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迷宮の令嬢
第5話
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私は手を岩に向けて、右手の指から氷の矢を射出します。
バシュッ!バシュッ!バシュッ! ドドドドドッ!
「む、無詠唱かよ!」
「し、しかも強力です!岩がどんどん削れています!」
氷の矢を放ちながら左手の人差し指から細い水流を打ちます。
「ま、マルチタスクかよ……。」
「あれっ!岩が切れてませんか……。」
やがて、観念したように岩は二つに割れました。
「次、身体強化いきます。」
「「えっ?」」
私は5メートルほど飛び上がり、片方の岩に向けて蹴りを放ちます。
ゴキッ!
そのまま反転して、もう片方に掌底で打撃を入れます。
ドガッ!
岩は、全部で6つほどに割れています。
「圧縮して仕上げです!」
1センチほどの断片になるまで圧力をかけて粉々にしました。
「こんな感じです。」
「あっ、あ、あ……。」
「えっ、ええ。」
なんだか、二人とも口を開けています。ついてきたギャラリーも無反応でした。
「な、何だったんだ……、今のは……。」
「ゆ、夢ですわ……よね。」
「あっ、そうだ!ちょっと待っててくださいね。」
私はそう告げてレビテーション(空中浮遊)で飛び上がった。
「確か……、あの辺に……、あった!」
私は3メートルほどの岩を見つけて、レビテーションで浮かせて会場に戻りました。
「えへっ、ちょっと大きくなっちゃいましたけど、これで元通りです。」
「アカリ、Sランクで発行しろ。」
「そうですね。私も賛成です。」
「えっ、Sランクということは、掲示板の依頼どれでも受けられるんですか?」
「ああ。掲示板に出せないヤバイやつも含めてだ。」
「やったぁ!」
「Sランクのカードは王都で発行されるから、少し時間がかかるの。それに王都まで行かないといけないから。」
「はい。大丈夫です。アカリさんが一緒に行ってくれるんですか?」
「ええ、そうよ。」
「あの、相談したいことがあるんですけど……。」
「なに?」
「その、住み込みで家事をしてくれる人を探してみたいなって思ってるんですけど……。」
「メイドってこと?」
「そこまで専門的じゃないんです。ただ、一緒に暮らして……、友達みたいな……。お母さんみたいな……、お姉さんみたいな……。」
「住み込みねぇ……。あっ!」
「えっ?」
「ねえ、妹みたいな子たちでもいいかな?」
「ええ、大丈夫ですけど。」
「ただねぇ、孤児なんだけど……。」
「問題ありません。」
「じゃあさ、明日お休みだから一緒に来てくれるかな。」
「わかりました。」
翌日、アカリさんと落ち合って孤児院に向かいます。
「オハヨ」
「おはようございます。」
「ピピーッ!」
ヒナちゃんは今日もハイテンションです。
「あのね。」
「はい。」
「実は、私もそこの出身なの。」
「へぇ、そうなんですか。」
「驚かないの?」
「なんででしょう?」
「だって、孤児なんだよ。」
「えへっ。ヒナちゃんと一緒ですね。」
「ピーッ!」
「あっ……。」
アカリさんの栗色の髪が恥ずかし気に揺れています。
「孤児っていうだけで雇ってもらえないところがいっぱいあるんだよ。」
「そうなんですか?」
「貴族なんて絶対にダメだし、お店なんかも9割がた駄目ね。」
「何でですか?」
「汚いとか、お金を胡麻化すんじゃないかって思われてるんじゃないかな。」
「へえ。そうなんですか。」
「……って、なんで腕組んできたの?しかも、抱きつくみたいに……。」
「ダメですか……、誰かと一緒に出かけるなんて初めてなので……、その……うれしくて……。」
「別にいいけど……、なんで胸触ってくるの。」
「自分に無いものって、あこがれるじゃないですか。」
「確かに、ノアって男の子に間違われるくらいだものね。」
「ムウーッ……。」
「こんな娘がSランクだなんて、誰も信じないわよね。」
【あとがき】
ノアの素が出てきました。
バシュッ!バシュッ!バシュッ! ドドドドドッ!
