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第30話 銀色の怖い幻聴

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「お前は……この前の小僧か? 今度は負けんぞ。お前の技はもう見切っている」

 剣を構えると、ガイアスライムが転がりながら向かって来た。
 それは僕の台詞だ。一ヶ月前の僕じゃない。今の僕は岩でも切れる。
 剣を水平に構えると、転がる岩に向かって振り抜いた。

「《メタル斬り!》」
「ぬがあああ!」

 銀色の刀身がスパァン! とガイアスライムの身体を真横に真っ二つにした。

「フッ。口程にもないね!」

 これが修業の成果だ。レベル4程度のスライムはもう僕の敵じゃない。
 マジシャンスライムを倒したら、ナイトスライムも倒してやる。
 倒したら何を落とすのか楽しみだ。

「でも、その前に……」

 地魔法を覚えるのが先だ。地面に落ちている、地の実と茶魔石を食べた。
 どっちも土の味がして、超マズイ。
 風の実と同じなら、あと300個ぐらい食べれば覚えるぞ。
 今日の朝ご飯と昼ご飯は、これで決まりだね。

 …………
 ………
 ……
 …
 
 タァララッタッタァー!

【地魔法:ロックレイン(消費MP25)を覚えました】

「《メタル斬り!》」
「ぐがあああ!」

 魔法を見て覚えたので、用済みのガイアスライムを一刀両断した。
 今までありがとう。もう会うことはないと思うよ。

「よぉーし! 口直しの果物だ!」

 頑張ったからご褒美だ。
 果物スライムも硬いけど、今の僕にはスライム斬りがある。
 パパッと切って、口の中に土味を甘ぁーい! に変えてやる。

「召喚!」と唱えると、緑色の丸い身体に白い網目の傷が付いているメロンスライムを呼び出した。

「身体の傷は甘さの証。敵に与える傷は強さの証。メロ三郎、呼ばれて参上」
「《スライム斬り!》」
「ぐはああッッ!」

 メロンの話を聞きたいわけじゃない。
 必殺のスライム斬りで、メロンスライムを斜めに両断した。
 地面にメロンの形をした緑色の【メロングミ】が現れた。

「もぐもぐ……もぐもぐ……」

 美味しいけど、一個じゃ全然足りない。
 20匹は倒さないとね!

 ……
 …

「よぉーし! この調子で倒してやる!」

 果物食べて元気が出た。今なら行けそうな気がする。
 剣を持って、地面に左手を置くと「召喚!」と唱えた。
 魔法陣から銀色の丸い塊が飛び出した。
 アイアンスライムみたいに腕を二本伸ばしたけど、こっちは鎌二本だ。

「切る切る、斬る斬る、お前、切る?」
「これはヤバイかも」

 僕の身体がズタズタにされそうな予感がする。
 今すぐ防御力が欲しいけど、もう呼び出しちゃった。

「首チョッキン、首チョッキン、首首チョッキン、チョッキン殺す」
「何も聞こえない! 何も聞こえないぞ!」

 こんなのいつもの幻聴だ。今日の幻聴は特に怖いけど、こんなの無視してやる。
 必殺のメタル斬りで一刀両断だ。
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