私を「何もできない」と切った会社が、私が抜けた途端に何もできなくなった件
老舗文具メーカーで九年、社長室を支えてきた秘書の千尋。だが二代目社長は愛人を秘書室に据え、千尋に「君、何ができるの?」と無能の烙印を押して解雇した。身に覚えのない経費の濡れ衣まで着せられ、九年の私物は段ボールひと箱。
どん底の夜に見つけたのは、一枚の名刺だった。裏には万年筆の楷書で一行——『秘書を辞める気になったら、まずここへ』。
差出人は、新興文具ブランドの若きCEO・志波瑛士。商談の席で三年間、彼女の仕事を見続けていた男は言う。「君の仕事は完璧だった。ずっと見ていた」と。
正当な評価、不器用な私情、そして老舗との正面対決のコンペ。彼女が去った古巣は静かに崩れ、彼女自身は静かに花開く
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