「む、無詠唱かよ!」
「し、しかも強力です!岩がどんどん削れています!」
氷の矢を放ちながら左手の人差し指から細い水流を打ちます。
「ま、マルチタスクかよ……。」
「あれっ!岩が切れてませんか……。」
やがて、観念したように岩は二つに割れました。
「次、身体強化いきます。」
「「えっ?」」
私は5メートルほど飛び上がり、片方の岩に向けて蹴りを放ちます。
ゴキッ!
そのまま反転して、もう片方に掌底で打撃を入れます。
ドガッ!
岩は、全部で6つほどに割れています。
「圧縮して仕上げです!」
1センチほどの断片になるまで圧力をかけて粉々にしました。
「こんな感じです。」
「あっ、あ、あ……。」
「えっ、ええ。」
なんだか、二人とも口を開けています。ついてきたギャラリーも無反応でした。
「な、何だったんだ……、今のは……。」
「ゆ、夢ですわ……よね。」
「あっ、そうだ!ちょっと待っててくださいね。」
私はそう告げてレビテーション(空中浮遊)で飛び上がった。
「確か……、あの辺に……、あった!」
私は3メートルほどの岩を見つけて、レビテーションで浮かせて会場に戻りました。
「えへっ、ちょっと大きくなっちゃいましたけど、これで元通りです。」
「アカリ、Sランクで発行しろ。」
「そうですね。私も賛成です。」
「えっ、Sランクということは、掲示板の依頼どれでも受けられるんですか?」
「ああ。掲示板に出せないヤバイやつも含めてだ。」
「やったぁ!」
「Sランクのカードは王都で発行されるから、少し時間がかかるの。それに王都まで行かないといけないから。」
「はい。大丈夫です。アカリさんが一緒に行ってくれるんですか?」
「ええ、そうよ。」
「あの、相談したいことがあるんですけど……。」
「なに?」
「その、住み込みで家事をしてくれる人を探してみたいなって思ってるんですけど……。」
「メイドってこと?」
「そこまで専門的じゃないんです。ただ、一緒に暮らして……、友達みたいな……。お母さんみたいな……、お姉さんみたいな……。」
「住み込みねぇ……。あっ!」
「えっ?」
「ねえ、妹みたいな子たちでもいいかな?」
「ええ、大丈夫ですけど。」
「ただねぇ、孤児なんだけど……。」
「問題ありません。」
「じゃあさ、明日お休みだから一緒に来てくれるかな。」
「わかりました。」
翌日、アカリさんと落ち合って孤児院に向かいます。
「オハヨ」
「おはようございます。」
「ピピーッ!」
ヒナちゃんは今日もハイテンションです。
「あのね。」
「はい。」
「実は、私もそこの出身なの。」
「へぇ、そうなんですか。」
「驚かないの?」
「なんででしょう?」
「だって、孤児なんだよ。」
「えへっ。ヒナちゃんと一緒ですね。」
「ピーッ!」
「あっ……。」
アカリさんの栗色の髪が恥ずかし気に揺れています。
「孤児っていうだけで雇ってもらえないところがいっぱいあるんだよ。」
「そうなんですか?」
「貴族なんて絶対にダメだし、お店なんかも9割がた駄目ね。」
「何でですか?」
「汚いとか、お金を胡麻化すんじゃないかって思われてるんじゃないかな。」
「へえ。そうなんですか。」
「……って、なんで腕組んできたの?しかも、抱きつくみたいに……。」
「ダメですか……、誰かと一緒に出かけるなんて初めてなので……、その……うれしくて……。」
「別にいいけど……、なんで胸触ってくるの。」
「自分に無いものって、あこがれるじゃないですか。」
「確かに、ノアって男の子に間違われるくらいだものね。」
「ムウーッ……。」
「こんな娘がSランクだなんて、誰も信じないわよね。」
【あとがき】
ノアの素が出てきました。
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