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アザーズ Side
地獄の先にあるのはまた地獄なのかもしれない
しおりを挟むゴンゴンッ
部屋のドアが叩かれるのも、2度目ともなれば偶然じゃない。
「お休みのところすみません、宿の者ですが。」
こんな時間に何の用なんだろう?
ゴンゴンッ
「すみませ~ん。」
「どうかしましたか?」
彼が警戒心も露わにドア越しに尋ねる。
「夜分遅くに申し訳ありません。実は罪人がこの宿に逃げ込んだという情報がありまして、確認のご協力をお願いいたします。」
先ほどの宿の者とは違う低くかしこまった声とその内容に、私と彼に緊張が走る。
「罪人、とは?」
「近くで強盗した者が逃げ出しまして、匿っていないか部屋を改めさせていただけないでしょうか?」
その言葉は断ることは許さない、という有無を言わせない圧が込められていた。
「・・・わかりました、少し待ってください。」
彼が硬い声で返す。
「ええ、ご協力感謝いたします。」
私たちは急いで身なりを整える。
「今、開けますね。」
彼が警戒しながらドアを開ける。
その先にいたのは体つきのがっしりとした男性。
部屋の中を見渡すと、私に目を止めニヤリと笑う。
「見つけましたよ、マーリト様。」
驚きで何も反応できないでいた一瞬のうちに、全てが終わってしまった。
ドアを開けた位置のまま警戒していた彼の背から、赤黒い何か、が生えていた。
彼が、沈み込んでいく。
どこからか叫び声が響き渡り、私は意識を失った。
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