご要望のお茶をお出しできるかと存じます」
「そんなに種類があるんですか」
「お茶は、土地によって味が変わるだけでなく、手の入れ方で違った味を楽しめます。
それから、こちらが本日のために用意した新作のスイーツでございます。
卵をベースに上品な甘さに仕上げたプリンで御座います。
それほど日持ちしませんので、今のところ領内限定でございますので、甘いものが苦手でなければお試しください」
「すごい柔らかさですね。色もかわいいし……!
お兄様、これすごいです」
「……!こ、これは……、蕩けるように甘味が広がっていく。適度な冷たさも気持ちいい」
「私は失礼しますが、本日のスイーツを担当いたしましたリナ・マルヤマでございます。
別のスイーツもございますので、ご希望をお申しつけくださいませ」
応援ありがとうございます!
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